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ついにiPhoneが対応した「チーのワイヤレス充電」ってなんだ?

» 2017年10月18日 12時05分 公開
[山本敦ITmedia]

 Appleの新しいiPhone X、iPhone 8シリーズがワイヤレス充電に対応した。これは「Qi」(チー)と呼ばれるワイヤレス充電技術によって実現したもの。Qiとは何か。またiPhoneがワイヤレスでも充電できるようになったことのメリットについて考えてみよう。

アップルの新しいiPhoneがQi規格のワイヤレス充電に対応した

 QiとはWireless Power Consortium(WPC)が策定、普及に力を入れているワイヤレス充電技術の国際標準規格だ。スマートフォンがワイヤレス充電に対応すると、USB端子を省いて本体の防水・防塵性能を高めることもできるようになることから、国内では2012年以降、2013年頃からAndroidを中心に対応機種が少しずつ登場してきた。その後もNTTドコモが「おくだけ充電」という呼び名で機能を流行らせようとしたり、Qiによるワイヤレス充電が可能なスマホもサムスンのGalaxy Sシリーズなどに広がってきたが、あまりブレイクしたような気配は感じなかった。ところが2017年の秋を迎えて、新しいiPhoneがこれに対応することが判明すると再びそのブームに火が付いた。

iPhone 8の背面をみても、特に「ワイヤレス充電できます」的なことは書いてない

 ワイヤレス充電に対応するiPhone 8は既に発売され、iPhone Xも間もなくのリリースを控えているが、どちらのiPhoneもワイヤレス充電パッドは買った箱の中には同梱(どうこん)されていない。純正のワイヤレス充電パッドである「AirPower」の発売は、残念ながら2018年まで待たなければならない。現在AppleのオンラインストアではMophieの「Wireless Charging Base」やBelkinの「Boost Up Wireless Charging Pad」などが販売されている。Belkinの製品は最大7.5Wの高速ワイヤレス充電に対応しているが、その機能は年内に無料で提供されるソフトウェアアップデートをかけた後から利用できるようになる予定だ。

Belkinの「Boost Up Wireless Charging Pad」(左)と「Boost Up Qi Wireless Charging Pad(5W)」(右)

 Qi対応のワイヤレス充電そのものは以前からあるので、充電パッドは意外に選択肢が広い。5Wのスタンダード充電モデルでも十分ということであれば、北欧家具のIKEAが販売しているワイヤレス充電パッド「NORDMAERKE」もインテリアに違和感なく馴染むし、とてもスタイリッシュでおすすめだ。自宅には美観を重視してこれを置き、オフィスでは高速充電対応のパッドを使うも良し。もしも家族に複数のワイヤレス充電対応のiPhoneを使う者があれば、毎晩パッドの争奪戦が繰り広げられるであろうことは必至なので、リビングとプライベートルームにパッドを1個ずつ配備するくらいでもいいぐらいだ。

イケてるIKEAのワイヤレス充電パッド「NORDMAERKE」
IKEAの「NORDMAERKE」は家族が仲良く使える“トリプル”もあるぞ!

Qiを活用する上で知っておきたいこと

 Belkinから発売されている「Boost Up Wireless Charging Pad」、ならびに「Boost Up Qi Wireless Charging Pad(5W)」はともに製品の特徴として「厚さ3mmまでのケースをスマホに装着したまま使える」と書いてあるが、Suicaやクレジットカードなどを挟めるタイプのケースについては要注意。磁気カードに不具合が起きる可能性もあるので、ケースの厚みにかかわらずiPhoneを外してから充電した方が安全だ。

 アップル純正のAirPowerが発売されれば、Apple Watchのユーザーは旅行の時に専用の充電ケーブルと、iPhone用のLightningケーブルを両方一緒に持ち歩く手間から解放されそうだ。ただし、AirPowerはその価格だけでなく、どの世代のApple Watchに対応しているかなど詳しい仕様が分かっていないので、喜ぶのは少し待った方がいいかもしれない。

スペック的にはまだ謎の多いアップルの「AirPower」だが期待も大

 街中でQiに対応するiPhoneやスマホを充電させてくれるカフェやパブリックスペースはないのだろうか。インターネットで検索してみても、残念ながらワイヤレス充電が気軽に使えるように、来客向けにサービスを解放しているコマーシャルスペースには今目立ったものがなさそうだ。“おくだけ充電”をプロモーションしてきたNTTドコモの広報に聞いたところ、ドコモショップでもおくだけ充電がスタートしてから今日まで、ショップでオフィシャルにワイヤレス充電器による無料充電サービスを提供したことはないという。代わりに契約者であればケーブルによる無料充電サービスは利用できる。

 今後、新しいiPhoneだけでなく、AirPodsや将来発売されるiPadなどもQi対応のワイヤレス充電機能に対応してくれば、あるいは街中でも気軽にワイヤレス充電ができるスポットが増えてくるかもしれない。まずはiPhone 8シリーズを買った人、これからiPhone Xを買う予定の人からその便利さを体験してみてほしい。

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