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4Kテレビが好調なソニー 市場回復の鍵は「4K+αの要素」プレミアム路線が成功

» 2015年06月17日 20時20分 公開
[村上万純ITmedia]
photo BCNアナリストの道越一郎氏

 「液晶テレビ市場は回復基調にある。特に好調なのはプレミアム路線でユーザーの買い替え需要を刺激するソニーだ」――BCNは6月17日、「液晶テレビ回復の兆し、主要4社徹底比較」と題する記者向け発表会を開催。同社は全国の大手家電量販店2454店舗のPOSデータを集計してデジタル家電などの市場動向をまとめ、現状の分析と今後の展望について語った。

液晶テレビ市場の主要4社、プレミアム路線のソニーが好調

 BCNアナリストの道越一郎氏は、「一部上場企業を中心に夏のボーナスは上昇傾向にあるが、デジタル家電への恩恵は限定的だと考えている。買い替え需要を刺激するほどの魅力ある商品が少ないことが要因の1つだが、高機能なプレミアム路線を打ち出すソニーは4K液晶テレビが好調だ」と話す。

photo 液晶テレビ市場は4Kを中心に回復基調にある

 液晶テレビ市場は回復傾向にあり、販売台数は7カ月連続、販売金額は2カ月連続で前年を上回った。4Kテレビのラインアップが充実してきたことが大きな要因で、全体でも販売台数の1割は4Kになっているという。また、道越氏は「3月と4月は新生活前で数字の変動が大きい特殊な時期だと考えてほしい。2014年は消費増税の駆け込み需要があり、2015年はその反動で消費が冷え込んだ。一方で、デジアナ変換が終了したこともあり、購買を後押ししている面もある」と説明する。

 2015年5月の液晶テレビ市場は40型以上の大型モデルが全体の3割を占めるほか、販売金額比率も全体の3割を超えており、大型化・4K化の波が来ていることが分かる。液晶テレビ全体のシェアではシャープが約4割を占めるが、収益率の高い4Kテレビの比率が少なく、経営に苦戦している。東芝も同じく4Kテレビの台数構成比が小さいほか、小型モデルを中心に販売金額が増加傾向にあるパナソニックも、販売台数は前年並みに落ち着いた。

photo 販売台数・金額ともに4Kテレビの比率が増えている

 一方、ソニーは販売台数・金額ともに好調だ。4K対応テレビの販売台数比率は全体の24.7%で、金額構成比に至っては5割を超える。ソニー“BRAVIA”(ブラビア)のフラッグシップモデルは、高画質&高音質がウリで、新4Kプロセッサー「X1」や、高輝度化処理を高精度に行う「XDR」(X-tended Dynamic Range)、ハイレゾ音声対応など、ユーザーの消費需要を刺激する魅力が多い。

photo 主要4社(シャープ、ソニー、パナソニック、東芝)の現状

 シャープの経営難については「液晶テレビ市場のトップシェアであるという自負があり、フルラインしかないと思い込むことで視野が狭くなっているのではないか」とコメントした。


 道越氏は「今後、テレビがさらに進化してスマホやPCなどの役割を果たしていくようになると、現状のフルHDでは間に合わず、高解像度化が必要になる。その中で、買い替えたくなるような新機能が付いているとか、フィリップスのように照明と連動するテレビなど、新機軸のものが日本でも求められる。これからは4K+αの魅力が必要だ」と今後の展望を語った。

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