ドコモ、通期売上下方修正〜割引拡大響く

» 2004年10月29日 17時11分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 NTTドコモは10月29日、2004年度中間期の決算結果を発表した。上期の売上は2兆4520億円(前年同期比3.3%減)、営業利益5454億円(同7.6%減)、純利益3532億円(同6%減)と、減収減益となった。

 端末の販売面は好調だ。上期は3Gへの移行が進み、10月28日時点でFOMA契約数は698万契約。当初目標の1060万契約を上方修正し、2005年3月末のFOMA契約数は1080万とした。

 ただし、「販売面で成果を上げたが、値下げの影響が大きかった」と中村維夫社長。4月には「ファミリー割引」の割引率を拡大し、6月からはパケット定額制「パケ・ホーダイ」をスタートさせるなど割引き拡大に努めてきた。これら割引施策への加入の高さが収益を押し下げた。

2004年度通期は1000億減収〜営業利益は変更なし

 こうした割引きの影響もあり、2004年度通期の業績は、売上が1000億円減の4兆8200億円に下方修正した。ただし費用も1000億円削減し、8300億円の営業利益予想は変更しない。

 1000億円の減収のうち、440億円は値下げ/割引によるもの。「パケ・ホーダイ」やファミリー割引への加入率が予想以上だったことが響いた。

 9月末時点で140万加入者となった「パケ・ホーダイ」は予想以上の加入率で、年度末には250万加入を見込む(当初は200万加入予想)。ファミリー割引加入率は、2004年3月末から4.2ポイントアップし59%。年度末には予想を2%程度超える加入率となるとした。

 ただし、中村氏は減収減益は予想通りと冷静だ。

 「思い切った値下げや割引きは、他社をキャッチアップするのが狙い。ファミリー割引やパケ・ホーダイの加入が予想を超えたということは、受け入れられたということ。これが解約率低下にもつながっている」(中村氏)

 パケ・ホーダイの加入者は約20%が新規参入。他社からユーザーを引っ張ってくる魅力的なサービスという意味で成功した。中村氏が「重要なところ」だとする解約率も(10月18日の記事参照)、0.11ポイント改善し、1.07%となった。

V字回復への施策は?

 計画通りとはいえ、減収減益のドコモ。各種割引の提供は、今期の減収だけでなくビジネスモデルの転換も迫る。

 「従来は、契約者数を増やして、データARPUを増やしてトラフィックを稼ぐ──母数×単価という簡単なモデルだった」と中村氏(2003年7月23日の記事参照)。ところが予定よりも早いパケット定額制の導入によって、「(データ通信料に)キャップをかけたので、このモデルは携帯高利用のユーザーには当てはまらなくなった」。

 「1日も早く増収増益に戻さなくてはいけない」と話す中村氏は、再び成長軌道に乗せるための施策としては以下の項目を挙げた。「(携帯)低利用のユーザーに対するトラフィック対策、そしておサイフケータイなどの手数料など。そして海外利用と映像系は、3Gに適した分野。伸ばしていきたい」。

 ドコモ資料によると、AV総通信時間は2004年4月の800万分程度から、2004年9月には1200万分を超えるところまで上昇した。映像コンテンツ利用の通信時間も、同15万分から30万分を越えてきている。おサイフケータイの累計稼働台数は9月末で44万台を超えた。

 ただし、端末1台当たりの状況で見ると、総合ARPUは710円減って7370円。FOMAのARPUも90円マイナスの1万30円となっている。通期のARPU予想も、当初の7270円から7190円へと下方修正している(5月7日の記事参照)

 対するKDDIは中間期も増収増益(10月28日の記事参照)。通期のARPU予想を50円上方修正し、7190円としている。奇しくも両者の通期予想ARPUは同額となった。

AV利用総時間の推移
FeliCa端末(おサイフケータイ)稼働台数の推移

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