現行制度を抜本的に変更し、同時市場において一元的なメリットオーダーを追求する観点からは、本来すべての電源は、3-Part情報等を提出しメリットオーダーで約定処理することが原則である。
しかしながら技術的制約等により、一部の電源において特別の配慮を行うことが検討されている。
作業部会では、出力制御に課題がある電源や系統信頼性の維持のために必要な電源等を「長期固定電源等」と呼んでおり、表内の間接オークションにおける承認電源等が参考とされている。通常、これらの電源は出力の変更が困難とされる。
また長期固定電源等以外の電源であっても、経済的な理由から相対契約等を用いることにより、発電量を自社で確定させたいというニーズも存在する。このような相対契約電源と長期固定電源等を合わせて、セルフスケジュール電源と呼んでいる。
作業部会ではセルフスケジュール電源について、例外なく同時市場への入札を求める案と、入札を不要とする案、の2つが比較検討されている。
入札を必須とする案の場合、セルフスケジュール電源のうち長期固定電源等は最優先で約定・稼働させるため、価格入札を不要として、量のみを入札させることとする。
他方、入札を不要とする案の場合であっても、情報把握の観点から、セルフスケジュール電源は前日同時市場システムへ、情報のみを登録することを求めることとする。
なお、差金決済等の市場外取引を認める場合には、いずれの方式であっても経済的には等価であることが確認されている。
図6は、事前の相対契約により12円/kWhを合意した場合に、市場価格8円/kWhのほか、4円/kWhを精算するケースを表している。ただし具体的な検討にあたっては、商品先物取引法やデリバティブ会計等の法律・会計上の取り扱いを踏まえる必要がある。
同時市場を運用するためには、一般送配電事業者(TSO)の中央給電システム等の抜本的な改修も必要となることから、その市場創設は最速でも2028年度以降と想定されている。
同時市場の制度設計においては具体化すべき多くの論点があるが、2023年春を目途に、これまでの議論の取りまとめを行う予定とされている。
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