森林吸収量等をSHK制度の「調整後排出量」に報告・利用するためには、数値の客観性、透明性、信頼性、一貫性(時系列推移)が保証されるよう、特定排出者が森林吸収量等を算定する場合の共通ルールを整備することが重要である。
現在、国家GHGインベントリでは、図2の①〜⑥の炭素プールごとにマクロで炭素蓄積量の増減を推計し、森林整備等が行われた森林に係る吸収量及び木材利用に係る炭素貯蔵量を算定している。
このうち、③〜⑤は個社での算定が困難であるため、「①地上部バイオマス」及び「②地下部バイオマスのみ」をSHK制度での算定対象とすることとした。
今回のSHK制度改正では森林吸収量のほか、図2⑥のHWP(伐採木材製品)による炭素蓄積量も対象となる。長期に炭素を固定蓄積する木材製品には建築物や非建築物があり、非建築物では、林野庁の「建築物に利用した木材に係る炭素貯蔵量の表示に関するガイドライン」に即して炭素貯蔵量の算定を行うことができるものに限る。具体的には、木製受水槽、オフィス家具、鉄道駅プラットフォーム、ウッドデッキ等が想定される。紙製品やバイオマスプラスチック製品、バイオ炭製品は、樹種別の材積又は重量が把握できないため、原則として対象に含めることができない。
算定対象の木材製品は、クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する法律)等に基づき、合法性が確認された国産材に限られる。
森林吸収量及び木材製品の炭素蓄積変化量のいずれも、調整後排出量の算定報告に含めるか否かは特定排出者の任意であるが、報告することを選択した特定排出者は、報告初年度以降は毎年度の報告が義務付けられる。
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