901iシリーズでのセキュリティスキャン実装は「3年越しの取り組み」

» 2004年11月26日 09時05分 公開
[ITmedia]

 11月25日、26日にわたって開催されている、ウイルスに関するカンファレンス「AVAR 2004」初日のセッションに、マカフィーの加藤義宏氏(技術本部本部長)が登場し、日本の携帯電話向けのウイルス対策機能について説明した。

 携帯電話の世界でもすでに、Symbian OS搭載端末に感染する「Cabir」のようなウイルスが登場しつつある。加えて汎用OSの普及といった背景を踏まえ、NTTドコモは先日、901iシリーズの共通機能として、McAfeeの「VirusScan」をベースとしたウイルス対策機能、「セキュリティスキャン」を搭載することを発表したばかりだ。このセッションでは、NTTドコモとの関係上から技術的な詳細までは明らかにされなかったが、取り組みの背後にあった大まかな方向性が紹介された。

 加藤氏によるとセキュリティスキャン機能の搭載は、携帯電話がJavaを搭載するようになった3年前からの取り組みがようやく結実したものだという。「携帯電話におけるウイルスや不正なプログラムが登場する可能性があると考えた一番の契機はJava搭載だった」(同氏)。

 携帯電話には他にも、データスペースの拡張や外部メモリデバイスの接続など、リスクを高める要素が複数存在する。そういった要因を踏まえると、「中には『携帯キャリアの網側やゲートウェイ側で対処すればいい』という意見もあったが、PC同様、端末側にもコンテンツスキャンやファイアウォール的なものが必要だ」(加藤氏)。

 実装に当たっては、携帯電話独自のOSや処理能力の限界など、いくつかのクリアすべき「カベ」があったという。特に、「ウイルス定義ファイルの配布は誰が、どのような形で行うかという運用の仕組みについては、メーカーとキャリア、McAfeeの三者が一緒に取り組まないと実現できなかった」(同氏)。

 加藤氏は、「携帯電話の機能が増え、いろいろな人がさまざまなソフトウェアを作るようになると、こうしたセキュリティ機能は必須のものになる」と述べ、さらなるセキュリティ機能の強化が求められるとした。

 具体的な例の1つが、PCのURLフィルタリングと同様のコンテンツアクセスコントロールだ。他にも、個人認証機能や不正コードの侵入/動作を阻止する機能の高度化などが必須になるだろうという。

 「近い将来、日本の携帯はPCと同じか、それ以上のものになるだろう。すでに8300万台存在するこうした携帯端末を守ることは非常に有意義かつ必須の事項だ」(加藤氏)

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