鉄道分野のカーボンニュートラル化はどう進めるべきか、国交省が中間目標を公表法制度・規制(5/5 ページ)

» 2023年05月25日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]
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鉄道分野の脱炭素目標

 「鉄道分野におけるカーボンニュートラル加速化検討会」の2022年度中間とりまとめにおいては、国全体としては脱炭素化が困難な分野もあることを踏まえ、鉄道分野は2050年カーボンニュートラルという「平均点」ではなく、100%を超えるCO2削減を目指すことも必要、と記されていた。

 また、目標値の設定例として、

―2030年:駅のCO2排出量の実質150%相当(350万トン)を削減(2019年度比)

―2050年:鉄道のCO2排出量の実質100%相当以上(1,000万トン+α)を削減(2019年度比)

 を掲げ、2050年目標の具体値は2022年度内の決定を目指していたが、これは現在も公開されていない。

 検討会の第6回会合では新たな目標として、2030年代において鉄道分野のCO2排出量(2013年度1,177万トン)の実質46%に相当する量(約540万トン)を削減することを目指す、とされた。国の目標が「2030年度」に46%削減(2013年度比)であるのに対して、「2030年代」の目標としている理由は不明である。

図7.「鉄道の」脱炭素化、「鉄道による」脱炭素化のイメージ 出典:鉄道分野カーボンニュートラル検討会

 また、鉄道分野・鉄道関連分野の脱炭素化に向けた取り組みの加速化・検討の深化のため、鉄道事業者と関係企業等がそれぞれの情報を共有する「鉄道脱炭素官民連携プラットフォーム」が立ち上げられた。プラットフォームでは、セクターカップリング等を促進するための知見の共有や、規格等に係る課題については、見直しや標準化の方向性について議論を深める予定としている。

図8.鉄道脱炭素官民連携プラットフォーム(イメージ図) 出典:鉄道分野カーボンニュートラル検討会

 鉄道は地域や路線による条件の差も大きく、事業者の経営環境もかなり異なるものとなっている。低炭素輸送モードとしての鉄道の価値を再認識しつつ、事業者規模に応じた対策を検討することが必要とされる。

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