3Gサービス開始で欧州勢力図は変わるのか欧州携帯市場の勢力図(2)

» 2004年05月21日 20時54分 公開
[末岡洋子,ITmedia]

 欧州の携帯市場について、現状と今後の動向を探る企画「欧州携帯市場の勢力図」。第1回では、欧州各国でデータ通信サービス「Vodafone live!」を展開するVodafoneグループに、通信オペレータ各社がアライアンスで対抗する動きがあることを紹介した(5月19日の記事参照)。

 こうした欧州の動向を、どう見たらいいのだろうか。「規模をめぐる戦い」と話すのは、英国の調査会社Ovumのアナリスト、ニール・アンダーセン氏だ。技術力や経済力を備えた大手オペレータの優勢は今後さらに強くなると言い、今後も多少の変動はあれど、シェアの順位は簡単には変動しないという見方だ。ちなみに、英、仏、ベルギーなどで導入されたナンバーポータビリティも、各社のシェアにはほとんど影響を与えていない。

 アンダーセン氏が今後の成長を占うキーワードとして挙げるのは、“既存顧客をいかにして引き止めるか”。例えば新規参入組の3G専業オペレータHutchisonは、徹底的な低価格戦略を展開。2003年のクリスマス商戦以降、着実に成果を上げている。

 またカメラ付き携帯電話が普及期に入った今、“どんなMMS(マルチメディア・メッセージング・サービス)を提供すればユーザーをつなぎ止められるのか”も、鍵になりそうだ。その点では、「最大手Vodafoneの評価が高い」とアンダーセン氏。「特に英国において、顧客ケアの向上やネットワークなど技術面の改善が見られる」と言う。

 端末メーカーとキャリアが手を組むことで可能になる、端末とサービスのセット化は“日本式成功パターン”ともいえる方式。欧州では端末ベンダー主導で市場が発展してきた経緯から、端末ベンダーはこの方式に乗り気ではないが、Vodafoneはこれに準じた方式で成功を収めている。

 同社はアジア系端末メーカーと連携を図り、「Vodafone live!」対応端末としてアジアメーカーのものも多数投入。シャープ製端末の人気が人気を博しているのは有名な話だ。3Gの第一号機にも韓Samsung製のものを採用している。

 またOrangeもキャリアのロゴ入り端末を提供中で、さらに増やす意向。オペレーターによる端末のブランド化も、今後の重要な鍵を握りそうだ。

欧州3Gサービスの現状

 次に、3Gがオペレータの勢力図に与える影響を見てみよう。

 欧州で3Gサービスが導入されたのは2003年3月。ドコモが資本参加している香港のHutchison 3 UKが、英国でまず開始し、以降Hutchisonは、伊、スウェーデンなどで3Gを展開している。

 昨年まで3Gサービスの導入については静観してきた主要欧州系オペレータ各社だが、2004年に入ると2月にVodafoneが、データ通信カード「Vodafone Mobile Connect 3G/GPRS PC Card」で3Gサービス参入を発表。その後、T-Mobileもデータ通信カードを使った3G参入計画を発表するなど、欧州3Gはビジネスユーザー向けのデータ通信カードで幕を開けた。

 5月にはVodafoneが、一部市場でコンシューマー向け3G向けポータルサービス「Vodafone live! with 3G」の提供を開始(端末はSamsungが提供)するなど、3Gを巡る動きがあわただしくなっている(2月25日の記事参照)。

 ただ3G商戦が立ち上がるのは早くても、端末の25%がこの時期に売れるといわれるクリスマスシーズンから。一般ユーザーに認知され、浸透し始めるのはそれ以降になるという見方が大勢を占める。

オペレータの3Gライセンス取得状況は

 現在、主要オペレータの中で3Gライセンス取得国が最も多いのがVodafoneで、12カ国。次いでOrangeの11カ国、Hutchisonの6カ国と続くが、Orangeは、独、スウェーデンの2市場については、3Gライセンスを行使しないと見られている。

通信オペレータ ライセンス取得国
Vodafone 英、独、仏、伊、オランダ、ベルギー、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、スウェーデン、スイス
Orange 英、独、仏、オランダ、ベルギー、ポルトガル、スウェーデン、スイス、オーストリア、デンマーク、ルクセンブルグ
Hutchison 3G 英、伊、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、アイルランド、ノルウェイ
T-Mobile 英、独、オランダ、オーストリア
TIM 伊、ギリシャ
Telefonica 独、伊、スペイン、スイス、オーストリア
mmO2 英、独、アイルランド
KPN 英、独、オランダ、ベルギー

 T-Mobile、mmO2、TIMは、現在2(2.5)Gを提供している各国で3Gを提供することになる。Hutchisonに出資しているKPNは、独、オランダ、ベルギーの既存3カ国にHutchisonを通して英市場を加えることになる。

 各事業者の3G展開計画を見ると、3Gの導入後もオペレーターの位置付けに大きな変化は起こらないと見ていいだろう。欧州最大の市場である独・英・仏・伊・スペインの5カ国をすべて手中に収めているVodafoneの優勢は当面続きそうだ。ただ、既存顧客ベースを持たないHutchisonが、どこまで他社からの乗り換え顧客を集められるかは、順位に影響を与える要因になるかもしれない。

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