3G移行期の今が、日本市場参入のチャンス〜Nokiaのアジア戦略NOKIA CONNECTION 2004(1/2 ページ)

» 2004年06月22日 15時26分 公開
[後藤祥子,ITmedia]

 世界最大手の端末メーカーであるNokiaにとって、アジアは重要な市場だ。3Gが立ち上がる兆しが見えてきた携帯先進国があると同時に、今後成長が見込まれる国々も存在する。

 こうした将来性のあるアジア市場に対してNokiaは、どのようなアプローチを図るのか。アジア太平洋地域でカスタマー&マーケットオペレーションを統括するウルポ・カルヤライネン上席副社長に、対アジア戦略を聞いた。

W-CDMAへの移行は、Nokiaが日本市場に参入するチャンス

ITmedia アジア地域の携帯市場をどうみているのか。多様性のある市場に対し、どのようなアプローチを図っているのか。

ウルポ氏 これまでは、アジア、欧州、アメリカなどのエリアによって消費者が求めるものが明らかに異なっていた。過去数年のアジアで特徴的だったのは、テクノロジー重視という点だった。小型で折りたたみ型、そして最新のさまざまな技術が盛り込まれた端末が好まれていた。

 しかし最近ではエリアごとの特徴がそれほど顕著ではなくなってきている。市場が各エリアともグローバル化している印象があり、アジアの特徴だったフィーチャーが、アメリカやヨーロッパの携帯電話にも載ってくるようになった。

 ただ、そうした流れがある一方、同じエリア内でも各国の間ではニーズの違いが見られる。例えば日本はほぼ100%、折りたたみ型のマーケットで、ハイエンドの端末が求められているが、同じアジアでも、インドやインドネシア、ベトナム・フィリピンなどは、価格が安いエントリーモデルの需要が高い。

 アジア太平洋エリアは、明らかに多様性のある市場のため、戦略も多様化していかなければならない。

 例えば、新興市場の中国、インド、インドネシア、ベトナム、フィリピンでは、数量を伸ばすことを重要視している。こうした市場に対しては、顧客のニーズに対応できる製品を、どんどん入れていく必要がある。

 もう一つはシンガポール、香港、オーストラリアなど先進市場に向けた取り組みだ。単なる製品だけではなく、サービスも含めた形でよりよいユーザー経験を提案する必要がある。こうした市場向けにはハイエンドの製品を販売していくことになる。

 またアジア地域で、重要なのは販売網の構築だ。日本やシンガポールなどの先進国では小売市場が組織されたものになっているが、ほかの国ではバラバラなところも多い。

 日本は端末販売について、通信事業者がコントロールしているが、ほかのアジアの国々では通信事業者を通じて販売される端末は30%くらいで、あとの70%は独立した販売店が端末を売っている。製品を幅広くカバーできる、適切な販売網を作り上げることが重要だ。

ITmedia 2004年度の日本市場に向けた戦略はどのようなものなのか。

ウルポ氏 (世界共通仕様である)W-CDMAへの移行が進んでいる今が、日本市場のドアを開けるいい時期だ。先に発表した「Nokia 6630」(6月14日の記事参照)は、W-CDMAとGSMのデュアル端末なので、日本でも使える。この製品を日本で売っていくのが戦略の1つだ。ほかにもいろいろと日本市場に対する施策はあるが、まだ言える段階ではない。

 日本で発売予定のNokia 6630(左)と、日本語版が発売されたNokia 7600

 日本でNokiaはさまざまな研究開発を行っている。インフラやネットワークの面から見ても、日本の1つの通信事業者に対しては深く関わっている。一般ユーザーには見えにくい部分だが、既に日本市場には別の面で進出していると言えるだろう。

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