ニュース
» 2005年02月16日 18時00分 UPDATE

3GSM World Congress 2005:HSDPAは2006年とドコモ中村社長

仏カンヌで開催中の「3GSM World Congress 2005」基調講演で、NTTドコモの中村社長が登場。オペレータ各社のCEOが3G時代の展望や課題について語った。

[末岡洋子,ITmedia]

 今年も、恒例のモバイル業界最大のイベントが南仏のリゾート地で開幕となった。端末最大手のフィンランドのNokia、それに最大オペレータの英Vodafoneの両CEOが基調講演のステージに立ち、“3G時代の幕開け”を宣言した昨年と比べると、今年は地味かもしれない。だが、昨年の“勢い”に変わって今年は“安定した成長”“信頼”を感じさせる。通信バブル崩壊の原因である3Gが現実のものとなったいま、バブル崩壊とその後のショックは過去のものになりつつあるようだ。

 基調講演のテーマは“コンバージェンス”。NTTドコモの中村維夫社長のほか、加入者数ベースで世界第2位の仏OrangeのCEO、サンジブ・アフージャ氏、独・英・米などの市場で展開している独T-MobileのCEO兼会長、レネ・オバーマン氏、伊最大手のTIMのCEOマルコード・ベネデッティ氏が、3GSM Association(GSMA)のCEOボードメンバー会長、クレイグ・ユーリッチ氏を囲んだ。

keynote1.jpg

 Orange、T-Mobileとも昨年3Gを開始したところ。T-MobileはWi-Fiアクセスポイントにも積極的だ。TIMは、3Gの前にEDGEの100%実装を行う。

 ドコモの中村氏は3Gを世界で初めて実装した立場から、「最初はてこずったが、昨年より軌道に乗った」と述べ、今年3月末の契約目標である1060万人はクリアできる(2004年10月29日の記事参照)と自信を見せた。

2006年、HSDPAのデータカード

 現在データ通信からの収益は約25%を占め、今年のテーマの1つ、HSDPAは2006年に導入予定。「当初はデータカード」の予定で着々と計画が進行中だ。

 世界のオペレータにとって理想であるドコモだが、ユーリッチ氏は痛いところも突いた。国際投資だ。ドコモは一時期、オランダのKPNモバイルなどに投資を行ったが、結局は手を引いている。

keynote2.jpg

 これに対して、中村氏は「聞かれたくない質問だった」と苦笑しながら、「投資はうまくいかなかった」と認め、次のように説明した。

 「目的は3つあった。1つ目がW-CDMA時代のローミングベネフィット、2つ目が財務的な意味での投資による回収、3つ目がW-CDMAとiモード対応機種を世界に普及させること。2つ目は失敗したが、1つ目は成功といえる。3つ目は、現在取り組み中だ」(中村氏)

 3つ目は、WCDMAとGSM/iモードの共通端末を提供し、コンテンツを増やし、端末を増やし、最終的にコストを下げるという効果を狙うものだが、iモードアライアンスという形で継続中とした。

 この日は、データ通信時代にオペレータはどのような戦略を取るべきかが中心に議論された。中村氏はじめ、各CEOの口からは法人市場、課金などが課題として上がった。

 法人への対策は“モバイルエンタープライズ”といわれてはいるものの、法人市場はいまだ立ち上がったとはいえない。T-Mobileのオバーマン氏は「過小評価されている」と指摘。3Gにせよ技術のアーリーアダプタはビジネス層であることが多く、重要な市場セグメントだと話す。ドコモの中村氏も、「ユーザーは固定でも移動でも、便利ならば気にしない。その点で、法人市場にはこれまで技術的に不足していた移動分野は3Gで向上した。固定と移動の融合が起こる分野だ」と述べ、「次の主戦場」とした。

 課金では、中村氏が日本で定額制が始まっていることに触れ「良し悪しは別として、(トラフィックに依存しない)第3のビジネスモデルを構築すべき時に差し掛かったようだ」とコメント。中村氏は“おサイフケータイ”などのドコモの取り組みを挙げたものの、ドコモ自身、まだ“第3のビジネスモデル”の形は見えていないようだ。引き続き業界全体の課題であり、先行者のドコモを含め日本市場から答えが出てくる可能性は十分にある。

keynote3.jpg

 このほか、固定/移動の技術的統合、魅力的な端末などについてもCEOたちは口にした。

 昨年もVodafoneのアルン・サリーンCEOが“3G端末はバッテリ寿命が短いし重たい”などとして端末ベンダーを攻めたが(2004年2月25日の記事参照)、この時同席していたT-Mobileのオバーマン氏は、1年が経過した現在、「MotorolaのRAZRなど面白いものがでてきたが、真のモバイルインターネットを実現する端末はまだ」と述べ、まだまだ改善の必要があるとの見解を示した。

 このような課題も抱えているが、それは業界が前進しようとする印でもある。好天に恵まれたカンヌの会場を行き来する参加者の表情は極めて明るい。

keynote4.jpg

 「健康的な楽観が戻ってきた」とある通信大手CEOは述べたが、その通りだ。実際、このイベントがそれを実証している。今年は登録者数で4万3000人、昨年の8000人増となった。3GSMAでは今年、前年比25%の来場者を見込んでいる。11年目を迎え、カンヌにとっては「カンヌ映画祭」に次ぐ年次イベントに成長した3GSMだが、スペースの問題から来年はスペイン・バルセロナに場所を移す。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.