第2回GTD徹底研究会──「書き出し」と「分類」のポイントは?ブロガーがGTDに挑戦!第2回、前半レポート

Biz.ID主催、第2回めとなるGTD徹底研究会を開きました。今回は、「気になることの書き出し」→「分類」をしていただき、2週間後には週次レビューについてのディスカッションを行います。

» 2006年10月30日 12時42分 公開
[田口元,ITmedia]

 さて、前回のGTD徹底研究会(8月24日の記事参照)に続き、第2回目を実施しました。今回は20名を超えるブロガーにGTDのステップを実際に行っていただきました。

 なお、今回は前回と違い、2回シリーズでの実施です。今回はGTDのステップをとにかくやっていただき、2週間後にそれが定着しているかどうかを検証します。

 具体的なGTDのステップは「GTDまとめ」を参考にしていただくことにして、今回のレポートでは、GTDを実践するうえで参加者がはまりやすかったポイントを説明します。

GTDの最初のステップはやはり時間をかけて

 GTDの最初のステップは「頭の中の気になること」をすべて書き出す作業です。今回ここには90分じっくりかけました。

 この作業が終わった後に感想を聞いてみました。

 「もう書けない!」「もうちょっとだったら書けるかな」などいろいろな感想がありましたが、注意すべきなのは次のような感想です。

 「もう書けないと思うのだけど、なんだかまだあるようですっきりしない……」

 こういう感覚のときは「もう書けない……」と思っていても根気よく30分、1時間と続けていくことが重要です。そこまでやってはじめてGTDの最大の特徴である「ストレスフリー」を体感することができます。

 今回は時間の都合上90分で書き出す作業を打ち切りましたが「まだすっきりしない……」という人には「後日もう少し続けてみてください」とアドバイスをさせていただきました。

どこまで具体的に書けばいいのか?

 GTDの最初のステップを行っているとき、どこまで具体的に書けばいいのか、と質問されました。

 結論からいうと、このステップでは勢いが大事なのでどのレベルで書いてもかまいません。具体的な書き方でなくてもどうせあとで具体化するので思いつくままにどんどん書かれる事をお勧めします。

こういうのはどのリストに分類するの?

GTDのフローチャート

 最初のステップが終わると次は処理のステップです。「処理」というと複雑そうですが、1つずつ見ていけばそれほど複雑なことではありません。

 また右図のGTDのフローチャートでは「それは何か?」や「行動を起こす必要があるか?」など、すぐに答えにくい質問があるので、それは以下のように置き換えて処理していくことをお勧めしました。

  • 「それは何か?」→「理想の状態は何か?」(より具体的にイメージできるため)
  • 「行動を起こす必要があるか?」→「一週間以内に前に進める必要があるか?」(週次レビューでまた見直すので、今週にフォーカスしたほうが使い勝手がよいため)
  • 「次のアクションが複雑な場合」→「次のアクションを考えるのがなにか面倒そうな場合」

 このように質問を置き換えてあげると、だいぶ「処理」しやすくなります。

どのリストにどのぐらいの仕事が来るべき?

 また「処理」をしていると特定のリストに多くの項目が入り過ぎて不安になる方もいらっしゃったようです。

 個人的な経験からすると、初めてGTDを行うとだいたい次のような割合で分類されるようです。

  • 「いつかやる、多分やるリスト」→70%程度
  • 「プロジェクトリスト」→20%程度
  • 「次にとるべきアクションリスト」→10%程度

 ほかのリストにはあまり割り振られることはないので、個人的にはこの3つのリストを「GTD3大リスト」と呼んでいます。ほかにもカレンダーなどに割り振られることもありますが、大きくはこの3つで十分なのではないでしょうか。

 また「いつかやる、多分やるリスト」には多くの項目が並びますがあまり気にしないでください。

 それよりも「プロジェクトリスト」「次にとるべきアクションリスト」を意図的に少なくしてしまうやり方がお勧めです。

 この2つのリストは「今週中に前に進めたいもの」のリストになります。ここにあがってきた項目を着実にこなしていくことで「やるべきことの全体を把握しながら着実に仕事を片付けている」感覚を楽しむことができます。

「繰り返しのToDo」は?

 また処理をしているときに「毎日やる、毎週やる」などの繰り返しのToDoはどうするのか、という質問を受けました。

 個人的は、そのToDoを直接やるべき項目にするのではなくて「そのToDoを定期的に実施するための仕組みを考える」というToDoを作るようにしています。

 このようにしておけば、リストに毎日同じToDoを書くのではなく、生活の仕組み自体を変えて着実にそのToDoを行うことができるようになります。

 具体的には、玄関に張り紙をしたり、リマインダーシステムなどを使うことによって着実に習慣化を進めていくことができるようになるでしょう。

「いつかやらなくちゃいけないけど手をつけたくないもの」は?

 また別の方からは「いつかやらなくちゃいけないんだけど手をつけたくないものはどうしたらいいですか?」と質問を受けました。

 そういったものに関してはまず「理想の状態は何か?」と考えてみるのがよいでしょう。場合によってはそれをやらなくてもいいかもしれませんし、そもそもの目的を達成するための、別の手段を思いつくことができるかもしれません。

次回へ向けて

 今回はGTDのプロセスを全部説明したところで終わりましたが、習慣化していくためには週次レビューがどうしても必要です。

 次回は11月9日に第2回を実施しますが、「週次レビューがうまくいったのか、うまくいかない場合がどこが問題だったのか」を中心に議論してみたいと思います。

今ならできるGTD


デビッド・アレン氏来日


理論編

  • news101.jpgイブに「仕事で会えない」をなくすには――『ストレスフリーの整理術』
    年の瀬も押し迫った師走、仕事に追われているのは筆者だけではあるまい。特にクリスマスイブでもある今夜は、「大事な人との約束があったのに仕事が忙しくて」なんて断る人もいそうだ。GTDの原典を再翻訳した『はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(二見書房)はそんな人にオススメである。(2008/12/24)

  • news003.jpgはじめてのGTD
    ストレスフリーの仕事術、GTD。海外のナレッジワーカーには常識になりつつあるこの仕事術、あなたはもう試してみましたか?(2006/06/27)

  • news010.jpg図解GTD──5つのプロセスをイメージで捉えよう
    GTDのフローチャートは分かったが、それぞれがどのような意味を持っているのか実感するのは難しいものです。今回は、“机”を例にGTDのプロセスをイメージしてみましょう。(2006/07/21)

  • news080.jpgGTDのそこが知りたい
    ストレスフリーの仕事術──GTD。その内容について、よく聞かれる質問をFAQ形式でまとめました。「GTDとは何の略ですか?」「今までの仕事術は何が違うの?」「どうなったら終わりなの?」などなど──。(2006/06/27)


実践編

  • news097.jpg写真でわかるGTD(初回編)
    GTDってどういうものなのかは分かったが、では実践するにはどうすればいいのかイメージがわかない方もいるでしょう。今回は、GTD初めてのITmediaスタッフが、実際にチャレンジしてみます。(2006/06/29)

  • news033.jpg写真でわかるGTD(週次レビュー編)
    GTDをITmediaスタッフが実践。その様子を順を追って写真で紹介する「写真でわかるGTD」。今回は、GTDで最も重要だといわれる「週次レビュー」の実際を見てみます。(2006/07/11)

  • news051.jpg写真でわかるGTD(導入2カ月後)
    GTDをITmediaスタッフが実践。その様子を順を追って写真で紹介する「写真でわかるGTD」。最終回となる今回は、GTD導入から2カ月後の彼らの様子をリポートします。(2006/09/12)

  • news015.jpgGTD徹底研究会でわかったこと
    ブロガーを招いて開催したGTD徹底研究会。初めてGTDに触れる方からのフィードバックを中心に、GTDでつまづく点や戸惑う点をまとめました。(GTDまとめページへ)(2006/08/24)

  • news034.jpg第2回GTD徹底研究会──「書き出し」と「分類」のポイントは?
    Biz.ID主催、第2回めとなるGTD徹底研究会を開きました。今回は、「気になることの書き出し」→「分類」をしていただき、2週間後には週次レビューについてのディスカッションを行います。(2006/10/30)

  • news109.jpgGTD導入のつまづきを解決――第2回徹底研究会
    Biz.ID主催の第2回「GTD徹底研究会」後半のレポートです。参加者に「うまくいっていること」「うまくいっていないこと」を書き出してもらい、共有しながらコメントを加えました。(2006/11/14)

  • news041.jpgGTD黒帯へのチェックリスト【あなたは何級?】
    GTDを始めてからうまく実践できるようになるまで、いくつか達成すべき“マイルストーン”があります。どこまでできていればGTDが何級なのか? チェックリストで確認してみましょう。(2007/06/01)


関連ツール編

  • news053.jpgアイデアを書き留めるツールを持とう
    GTDをマスターしたら、次のステップはどうアイデアをモノにするか。“アイデアをメモする”という習慣を作るには、便利なツールが欠かせません。(2006/07/28)

  • news064.jpgGTDに役立つトリガーリスト
    GTD最初の難関は「収集」のプロセス。頭の中の「気になること」を吐き出すための「トリガーリスト」を用意した。(2006/07/14)

  • news061.jpg“実践”GTD週次レビューチェックリスト
    GTDの実践に欠かすことのできない「週次レビュー」。百式主宰の田口元氏が自らのチェックリストを紹介する。(2006/08/09)

  • news014.jpgリマインダーを使いこなそう!
    GTDでは、さまざまなツールを使って「思い出さざるを得ない」状況を作ることを薦めています。「特定の時間」だけのリマインダーだけでなく、「特定の場所」からのリマインダーも活用してみましょう。(2006/09/04)

  • news031.gifGTDに使えるデジタルツール〜check*pad+R*PAD
    “うまく行く考え方”であってツールは何でもよい──というのがGTDの基本概念だが、自分なりのツールを見つけるまで、GTDの考え方に沿ったサービスを使ってみるのもいい。GTD実践に向けた、ツールの使い方ガイド。(2007/06/04)

  • news052.gifGTDに使えるデジタルツール──Remember The Milk
    GTDを実践していく上で“使える”デジタルツールにはどのようなものがあるだろうか。前回の「check*pad+R*PAD」に続いて紹介したいのが「Remember The Milk」(RTM)だ。(2007/06/11)

  • news006.gifGTDで使えるデジタルツール──Gmail
    普段からGmailを使っている方に最適──。Gmailのラベルやフィルタを活用して、GTDを実践する方法を紹介します。(2007/06/20)


コラム編


リンク集

  • GTD関連リンク集
    ここではGTDをさらに理解するためのサイトや、GTDを実践するためのツールをご紹介していきます。(2006/06/27)


Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ