はあちゅうさんは、ブログのおかげで「『悪あが記の』はあちゅうです」と名乗れるようになったと話す。それまでいろいろ活動していて、「すごいね」と言われることはあっても、そこまでだった。ブログは、自分にアイデンティティをくれた。
さきっちょさんは、ブログを始めなかったら、きっと東京に出てこないで地元で就職していただろうと振り返る。実際に、地元で内定も出ていた。「ブログがなかったら、田舎の平凡な学生のまま。でも、東京の友達ができて、刺激になった」
もちろん、負の影響がなかったとはいえない。代表的な例でいうなら、2ちゃんねるにスレが立った。書き込みの中には、誹謗中傷の内容もあった。
ただ、2人は日頃あまり2ちゃんねるを見ていない。前述の「2ちゃんねるに詳しい友人」も気をつかって削除してくれたため、それほど問題にはならなかった。
直接非難のメールが届くこともある。「さきっちょは実は男だ」というあらぬ噂を立てられたり、自分の名をかたるニセモノが現れたりもする。「アダルトチャットで、“はあちゅう”の名前をかたる人間がいたらしいんです」
それでも、楽しいことのほうが多いと2人は話す。ファンメールも届くし、2人をネタにしたFlashを自発的に作ってくれる人が出てきたりする。あるときは、2人のもとにこんなメールが届いた。
「私は、学校でいじめにあっています。でも、家でPCに向かって、2人のブログを読むと楽しくなってくるんです」
2人は、ブログを交代で毎日更新している。その分、「ネタ探し」は重要になる。そのとき活躍するのは携帯だ。街中で目についた面白いものがあると、とりあえず携帯で撮っておく。「携帯に、思いついた話をメモったりしています」(さきっちょさん)
そうしてネタを集めても、いざ書くとなると気を使う。なにしろ、ネットの向こうには何万という読者がいる。
「たとえば、鼻に野菜をつっこんで写真を撮るとしますよね?」
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