今後、建築物省エネ法でも電気の一次エネルギー換算係数を変更すると想定されるが、ガスを使用する設備では従来通りである。今後これが、BEI評価に一定の影響を及ぼすと想定されている。
図6のパターン1のように、基準仕様と設計仕様の間で、使用するエネルギー(電気/ガス)が同じ場合、BEI評価は変わらない。
他方、ガスが基準仕様とされる給湯において、電気ヒートポンプを使用する場合にはBEI評価は良くなり、電気が基準仕様とされる空調においてガス床暖房を使用する場合にはBEI評価は悪くなる、といった変化が生じることとなる。
もしこの断面だけを捉えるならば、ガスが不利になる場面が生じ、エネルギー間競争に新たな火種が投じられたように見える。
しかしながら、長らく現実から乖離していた電気の換算係数が実態に合わせて見直されたことは適切に評価されるべきであり、ガスにおいてもバイオメタンや水素の導入率を上げるなどの取り組みが進むことが期待される。
国土交通省が中小工務店・建築士に対して、省エネ基準への習熟状況についてアンケート調査を行ったところ(2018年)、中小工務店・建築士いずれも、省エネ計算ができると回答した者は約5割との結果であった。
どのような優れた制度も、それを運用するのは人間である。住宅・建築物の省エネ基準への全面適合義務化を円滑に進め、適切な設計施工が行われるよう、幅広い関係者に対する一定の支援策が望まれる。
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