800MHz帯でないと「ダメ」?〜携帯周波数会合第5回(2/2 ページ)

» 2004年12月15日 00時11分 公開
[杉浦正武,ITmedia]
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 「両方アベイラブルで、どちらか、といえば800MHzにいく。ただ、新規参入には1.7GHz帯が割り当てられるというのでこちらを選択している」(種野氏)

 平成電電の佐藤賢治社長も、「800MHz帯の参入の余地があるなら、やりたい」とコメント。佐藤氏は、かつて特定の帯域に空きができた際、総務省に相談に行ったが、その後何の説明もなしにKDDIに配分されたことがあると話す。「総務省の話とは、全然違った」。ソフトバンク同様、無線の帯域が不明朗なプロセスで事業者に割り当てられているという見方だ。

 PDCで1.5GHz帯を利用しているボーダフォンも、実は800MHz帯がほしいようだ。津田志郎社長は、「(PDCのインフラ構築の際)仮に800MHz帯に余裕があれば、そちらを優先したと思う」と答える。

 ただ、津田氏は事業者が順に帯域を取得していった結果として今の状況があることに言及。それを変えることは「実質難しいだろうなと思う。それぞれのところで、ある程度の譲歩はいるだろう」と、現実的なコメントをした。

800MHz帯でなくても大丈夫か?

 検討会の構成員を務める、日本経済新聞社の関口和一氏はこうした各通信事業者の考え方に苦言を呈する。「2GHz帯(や1.7GHz帯)を有効利用しようという意識が感じられない」。周波数の有効活用を考えるなら、多くの事業者が800MHzに殺到するのはいかがなものか、という論法だ。

 京都大学の吉田進氏も、議論の流れを評して「ちょっと800MHzに興味がいきすぎ」と話す。

 「国際的には、5GHz帯より上は使いにくいというコンセンサスはある。しかし1.7GHz帯などは、移動体向けの、いい周波数のはず」

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 それでも孫氏は、800MHz帯は有利であり、これをみすみす見送るという選択肢はないと強調する。

 「自分のたった一台の携帯として、ビルの中で“時々つながらない携帯”を持ちたいだろうか。(800MHz帯以外への意識が低いというが)我々は、1.7GHz帯だってユーザーを収容する『バイパス』として、せいいっぱい使うつもりだ」

 同氏はまた、議論が平行線をたどっていることを自ら指摘。総務省はこの会合を経て、どのように決定を下すのか問い合わせるとともに、公平なプロセスを強く要望した(12月14日の記事参照)

ソフトバンク、800MHz帯「申請」の意味は?

 会場では、先日ソフトバンクの800MHz帯免許の申請が受理された(12月6日の記事参照)ことを受けて、「あの申請受理はどのような意味があるのか」と総務省に問う声が上がった。

 「一部マスコミでは、800MHz帯参入が受け入れられたかのように取り上げているが」。この質問を聞いた孫氏も、横から「私も聞きたい」と口をはさむ。

 総務省の答えは、「申請書が適正な書式だったので、受理しただけ。法令に基づき、これから審査する」。ソフトバンクに800MHz帯の割当が決まったわけではないことが、改めて確認された。

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