Fさんは「やりたいことができるように準備して行動すれば、目標は必ず達成できる」と考えて行動しています。
何かを達成するのには時間が必要だということも自分の体験から分かっているので、仲間の成長を辛抱強く待つことも心がけています。また、時間がかかることが分かっているから、無駄な時間を使ってしまわないように注意するクセもついていきます。結果として横道にそれることなく、目標に向かって最短ルートを設定できるのです。
誰もが「やればできる」と信じているので、誰かと一緒にチームを組んで何かを達成していくことが苦になりません。そして、仲間がやりやすい状態を作る工夫をするのです。こうした協力関係が築けるのも、楽観主義者の際立った特徴と言えるでしょう。
たいていの人が、楽観主義を望ましい態度と考える理由はこのあたりにあるのかもしれません。
それでは、楽観主義の人はどうして困難に立ち向かうことができるのでしょうか? また、私たちは、どうすればこのような楽観主義を身につけて、困難に立ち向かえるのでしょうか?
何か新しいことをやるときには必ず、いいことも悪いことも起こるものです。そのとき「やればできる」がベースにあると、あったことをそのまま「現実である」と受け入れることができます。良い結果を出すには現実を受け入れて、それについてどう対処するかを考えることが必要です。時には、非情なまでに現実的になる必要もあるでしょう。
「こんな仕事は私にはできない……」「こんなことは嫌だ」という感情は誰にも起こるものです。でも、楽観主義の人はそういった好き嫌いという感情に支配されずに、非常に合理的な判断をします。嫌いだという感情があっても、目標のためにそれが必要なら行動する。ただそれだけなのです。
このような生き方の人は、いつも未来に向かって準備をしているので、目の前にあることに不安を感じることが少なくなります。また、精神状態も安定しています。
この安定した精神状態による余裕が、不測の事態にも対応できる柔軟性を生みます。こうすることで「やればできる」という自信がさらに強くなります。誰かをおとしめることなく、目標に向かってぐんぐん進んでいくことができるのです。
「何でも来い! 何か起これば、起こったときに対応する。そのために準備は怠らない」というのがFさんのスタンスでした。そして「やればできる」の楽観主義の人ほど、悪い状況だけでなく、面白いことも逃さずキャッチできたりします。
同じような楽観主義者でも「なんとかなるさ」という安易な考えの人には、こうした芸当は無理な話でしょう。
「やればできる」という信念を持っていた彼女だからこそ、「敵に感謝する」なんていうアクロバティックなこともできたのです。敵に心から感謝するなんて、言葉にするのは簡単ですが、やってみると意外にできないものです。
自分の目標を定めて現状を具体的に見据えながら、どうやったらそこにたどりつけるか。心を静かにして、それを分析してみることから始めてみましょう。
どんなに遠く見える目標でも一歩踏み出せば、必ずその目標に一歩近づくのです。
(次回は、「やらないことリストを作る」について)
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