これまでならばiモードなど携帯電話コンテンツとして情報提供があればよかった。しかし改正道交法では、駐車禁止取り締まり強化の前に、運転中における携帯電話の利用規制強化が行われる。「満空情報をケータイで調べる」ことはできないので、カーナビで表示する形になる。
既に2006年の改正道交法を見越した駐車場満車・空車情報サービスは始まっており、パイオニアのAir Naviや本田技研工業(ホンダ)のインターナビプレミアムクラブ対応純正カーナビが対応している。
パイオニアのAir Naviは今年6月に行われたバージョンアップ「ステージアップ3」の目玉として、パーク24の駐車場満空情報に対応。タイムズ駐車場から情報がアップロードされるのと同じ5分間隔で満空情報を更新し、ドライバーに案内する。
「Air Naviは、通信モジュールを内蔵した端末がサーバ側の情報にアクセスする『通信ナビ』ですので、(パーク24に限らず)駐車場満車空車情報が事業者から提供されれば端末を買い換えることなく対応できます。また料金や営業時間などの詳細情報が提供されており、もし変更があった場合もすぐに対応できるのがメリットです」(パイオニア モーバイルエンタテイメントカンパニー事業企画部アフターマーケット企画部企画3課の中根祐輔主事)
パイオニアはカーナビの主力商品として、DVD-ROMを使うエントリーモデルの「楽ナビ」やHDDを使う「サイバーナビ」も用意しているが、こちらは満車空車情報に未対応。リアルタイム性のある満空情報は通信サービスと連携しなければならず、「従来型カーナビでは対応が難しい」(中根主事)からだという。
ホンダではテレマティクスサービス「インターナビプレミアムクラブ」のコンテンツとして、ホンダ純正カーナビ向けに駐車場の満車・空車情報サービスを行っている(2003年10月17日の記事参照)。こちらもパーク24のタイムズ駐車場が提供する満車・空車情報に対応。純正カーナビ付属のケーブルで携帯電話を接続し、通信経由でリアルタイムの満空情報をダウンロードする仕組みだ。
さらに自動車メーカーならではの機能として、車種別の駐車場選別もできる。
「エリシオンなどLサイズのミニバンにお乗りのお客様だと、すべての駐車場にクルマが止められるとは限りません。また立体駐車場はダメというお客様もいます。インターナビプレミアムクラブでは自車のサイズや好みにあった駐車場を、周辺20カ所まで表示させられるようになっています」(本田技研工業インターナビ推進室の今井武室長)
大型のエリシオン、車高が低くて立体駐車場にも止められるオデッセイ、3座2列で車幅は広いが全長が短いエディクスなど、ホンダは魅力的かつユニークな形状のミニバンを多く販売している。そのためクルマのサイズに合わせられる駐車場選別機能は重宝するだろう。
一方、純正カーナビと携帯電話を接続しなければならないのは面倒だが、「2005年夏には純正カーナビのBluetooth対応を行います。ここでは通話だけでなく、(満車空車情報サービスなど)通信についてもBluetoothでやりとりできるようにします。今後の携帯電話キャリアのBluetooth対応に期待しています」(今井室長)。
今のところ駐車場の満車・空車情報サービスは、先進的な駐車場事業者と、カーナビメーカー、自動車メーカーが将来を見据えて取り組んでいる段階だ。しかし改正道交法の施行によってニーズが急増し、ドライバーにとって重要なコンテンツになっていくのは間違いない。
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