コラム
» 2004年05月19日 21時40分 UPDATE

番号ポータビリティー、香港の現状 (1/2)

契約する事業者を変更しても、携帯電話の番号が変わらない「番号ポータビリティー」。日本でも早ければ2006年中に実現する見込みとなった。海外に目を向ければMNPを導入している国は多い。中でも1999年3月にMNPが導入された香港では、MNPが盛んに利用されている。香港のMNPの現状を探った。

[山根康宏,ITmedia]

 6社の携帯電話事業者がひしめく携帯大国、香港。香港電信管理局(OFTA)の調べでは、2004年1月現在、人口約680万人に対し携帯電話の普及率は96.7%(契約+アクティブなプリペイドユーザー)である。昨年「番号ポータビリティー」(MNP:Mobile Number Portability)を利用したユーザーは103万5717人。1年間にユーザーの約16%が利用しており、利用率は非常に高い。

MNPの利用は簡単

 契約ユーザーがMNPを申し込む場合、申請は非常に簡単だ。新しく契約したい携帯電話事業者のショップへ行き、新規契約の申し込みと同時に専用の申請書に記入を行う。回線切り替え日(通常1〜2日後)と時間帯の指定も可能。GSM方式なら、その場で新しい事業者のSIMカードを受け取り、回線切り替え日を待つだけだ。

 指定した時間になると、現在のSIMカードの事業者の回線が停止される。携帯電話のディスプレイを見ていれば、アンテナマークと事業者名が消えるはずだ。ここでSIMカードを新しい事業者のものに入れ替えれば、同じ番号で再び携帯電話が利用できるようになる(実際の切り替わりには1時間程度かかるようだ)。

MNPの利用が普及した背景

 香港はほとんどのユーザーがGSMを利用している。携帯電話端末は各事業社で同じものを利用し、回線契約はSIMカード方式だ。事業者ごとに異なった専用端末を使う日本とは事情が異なる。MNPの利用はSIMカードの入れ替えだけで済んでしまう。ハード的には、GSM方式はMNPを受け入れる下地が既にでき上がっていたともいえる。

 またコンテンツサービスはあまり利用されておらず、利用のメインは音声通。よって事業者を変更しても日本とは違い、サービス内容に大きな違いはない。乗り換える敷居も高くはないわけだ。

 一方で、普及率から分かるように香港における携帯電話は社会インフラに組み込まれた生活必需品となっている。あらゆる連絡手段の基本である携帯の電話番号は非常に重要なものだ。こうした事情もあって、電話番号を変更せずに料金やサービスが有利な事業者に乗り換えることが可能になるMNPは、香港では自然と利用される結果になった。

 MNPの利用が香港で普及した背景には、GSM方式(ハード)と、香港における携帯電話の使われ方(ソフト)が相互にうまく作用した結果といえる。

MNP導入によるメリットとデメリット

 MNP導入による最大のメリットは料金の値下がりだ。MNP導入後から最近に至るまでの料金の推移を見ると、通話料は3分の1〜4分の1程度、また最低基本料金のプランも3分の1から半額程度下がっている。

 さらに、各事業者とも顧客の引き留めには必死だ。各社が導入しているのは年間固定契約した場合の優待サービス。たとえば1年契約を結んだ場合は、毎月の無料通話分が追加されたり転送料金や番号通知が無料になる。ただし途中解約は違約金がかかる。

 年間契約は自動延長されないため、契約して1年も経つと事業者から再度年間契約の案内が来る。現在の契約内容以上の優待をオファーされることもある。

 一方で、各事業者は「他社からのユーザーの取り込み」にも力を入れている。たとえば新規契約者(他社からの移転も含む)にはボーナス無料通話料を進呈したり、最新端末の大幅割引を行っている。

 MNPを利用して他社に変更した場合でも、GSM方式であれば現在使用中の端末はそのまま使える。しかし移転先で最新端末が格安で買えるとなれば、端末欲しさに移転を考えるユーザーも出てくるだろう。

 なお割引を大きく設定し、他社を利用中のユーザーが1年契約途中解除の違約金を払って乗り換えてきても、差額がプラスになるような価格設定にしている場合もある。

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