iPadと電子黒板を活用、日立が学習支援ツール

日立ソリューションズは、市販のタブレット端末と同社の電子黒板、専用ソフトウェアを組わせた教育機関向け学習支援ツール「StarBoard Student Tablet Software」を発表した。教師1人、生徒50人のクラス規模で1ライセンス27万900円から。

» 2012年09月12日 14時20分 公開
[上口翔子,Business Media 誠]
「StarBoard Student Tablet Software」を使って生徒4人のタブレットに問題を提出し、それを回収して解説をしているところ

 日立ソリューションズは9月12日、市販のタブレット端末と同社の電子黒板、専用ソフトウェアを組わせた教育機関向け学習支援ツール「StarBoard Student Tablet Software」を発表した。10月1日に提供を開始する。

 価格は教師1人、生徒50人分を1ライセンス換算として、1ライセンス当たり27万900円。生徒が教師が使う端末代金は別途発生する。

 StarBoard Student Tablet Softwareは、教師が使用するPCに専用ソフトをインストールし、そこから無線LAN経由で生徒のタブレット端末に教材を配布したり、回答を回収して評価をするもの。生徒側の端末にはネットワーク設定をしておくだけで、専用ソフトをインストールする必要はない。教師の指示に従って問題に回答したり、表示された画面を閲覧して学んだりする。操作は全てブラウザベースで行う。


  生徒の回答は時系列に沿って保存しておくことも可能。その際のデータは教師側のPCのローカルフォルダに保存され、次回の授業でその続きから開始することが可能

 対応言語は、日本語、英語、中国語、トルコ語の4カ国語。対応OSは、教師用のPCがWindows XP/Vista/7またはMac OS X 10.6/10.7/10.8。生徒用の端末が、iOS 5、Android 4.0.3、Windows 7。7インチ以上の画面を推奨している。

生徒が回答する過程を把握できる

 日立ソリューションズでは、1998年より「StarBoard」ブランドで電子黒板を販売してきた。2012年現在で世界70カ国以上、累計21万台の販売実績がある。電子黒板(ハードウェア)だけでなく、教育コンテンツの活用ソフトや教材、活用支援まで、教育ICT市場に必要な製品・サポートをまとめて提供できる点を強みとしている。

 そのノウハウを生かして開発したのが、今回の新商品だ。同社システムプラットフォーム事業部の坂上秀昭事業部長は「文部科学省が策定している平成23年度の学習指導要領に沿って開発した。中でも重要視しているのが、思考力、判断力、表現力の育成。そして情報つ新技術を通じて、子どもたち同士が教え合い、学び合えるコンテンツを提供していきたい」と説明。現時点では教師が生徒に問題を出し、それに対して一斉に回答する方式だが、今後生徒同士が学び合えるようなコンテンツも拡充していきたいという。

 教師側のメリットは分かりやすさだ。「電子黒板を使う=PCのような機器を使う、というイメージではなく、従来の黒板を使うのと同じ感覚で操作できる分かりやすいものとした。StarBoard Student Tablet Softwareを使うことで教師は生徒が考えている過程を把握でき、個人の進ちょく状況を理解しながら1人1人に合った指導が可能となる」(システムプラットフォーム事業部StarBoardソリューション本部システム部の星勝美部長)

 インタフェースは、生徒が親しみやすいように配慮した。アニメーションを使った仕掛けや、教師向けに生徒の回答にフリーでメモが書ける機能を備えている。今後も電子黒板の普及に伴い、教育現場の要望を吸収しながら、製品を改良していく予定としている。

 日本の教育現場でのICT活用は「正直遅れている」(同社)。とはいえ電子教科書などの国策やタブレット端末の普及に乗じて、StarBoard Student Tablet Softwareのような製品の拡販を見込む。日立ソリューションズによると、米国などではiPadを始めとしたタブレット端末を生徒1人1人に持たせる動きが加速。同社でもメインターゲットの1つとして、日本に続く活性市場に位置付けている。

 なお、今回は教育機関向け発表だったが、要望があればビジネスシーンでの教育ツールとしても、検討していきたいとしていた。

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