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おいしく麺をすすろう! 日清食品が開発した「音彦 -OTOHIKO-」寄り道テック

» 2017年10月23日 21時50分 公開
[芹澤隆徳ITmedia]

 訪日外国人観光客数が急増した昨今、「ヌードル・ハラスメント」なる言葉を聞く機会が増えた。日本人が麺をすする音が外国人に不快感を与えるという主張だが、ソバなどを勢いよくすするのは江戸の昔からある日本の文化。止めろというのは野暮というものだ。むしろ認知を拡大し、外国人観光客にも「粋だねぇ」と言ってもらえるようにしたい。

日清食品が開発した「音彦 -OTOHIKO-」

 ただ、相手の文化も大切にすることも日本流の“おもてなし”。そして無駄にも見える努力をいとわないのが日本の技術者である。日清食品が開発した「音彦 -OTOHIKO-」は、そんな日本人気質から生まれた“麺すすり音カモフラージュ機能搭載フォーク”だ。「麺をすすっておいしく食べることに対する文化や価値観の違いによって生まれる軋轢(あつれき)を解消するために開発した」(同社)という。

麺をすすったことのない人にも新しい体験を

 音彦は、名称から想像されるようにTOTOの「音姫」に着想を得たもの(名称についてはTOTO許諾済み)。見た目はただの太めのフォークだが、柄の部分に集音マイクを搭載し、麺をすする音を感知したらBluetoothでiPhoneの専用アプリに通知する。すると、スマホのスピーカーからカモフラージュ用の音源が流れる仕組みだ。本体に防水機能はなく、使用後はフォーク部分のみを洗浄する。

現在のところ、専用アプリはiOS版のみ

 ただし技術的なポイントは、構造よりもむしろ“麺をすする音”を判別する部分にある。同社では膨大な“麺をすする音”を収集し、サンプル音のデータマイニングによって特徴点を抽出。かすかな麺をすする音さえ逃さず感知し、聞こえにくくするカモフラージュ音の開発に成功したという。

麺をすする音のサンプリング風景

 カモフラージュ音は、商品紹介PVで聞くことができる。制作を担当したのは、大分県別府市の「湯〜園地」や「シンフロ」といった作品を手がけ、自然音から楽曲を紡ぐ鬼才と価されるサウンドクリエイターの清川進也さんだ。

 「音彦って、1つの幸福論だと思うんです。他者に気を使って麺をすすっていた人に思い切りすする自由を提供することもそうですし、今まで麺をすすったことがない人も、音彦によって新しい体験へと踏み出し、新しい幸せを感じることがきっとできるから」(清川さん)

 日清食品では、「音彦 -OTOHIKO-」を同社グループのオンラインストア限定で5000セット販売する計画。価格は1万4800円(税込)。ただし、予約申込数が5000セットに達した場合のみ販売する方針だ。

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