携帯電話事業への参入を目指すソフトバンクBBは12月6日、800MHz帯無線局免許を総務大臣に申請し、受理されたと発表した。800MHz帯割り当てをめぐり、総務省を相手取って起こした訴訟の一部を取り下げる。同社の孫正義社長は、800MHz帯と1.7GHz帯を併用するマルチバンド方式で携帯電話市場に参入したい意思を改めて表明した。
同社によると、10月13日に同社が起こした行政訴訟と仮処分命令申し立て(関連記事参照)の裁判で総務省は、8月6日に公表した「800MHz帯におけるIMT-2000周波数の割当方針案」(関連記事参照)が、法的拘束力を持たず、単なるビジョンに過ぎないと説明。11月15日に総務省が法廷に提出した意見書中で「ソフトバンクも800MHz帯への申請が可能」と説明したという。同社はこれを受けて申請を決め、同日、800MHz帯の免許を申請した。
800MHz帯は、2012年の再編に向けて総務省が再編案を検討中。総務省は、同帯域を上り下りとも15MHz×2に分割し、NTTドコモとKDDIの2社に割り当てる方針を示している。今回、ソフトバンクBBの申請が受理されたからといって、実際に同社に周波数が割り当てられるかは不透明な情勢だ。
周波数帯割り当ての決定時期は「総務省次第だが、来年半ばころ」(孫社長)との見解。割り当てが決まり次第設備を整え、2年前後でサービスインにこぎつけたいとした。
総務省を相手取った訴訟のうち、(1)「800MHz帯のIMT-2000周波数の割当方針案」の実施差し止め、(2)新規割り当て方針案の策定と新規免許申請の受け付け――の仮処分申し立ては取り下げる。本訴の取り下げは、今後の総務省の動きを見て検討する。
孫社長はかねてから、800MHz帯を既存2社だけに割り当てるのではなく、10MHz×3に分割し、ドコモ、KDDI、新規事業者にそれぞれ割り当てるべきと主張してきた。「800MHz帯は、(新規事業者に割り当てられる予定の)1.7GHz帯と比べて電波効率がよく、有利な帯域」(孫社長)というのが、800MHz帯にこだわる理由だ。
孫社長は周波数帯を道路に例え、800MHz帯はメインの道路、1.7/2GHz帯はバイパスだと話す。「800MHz帯で工事(再編)が必要なら、工事中は、1.7GHzや2GHz帯をバイパスとして利用する。工事終了後は、全事業者で800MHz帯を平等に利用できるようにすべき」(孫社長)。既存キャリアは、マルチバンド端末を利用すればユーザーの利便を損なわないはずだという従来からの主張も繰り返し話し、800MHz帯への執念を見せた(関連記事参照)。
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