外部からの通信によりHP給湯器を遠隔制御し、上げDRを実施するためには、機器自体における機能具備と同時に、サーバー等の環境整備が必要となる。このうち機器自体の機能については、近年のHP給湯器の多くはECHONETやIoT(機器メーカークラウド)経由の制御に対応しており、2023年度HP給湯器出荷台数のうち、97%がECHONETに準拠しており、69%は機器メーカーサーバーと連携するためのインターフェースを搭載している。
ただし、ECHONET経由で機器を制御するには、別途HEMSコントローラーが必要となるが、コントローラーの累計出荷台数は約90万台に留まる(2023年度末)。
なお、ECHONET lite規格ではHP給湯器プロパティの一つとして、「エネルギーシフト」コマンドが既に規格化されており、現在の機器仕様で、湯量の一部を昼間に沸き上げシフトするコマンド授受が可能となっている。
機器メーカークラウド接続に対応したHP給湯器ストック台数は約101万台であり、全ストック台数の13.4%に留まる。また、実際に機器メーカークラウドに接続している台数は11.2万台にとどまり(2024年3月末)、クラウド接続機能は普及し始めたばかりと言える。
また当然ながら、ユーザー側の機器を用いてDRを行うには、ユーザーによる明示的な合意を得ることが前提であり、機器や通信環境を整備することがそのままDR実施量の増加につながるわけではないことに留意が必要である。
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