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» 2009年07月30日 18時40分 UPDATE

樋口健夫の「笑うアイデア、動かす発想」:議事録、出張、だから何? なんでも即日の原則――ビジネスライティングの基本

何でも即日で書く筆者はサッサライターである。このさっさと書くことが議事録や出張報告書などのビジネスライティングの基本なのだ。

[樋口健夫,Business Media 誠]

 過去3年間付き合ってきた本コラムの鬼編(鬼の編集者)に聞いてもらえばいい。筆者は「サッサライター」である。

連載もさっさ

 コラムの原稿は、さっささっさと書く。頼まれたらすぐに書くことが筆者の信条なのだ。だいたいアイデアマラソンの中のストックがあるから、いくらでも書ける。

 このコラムでも、過去3年間ほとんどいつも先にサッサと書いてきた。それも数週間いや数カ月間分を前倒しにして書いておく。頭に浮かんだ時にどんどん書くからだ。

 ただし、いくつもの連載を抱える編集者に何本もの原稿を先に渡し過ぎると混乱する。受け取った、受け取っていないという修羅場が生じることもある。だからたくさんの原稿を書き貯めていても、鬼編さんに送るのは、わざとギリギリ。また、鬼編さんもその方をご希望である。最悪、「今週の原稿はもらっていましたでしょうか?」というような遠慮がちな問い合わせが入っても、さっと送れる体制なのだ。

議事録は即日提出大至急

 これは現役時代に、報告書の提出で培った習慣である。筆者の勤務していた商社の部署では、会議の議事録出張報告は即日提出大至急ということだった。

 若いころの話。上司と一緒に顧客とのタフな会議に夜遅くまで参加して、その後、食事して帰宅し、次の日の朝一番の飛行機に上司と乗った時のことである。筆者は眠くて寝てしまい、離陸後ふっと気が付く。すると、うかつにも筆者は隣の席に座る上司の肩に頭を乗せて眠っていた。

 あわてて「すみません。失礼しました」と言いながら上司を見ると、昨日の議事録を座席に付いた小さなテーブルで書いていた。

 「わあ、そ、それはわたしが書くべきものです」「君は、疲れているんだから、大丈夫、寝てなさい」。しかられて、強制されての報告書即日提出よりも、よほど効果のある指導だった。筆者は今もその上司を尊敬している。

 こんな体験で、筆者は即日報告を鍛えられた。議事録と出張報告書、客先への往訪メモは、筆者が部門長になった時も即日報告を守らせた。今や筆者の口癖でもある。即日の大切さは、

  1. 間違いを最小限にできること
  2. 報告書の臨場感が異なること
  3. 会議で打ち合わせたことの行動をすぐに手配できること

 などがある。

 特に顧客との会議では「議事録は請うてでもこちらで書かせてもらえ」と心がけていた。会議の合意事項というのは、同じパイを相手と分け合うことに近い。こうなると、合意事項や議決事項を書いた議事録の微妙なニュアンスが重要になる。つまりウソではないが、書いた者が少し得するような内容だ。

  • 「両社は原則、合意した」
  • 「両社は原則、検討することを合意した」
  • 「両社は原則、内容を理解したが、K社は前向きに検討し、X日までに合意を確認することになった」

 もちろん手前味噌にウソを書くことはビジネスマナーでは失格だが、書きようによっては、少しでもニュアンスが異なってくることは避けられない。

 筆者が部門長の時には、自分のチーム内に書記を決めていた。客先が「議事録は、当方で作成いたします」と会議の前に言っても、自分たちでも議事録を書いておく。そして会議の終わりには「相手の議事録担当の人とすり合わせしておくこと」と指示していた。

 両社の打ち合わせの議事録ができ上がって、送られてくるのが1週間後だと、こちらの記憶も薄らぎ、内容に異論があっても、見落としたり、反論できなくなることを恐れているのだ。


 ビジネスライティングは即日が原則。営業の往訪メモも、今では携帯端末でリアルタイムに送れる。海外出張でも日々の報告を送ることで、滞在中の打ち合わせをさらに濃くできるわけだ。

 これらの「議事録、出張報告、往訪メモの即日報告の原則」は、部門長が実行し、部下にも指導していけば実現はそれほど難しいことではない。さらにビジネスの効果も上がり、リスクを軽減できるのだ。

今回の教訓

 頭の中では即日、というより即時にできているのだけども――。


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著者紹介 樋口健夫(ひぐち・たけお)

 1946年京都生まれ。大阪外大英語卒、三井物産入社。ナイジェリア(ヨルバ族名誉酋長に就任)、サウジアラビア、ベトナム駐在を経て、ネパール王国・カトマンドゥ事務所長を務め、2004年8月に三井物産を定年退職。在職中にアイデアマラソン発想法を考案。現在ノート数338冊、発想数26万3000個。現在、アイデアマラソン研究所長、大阪工業大学、筑波大学、電気通信大学、三重大学にて非常勤講師を務める。企業人材研修、全国小学校にネット利用のアイデアマラソンを提案中。著書に「金のアイデアを生む方法」(成美堂文庫)、「マラソンシステム」(日経BP社)、「稼ぐ人になるアイデアマラソン仕事術」(日科技連出版社)など。アイデアマラソンは、英語、タイ語、中国語、ヒンディ語、韓国語にて出版。「感動する科学体験100〜世界の不思議を楽しもう〜」(技術評論社)も監修した。近著は「仕事ができる人のアイデアマラソン企画術」(ソニーマガジンズ)「アイデアマラソン・スターター・キットfor airpen」といったグッズにも結実している。アイデアマラソンの公式サイトはこちらアイデアマラソン研究所はこちら


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