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» 2004年07月27日 16時55分 UPDATE

モバイルdeマーケティング 第1回:“無料の雑誌”を支えるモバイルメディアミックス (1/3)

いつもユーザーの身近にある”携帯電話を、広告マーケティング分野に生かそうという動きが顕著だ。リアルと携帯の連携が進む中、その動きは加速している。ここでは「マスメディアと携帯」が結びついたとき、どんな効果を生むのかを検証。人気のフリーペーパー3誌が、“携帯をどう使ったのか”を見ていく。

[三田隆治,ITmedia]

 ブラウザフォンの普及はいまや7000万台を超え、モバイルはメディアとして完全に定着した。広告マーケティングにおいても携帯電話は、従来型のマスメディアである新聞、雑誌、テレビ、ラジオなどと並ぶ、時にはそれ以上のマーケティングパワーを発揮するメディアになりつつある。また、キャンペーンにおける応募ツール、あるいはクーポンやデジタルコンテンツ、プレゼントアプリを提供するツールとしての携帯電話の活用もさまざまな業界・分野で進んでいる。また、話題の携帯電話へのFeliCa搭載も、よく言われている決済機能だけでなく、消費者とのコミュニケーション・ツールとしてもさまざまな活用方法が考えられる。

 携帯電話の持つ特性が従来のマスメディアと結びついたとき、どのようなシナジーが起こるのか──。また、消費者に対する新たなコミュニケーション・ツールとして、企業がどのように携帯電話を活用しているのか──。本シリーズでは、「メディアミックス」によるモバイルマーケティングや、消費者の生活に密着したツールとしてのモバイル活用などを、最新事例を見ながら分析、レポートする。

 第1回は、携帯とフリーペーパーの連携によるメディアミックスの可能性を探った。エフモードの「F*mode」、タワーレコードの「bounce」、リクルートの「R25」は、いずれも携帯とフリーペーパーのメディアミックスを効果的に利用し、成果を上げている。

 「えっ、この雑誌がタダ!?」……最近、とても無料とは思えない、装丁、誌面ともに質が高いフリーマガジンが増えている。「今までお金を出して買っていた雑誌と遜色ない内容の刊行物がタダで手に入る」ことから、そのインパクトは大きい。

 同時に、「どうしてこんなに立派な雑誌が無償配布できるのだろう?」という素朴な疑問もわいてくる。今回は、最近はやりの「無料の雑誌」を成立させる広告マーケティングの仕組みと、その中で携帯電話が果たす役割をレポートする。

18万部を無料配布する「F*mode」

 「どうしてこんなカワイイ雑誌が無料で?」──。「ファッションフリーペーパーF*mode」を初めて手に取った女性は、こんな驚きの声を上げるに違いない。

 男性には少々分かりづらい世界だが、市販の女性ファッション誌と比べても遜色ない、モデルを起用した最新カリスマファッションの数々。誌面は堂々たるオールカラー160ページ構成で、女性誌によくあるエステや美容整形の広告も一切載っていない。

 そんなフリーペーパー「F*mode」の編集・刊行を手がけるのは、携帯電話3キャリアの公式サイト「F*mode」で、ファッションアイテム通販を手がけるエフモードだ。

 「フリーペーパー『F*mode』は、年4回の季刊ベースで、約18万部を発行。全国200カ所以上のセレクトショップやカフェなどで配布しています。また携帯サイトF*modeのオンライン・ショッピング購入者には商品発送時に同梱しています」とエフモード代表取締役社長兼プロデューサーの一川立裕氏は説明する。

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 F*modeは季刊で配布される。モデルも起用したグラビア誌面は、とても無料とは思えないクオリティの高さ。「元々は年2回発行でファッション誌を販売してきていたのですが、昨年10月にそれを廃刊して、フリーペーパーとして新創刊しました。前身のメディアファクトリーのF*mode編集部から独立・会社設立してちょうど1年経ったタイミングでした。今後の事業展開を考えるうえで、とにかく高感度なユーザーとファッション業界と広告業界にインパクトを与え、支持されるメディアを目指しました」(一川氏)

 最近、携帯電話による通販でも、特に女性向けファッションアイテムやフレグランス(香水)などは高い人気を博している。その多くが「市価より安い値段で、居ながらに買える」ことをポイントとしている。しかしF*modeは「店舗数が少なく、数にも限りがある入手困難なカリスマファッションを、ケータイを使って確実に購入できる」ことを核としている。

 携帯通販によくあるアウトレット型の販売は行わず、値引きも一切していない。同社が扱うのは、ファッションに敏感な女性に支持されるような、カリスマ性の高いセレクトショップのアイテムだ。「Another Edition」「blondy」「carlife」「Cher」「FREE’S SHOP」「LamBda」「WR」「Ray BEAMS」など、東京以外の地方都市では、ごくわずかな店舗でしか入手できないようなカリスマアイテムばかりを扱っている。

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 フリーマガジンのほかにも、F*modeは、「ライブF*mode」など、さまざまなイベントを通してブランディング向上に力を入れる。こうしたイベントのすべてがケータイサイトのバリューを高める力として蓄積される

 一川氏によれば、F*modeの、通販カタログくささのない誌面は、同社のメインとなる携帯ビジネスを強化・補完する上でも重要だと言う。「F*modeがパートナーシップ契約を締結しているセレクトショップのオーナー・プレスは、その多くがITやケータイには無縁の女性たちです。自社ブランドが大衆化しすぎると、流行として消費されてしまう。だから彼女たちは、どちらかといえば通販には消極的で、Webサイトすら持たない場合も多く、細く長く支持されることを望んでいる」(一川氏)。

 フリーペーパー「F*mode」は、こうしたセレクトショップのオーナー・プレスたちにとって、「これなら店に置いてもいい」、と思ってもらえるものでなくてはならなかったという。「フリーペーパー『F*mode』は街頭配布やラック設置は一切行いません。オシャレな空間でオシャレな女性だけが入手できるセグメントメディアです。でも、18万人にリーチできる」(一川氏)と話す。

 フリーペーパー「F*mode」の編集や印刷、配布にかかるコストは「まともに作ったら優に2〜3千万円はかかる」(一川社長)というが、同社の携帯サイトは、それを上回る売上を上げ、なおも増加中だ。サイトの購買層は20代半ばの女性が中心で、1カ月に費やすファッション費用も平均より高いという。

 同社は、携帯サイトと並行して、一見商売っ気が薄いようにも見えるファッションフリーペーパーを効果的にプロデュースすることで、「優良顧客」をリピーターとすることに成功している。携帯サイトの活用が「ブランド力」の確立に一役買っているようだ。

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