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» 2009年07月21日 07時30分 UPDATE

Googleの“ブラックスワン”はBingなのか?

永遠に続くものなど何もない。Googleもその無料のサービスも、いつかほかの何かに取って代わられるかもしれない。では、Googleの終わりをもたらすものは何なのだろうか。

[Clint Boulton,eWEEK]
eWEEK

 プロバスケットボールチームのダラス・マーベリックスのオーナーでハイテク業界評論家のマーク・キューバン氏が先日、ユーザーにコンテンツを無料で提供している企業についての興味深いブログを書いた。WIREDのクリス・アンダーソン編集長の新しい著書「Free: The Future of a Radical Price」が話題になっていることを考えると、実にタイムリーだ。

 キューバン氏は基本的に、無料コンテンツの提供で成功した企業は、全方位から信じられないほどのプレッシャーを受けると主張している。彼らは成功し、そして膨張する。ユーザーに無料サービスを提供し続けるお金を稼ぐために、人を増やし、インフラを強化するからだ。

 彼らはさらに大きくなり、存続のためにもっとお金を稼がなければならなくなる。そこに至るまでに、革新を見失ったり、革新を止めてしまって、もっと進化した、だが同じく無料サービスを提供する企業に打ち負かされることになりがちだ。

 キューバン氏はGoogleをその一例として使っている。検索とWebサービスを無料で提供し、オンライン広告で年間150億〜200億ドルを稼いでいる企業を。同氏は次のように書いている

 タダに生き、タダに死ぬGoogleに関して言えば、どの企業が彼らのブラックスワンとなるのかは分からない。だが、いずれブラックスワンが登場するということは皆知っている。問題はそれがいつかということだけだ。もちろんGoogleにもそれは分かっている。だからこそ彼らは、将来頼みの綱になる新事業を作り出せると思われるあらゆるものに投資している。彼らは「次のGoogleの重大ビジネス」を探し求めて信じられないほどの金額を投じている。ブラックスワンとなるライバルが登場したとき、Googleは新たに現れたビジネスモデルと競合することになる。それが無料を基盤とするモデルであればなおさらだ。Googleのエコシステムは、もはや何もタダでは作り出せないレベルにまで膨張しているからだ。

 もちろん、わたしのコラムを読んできた人なら、Googleがこんなにも多くのWebサービスに手を出してきた理由について、わたしがキューバン氏の解釈に賛成であることは分かるだろう。わたしはこの現象をよく、「Googleはマシンに給油する必要がある」と表現している。

 Googleの検索広告の胃袋はあまりに大きくなってしまっており、彼らはどうにかして自身を食わせていかなければならない。だからGoogle Apps、Android、ChromeなどのWebサービスを作り出した。欲深いのはいいことだ。

 Google自慢の検索エンジンプログラマーは、革新することをやめてはいない。定期的に新しい機能を繰り出している。だが現実に目を向けよう。Googleブック検索のタグクラウドやGoogleブログ検索のRSSフィードは、彼らが存続するのに必要なお金を稼ぐ直接の役には立たないだろう。

 こうした機能はせいぜい、Googleがユーザーと広告クリックを新興のサービスに奪われるのを防ぐくらいの効果しかない。このような仕事は決まり切ったメンテナンスであって、革新ではない。そこで出てくるのがGoogle Apps、Android、それからOpenSocialやFriend Connectのような技術だ。

 Googleは検索エンジンのようにハイテク市場をクロールして、無比の企業であり続けるための次の重要な技術を探し求めている。

 キューバン氏はGoogleの終焉は避けられないと主張し、彼らにこうアドバイスしている。いつブラックスワンが迫ってくるのかを察知して、手遅れになる前に身売りし、できるだけ多くの現金を手に入れるように、と。真の事業投資家か船長のような言い方だが、キューバン氏はそのどちらでもある。

 この点について、わたしは複雑な気持ちだ。わたしの実利的な面は、キューバン氏は正しいと言っている。永遠に続くものなど何もなく、Googleもその無料のサービスも、ほかの多くのサービスのように価値を失うだろう、と。それには5年かかるかもしれないし、10年かかるかもしれないが、いつかはGoogleの存在しない世界になるだろう。想像はできないが。

 実際のところ、GoogleのWebサービスの利用者として、このロジックにはうんざりする。Googleが死ぬ運命にあるのなら、Coca-Colaが事業をたたんで、これまで守ってきたレシピを生意気な新参者に譲り渡すようなことも起きるだろう。そうなったら立ち直るのに時間がかかりそうだ。

 では、キューバン氏が言うところのGoogleのブラックスワンを、わたしたちはもう目にしているのだろうか? そうは思わない。Facebookかもしれないと思っている人もいるだろうが、人々がGoogleを使わずにすべてをFacebookで済ませるようになるとは思えない。

 Facebookは急速に成長しているが、彼らがユーザーを閉ざされた世界に囲い込むためにどんなことをするのか、わたしには分からない。わたしはFacebookが好きだが、それでもわたしたちにはGoogleが必要だ。やっぱりググりたいからだ。

 FacebookがGoogleをつぶすことはないだろう。TwitterがFacebookをつぶしたりしないのと同じように。確かにわたしたちはTwitterに投稿するのが好きだが、クールなアプリで遊んだり、ビデオやイベントなどのコンテンツを投稿したりなど、FacebookにはTwitterではできない楽しみ方もある。

 Googleのブラックスワンになり得るのは、MicrosoftのBing検索エンジンだろうか? わたしは本気だ。ユーザーに愛される何か――けれども、与えられて初めてそれが必要だったことに気付くもの――を、Bingチームが偶然見つけ出さないと誰に分かるだろう?

 Googleからはまだ、そのような「何か」、状況を一変させるような重大な何かは出てきていない。もしかすると、BingチームはGoogleができないことを実現する、欠かすことのできないセマンティックWeb検索やディープWeb検索を作り出すかもしれない。Bingは既に、Twitterの投稿を検索する機能に意欲を見せている。それはGoogleがまだ手を付けていないことだ。

 Bingが次の重要な検索ツールを見つけて、それに多額の資金を投じたらどうなるだろうか? Googleが窮地に立つのは確実だ。それ以外では、今のリアルタイム検索エンジンやWolfram|Alpha、その他の検索エンジンが、何でも飲み込むGoogleの検索エンジンを仰天させるとは思わない。

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