メディア化で、退会率を減らす〜ドワンゴ

» 2004年09月09日 01時11分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「いろメロミックス」はいまや、3キャリア合わせて400万会員を誇る着メロサイトに成長した。ドワンゴはここで生じるトラフィックを活かし、サイトのメディア化を目指す。

 9月8日の「CEDEC 2004」の講演で、ドワンゴのコンテンツビジネス部第一制作セクション、プロデューサーの橋本裕之氏と、コンポジットの取締役、編成局統括プロデューサー高橋ピョン太氏が登場。いろメロミックスの今後の展開を話した。

ユーザーをつなぎとめるコンテンツを

 いろメロミックスのメインユーザーは、10代後半から20代前半まで。「テレビ番組で調査したところ、渋谷の女子高生に聞いたら9割は『いろメロミックス』を知っているようだった」(橋本氏)。極端なライトユーザーが多く、全体の9割を占めるのも特徴だという。

 若年層を中心に多くのユーザーを集めるいろメロミックスだが、悩みもある。その1つが当月退会率(あるいは“当日退会率”)だ。「当月退会率はとても高く、会員になってから目当ての曲にまっすぐアクセスして、ポイントを使い切ってやめて(退会して)しまう」

 こうした状況を打開するため、ドワンゴは着メロ、着うた以外のコンテンツも提供している。1つの例となるが「いろメロ生放送」(2003年12月5日の記事参照)だ。いろメロミックスのトップページの、目立つ位置にコンテンツとして配置されている。

 その内容は、番組形式で各種情報をユーザーに提供するというもの。DJやレポーターが張り付いて、ユーザーからの投稿をリアルタイムに紹介するということも行っている。

 「毎日、40万人くらいがトップページに来てくれるが、そのうち4万人ぐらいがいろメロ生放送にアクセスする」。この数字は“そこそこ売れていて、コンビニ売りもする雑誌”の部数に匹敵すると同氏。ユーザーからの投票コーナーでは、数時間で何千通単位の投票が集まるという。

 悩み相談のコーナーなども人気が高く、定番の「恋愛相談」はメインのユーザー層に好評なようす。

 「担当者の『みどりん』は、私の席の前に座っている普通の女性なのだが、タレントに匹敵する人気がある。ユーザーから、『ねぇみどりん、聞いて』といった風に話しかけられている」

Flashのミニゲームも提供

 いろメロミックスでは、ゲームも提供している。「ダウンロードアプリではライトユーザーに面倒がられるかと配慮し、Flashにした。“画面メモ”でゲームにリンクでき、パケ代にも優しい」(高橋氏)。

 ドコモの505iシリーズなどの場合、1ページに読み込める最大ファイルサイズは20Kバイトしかない(2003年5月12日の記事参照)。これではゲームといっても制限がありそうだが、「ワンボタンで、タイミングを図って操作するようなゲーム」(同氏)を多く提供した結果、ユーザーにはなかなか好評だという。

 「成績のランキングでは、『最近10分間のランキング』を表示し、ライトユーザーでも名前が表示されるようにするなどの配慮をしている」

 着メロサイトでゲームを提供するというのは、「ちぐはぐに見えるかもしれない」と橋本氏。しかしユーザーは、そのうちゲーム目当てでも来てくれるようになる。人の集まるところには、チャンスがあるという考えだ。

 PCの世界では、検索エンジンに人が集まり、そこが次第にポータルサイトへと変わっていった。携帯の世界では、集客力のあるサイトといえば着メロ・着うたサイト。ここにコンテンツを増やしていけば、ポータルになり得る。

 両氏はいろメロミックスを、「それを中心にして、ユーザー間で話が盛り上がるような『メディア』」にしたいのだ、と話した。

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