自動車産業では、乗用車・商用車、大型車・小型車・軽自動車といった幅広い製品が生産されており、車両の車格によって一台当たりの排出原単位にばらつきが生じる。
また自動車の製造プロセスには、プレスから組立まで多様な工程が存在するが、各社の製造工程においては、内製部品と外部調達部品がモデルにより混在しており、その内製化率によって排出原単位に有意な差が生じる。このため、ベンチマーク対象範囲としては、各社が共通して内製化している工程を対象とすることが望ましい。
自動車製造工程のうち、ボディの塗装工程は各社で内製化されており、車両工場全体の直接排出量の約4割を占める主要な排出源であるため、ボディの塗装工程における車両一台当たりの排出原単位をベンチマークとする。
なお、バスやトラック等の商用車は多品種少量生産であるため、商用車メーカーの塗装工程を同一の指標で比較することは困難である。このため、車格によるメーカー間での原単位のばらつきが比較的小さい乗用車を主として製造する事業者を対象に自動車ベンチマークを策定する。
乗用車では、車両の仕様によって塗装を2回繰り返す場合があるが、塗装回数に応じて車両一台当たりの排出原単位に有意な差が生じる。車両の塗装は商品の競争力を左右する要因の一つであるため、ベンチマークの策定にあたっては、この塗装回数について補正を行うこととする。
また、従来別々に塗装されていたボディとバンパーを一体で塗装することにより車両一台当たりのCO2排出量を削減する新技術は、ボディ塗装排出量の増加とみなされないようにこれを補正し、排出原単位算定の際は塗装面積増加分を加味した基準活動量を算出する。
また、自家発(コジェネ)の有無の違いにより、各社の直接排出量に大きな差が生じるため、先述のソーダ工業(図3)と同様に、直接・間接排出量の比率を補正する。
以上より、自動車製造業のベンチマーク指標及び排出枠割当量の算定式は以下の通りとする。
今回のWGで、ベンチマーク方式を採用するすべての製造業、計15業種(石油精製業、石油化学工業、紙パルプ製造業、鉄鋼業(高炉・普通鋼電炉・特殊鋼電炉)、セメント製造業、アルミニウム、石灰、カーボンブラック、ゴム製品製造業、電解ソーダ工業、板ガラス、ガラスびん、自動車製造業)のベンチマーク及び排出枠割当量算定式の案が示された。
次回WGでは、これまで未定であった論点(副生ガスの割当量の算定にあたっての調整方法等)について検討を行う予定としている。
排出量取引制度の30年度ベンチマークは上位32.5%、グランドファザリング削減率は年1.7%に
排出量取引制度、「アルミ・石灰・ゴム製品製造」などの排出枠割当に向けたベンチマーク案
排出量取引制度、「鉄鋼・セメント製造業」の排出枠割当に向けたベンチマーク案Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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