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» 2004年06月03日 23時03分 UPDATE

目指すは週100万台〜Symbianの狙い

携帯向け汎用OSの提供元である英SymbianのCEOが来日、同社を取り巻く状況と、携帯OSの今後の方向性を話した。MicrosoftもLinuxも恐るるに足らず──携帯に特化するSymbian OSの強みと狙いはどこにあるのか。

[斎藤健二,ITmedia]

 携帯向けOSベンダーとしてのSymbianは、今、急速に勢力を伸ばしている。2004年第4四半期に出荷されたSymbian OS搭載端末は240万台、現在開発中の搭載端末は9メーカー、30機種に上る。

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 好調に業績を伸ばす英Symbianのデビッド・レビンCEOが6月3日に来日。同社を取り巻く状況と、携帯OSの今後の方向性を話した。

 国内のSymbianの動向を見ても、FOMA開発メーカーを中心に強固な地位を築きつつある。「日本ではドコモと強力な連帯関係を組んでいる」(レビン氏)と言う通り、端末開発コストの増加をにらんで、ドコモはFOMA向けOSとして、LinuxとSymbian OSを推奨している。

 それを受けて富士通が、「F2051」「F2102V」「F900i」「F900iT」と立て続けにSymbian OS搭載端末を開発したほか、三菱電機も富士通と組んでSymbian OSを採用していくことを発表している(3月24日の記事参照)。FOMA開発プラットフォームとしては、NEC・パナソニック モバイルのLinux陣営と、富士通・三菱陣営のSymbian OS陣営に大きく二分されている形だ。

圧倒的に短縮される開発期間

 携帯電話が高機能化し、ソフトウェア開発期間が長期化するに伴って、汎用OSを使った統一プラットフォームの需要は着実に増してきている。実際、Symbian OSを採用した富士通の場合、最初の1台こそ約1年半の開発期間が必要だったが、2台目以降は半年で市場投入できるようになったという。

 「(従来の携帯が使っていた)ITRONと違うため、最初の機種はたいへんだが、2番め、3番目はすぐに出てくる。いったん出せば、その派生モデルを2、3カ月でどんどん出せる。そういうことが可能になってくる」(シンビアンの久晴彦社長)。

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Microsoft、そしてLinuxに対するSymbianの優位性

 国内外の多くの端末メーカーが期待するSymbian OSだが、携帯のOSとして一人勝ちとまではまだ言えない状況だ。国内ではLinux、海外ではMicrosoftが、ハイエンド端末向けOSの候補として挙げられている。

 「Microsoft OSとの競合はもちろんある。(Symbianの強みは何かといえば)1つは、それぞれのライセンシーに対して、製品を差別化するためのカスタマイズ許可を出していること。2つめは、Symbianの製品は、携帯性があること、移動性があること、小さいこと──Mobile Portable Small。いずれも携帯電話にぴったりだ。3つめは、事業モデルの透明性が高くオープンだということ。ライセンシーはすべて同じ契約を結ぶ。契約料金も同じで、公開されている」(レビン氏)

 レビン氏は「Ctrl+Alt+Deleteのボタンが付いたような携帯を作って欲しいとは思わないでしょう」と揶揄するだけの余裕も見せた。

 家電メーカーを中心に組み込みOSの一大勢力となってきているLinuxに対してはどう考えているのだろうか。

 「全世界統一版のLinuxを提供しているような製品はない。各メーカーがバラバラに提供しているのがLinuxだ。コードベースではLinuxカーネルが占めるのは最大でも15%くらい。85%はLinuxを使っていないわけで、Linux携帯というのはあまり現実にそぐわない。SymbianももLinuxカーネルを評価したが、その上で使わないという結論に至った」

 実際の端末メーカーは、いずれか1つのOSに特化するというよりも、必要な端末の仕様に合わせてOSを選択する場合が多い。ハイエンド端末はLinuxを使って作り込むが、短期間での開発が求められるGSM市場向け端末ではSymbian……という選択を行うパナソニック モバイルや、各OSを取りそろえる韓Samsung、米Motorolaのような例もある。

 ただし、ITRONベースのOSを社内で開発して作り込む──といった時代は、確かに終わりを迎えている。「1週間に100万台」というレビン氏の目標は、決して遠い話ではない。

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