次文節予測の候補に「?」「!」がないなど些細な違いはあるが、入力の様子は「SH506iC」のケータイShoin3と基本的には同じだ(1月27日の記事参照)。「就職し」や「今では」がスムーズに入力できないなど、POBoxやATOK+APOTと比較すると見劣りする部分もあるが、予測入力としては十分に実用的といっていい。
残念なのはキーに対応する数字が予測候補にない点だ。英数カナ変換も用意されていないため、数字の読みを入力して1文字ずつ予測入力するか、あるいは入力文字種を変更するしかない。
ケータイShoinの変換エンジンと予測辞書を採用してはいるものの、F901iCの操作性はケータイShoinよりもPOBoxにはるかに近い。
候補選択中に文字を入力すると、ケータイShoinでは選択中の候補が確定し、そのあとに文字が入力される。F901iCではPOBoxと同じく選択はキャンセルされ、文字だけが入力される。入力した文字を(予測候補を選ばずに)そのまま確定すると、ケータイShoinでは次文節候補ウィンドウが表示されないが、F901iCではPOBoxと同じく表示される。
このように富士通はPOBoxの操作性をベースとしているが、自動カーソルや上下左右への移動でさらに使いやすさが増している。POBox風の予測入力の中ではかなりの出来といっていい。ただしキー入力に対するレスポンスは良好とはいいがたい。
SH506iCのケータイShoin3は、読みが5文字を超えると前方一致予測を行わない(完全一致候補のみ表示する)。これは辞書検索で動作が遅くなるのを懸念してのことだろう。一方、F901iCは読みの文字数にかかわらず前方一致予測を行う。たとえばケータイShoin3では「とうきゅうで」で「東急田園都市線」が表示されないが、F901iCでは表示されるということだ。
候補表示の負荷が大きく、同時に表示される候補数も多いためか、F901iCではキー入力後のもたつきが感じられる。また、次文節予測で「閉じる」の次の候補を選ぼうとして候補ウィンドウが開く前に「→」を押すと、候補ウィンドウが表示されず空白が入力されてしまう。キータッチの速いユーザは多少いらいらするかもしれない。
ところで、FOMAのデコメール対応機ではメール編集画面がリッチテキスト表示になっており、文字入力は画面の3分の2程度を占める別ウィンドウで行われる。
F901iCではこのウィンドウのほとんどが予測ウィンドウで隠れてしまい、入力したテキストは1行しか見ることができない。これはいささか不便なので、少なくとも2行程度は入力済みテキストが見られるよう改善を望みたい。
キーはごく一般的な小判形で、縦横ともに直線的に配置されている。キートップは平面で、ボディよりわずかに高い。これといって突出したところのない、平均的なタイプだ。
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