以上を踏まえ、脱炭素燃料政策小委員会では、ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けた方針(案)が示された。
まずガソリンについては、2030年度までに、一部地域におけるバイオエタノールの「直接混合」方式も含め、すでに規格の定められているE10ガソリンの供給開始を目指すこととする。さらに2040年度から、E20ガソリンの供給開始を目指すこととする。
2040年E20の実現に向けては、新たな燃料規格や車両側での対応も不可欠であるため、速やかにE20の認証制度にかかる議論を開始し、2030年代のできるだけ早期に、乗用車の新車販売におけるE20対応車の比率を100%とすることを目指す。
なお、合成燃料(e-fuel)についても、これまでどおり2030年代前半までの商用化実現を目指し、バイオ燃料と合成燃料双方の活用により、ガソリンのカーボンニュートラル化を目指す。
この方針を踏まえ、「合成燃料(e-fuel)の導入促進に向けた官民協議会」において、ガソリンへのバイオエタノール導入拡大に向けた具体的なアクションプランを策定するとともに、国は、支援策や関連制度を整備することとする。
電力の非化石証書やガスのクリーンガス証書制度などとは異なり、現時点、液体燃料においては、環境価値を認証・移転する仕組みが整備されていない。このため、先述のようにすでにバイオETBE が194万KL使用されているにも関わらず、その環境価値を需要家に訴求することができないといった課題がある。
温対法の算定報告公表制度(SHK制度)においてバイオ燃料利用によるCO2排出量はゼロであるが、バイオガソリン(ETBE)におけるバイオ燃料の混合割合が需要家に開示されていないため、SHKの排出量定期報告において、需要家が実際に利用したバイオ燃料の量を反映することが困難となっている。
合成燃料やバイオ燃料に対する需要を喚起するためには、液体燃料についてもその環境価値を認証し、移転する制度を構築することが求められる。
新たな制度の対象はガソリンに限らず、ジェット燃料(SAF)や軽油、重油など、各種石油製品に相当する全てのバイオ燃料・合成燃料を対象とし、液体燃料が有する環境価値をワンストップで扱うことを目指す。
合成燃料等の次世代液体燃料の導入初期において、その生産量は少量であり、燃料そのものを特定の需要地まで物理的に届けることには、一定の非効率性も生じると懸念される。
環境価値の認証・移転手法には様々なタイプがあるが、効率的なサプライチェーン構築の観点からも、次世代燃料の導入に伴う追加的なインフラ整備・管理を最小限にすることは重要と考えられる。
今後、「合成燃料(e-fuel)の導入促進に向けた官民協議会」において、具体的なビジネスモデルに当てはめた検討を進め、年度内を目途に、一定の取りまとめを行う予定としている。
種類別に見たバイオ燃料の普及課題、足元の本命となる燃料はどれなのか?
日本企業の勝ち筋は? 種類別に考えるバイオ燃料の事業機会と展望
「持続可能な航空燃料(SAF)」の導入が義務化へ――新たな税制支援策もCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
人気記事トップ10