2025年12月10日、ソフトバンクは「ソフトバンクが考える5Gネットワークの進化」というラウンドテーブルを開催した。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2025年12月13日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
オープンシグナルの調査ではauが3連覇を果たす中、ソフトバンクの宮川潤一社長は「現場では調査方法がどうかと思っている」と主張。ソフトバンクのネットワーク部隊としては、auに決して見劣りしない、ユーザーが高品質を実感できるネットワークが構築できていると自負しているようだ。
実際、ソフトバンクでは5G SAを急速に広めている。エリアだけでなく、Apple Watch発売時にはRedCap、Xperiaの新製品が出た際にはVoNRを導入するなど、5G SAエリアが構築できているからこそ導入できる新技術を矢継ぎ早に採用している。
ソフトバンクの話を聞いていると、ひとつ肝になっていそうなのが「C-RAN構成」だ。異なる場所にある基地局も、集約された制御装置(BBU)によって処理を行うことで、すべての周波数帯を最大限に利用でき、ユーザーの体感を上げられるというわけだ。
異なる場所の基地局、複数の周波数帯、さらに異なるメーカー機器を集約的に制御できるようになったのは、ボーダフォン買収後、イー・モバイルやワイヤレスシティプランニングなど良い意味で「寄せ集め」のネットワークだったからこその知見といえそうだ。
FDDとTDDのキャリアアグリゲーションにおいても、電波が飛びやすいFDDでULを送信することで、TDDエリアを拡大しつつ、UL速度の向上につなげるという。
また、4.6万局でHPUE(High Power User Equipment)に対応することで、端末の送信電力を上げて、エリアを拡大しつつ、UL速度の向上に寄与している。
ソフトバンクの強みはやはりTDDの扱いが上手い点にあるとされる。
ネットワーク品質で苦戦している他社は、どれだけ、基地局間の連携が図れているのか。過去に説明会で「基地局のアンテナの向きを調整する」とか「セルエッジ部分ではどうしても品質が落ちる」とか「プラチナバンドをつかんでしまうと、なかなか他の周波数帯に移行しない」といった話を聞くにつれて、基地局や制御装置で複数の周波数帯を上手くコントロールできていないのではないかという疑問が湧くのだ。
単に基地局の数を増やすという対策も効果があるのかもしれないが、ネットワークの品質問題が浮上してまもなく3年になろうとする中、単に「トラフィックが増えた」だけではない、構造的な原因があるような気がしてならないのだ。
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