携帯の音楽再生時間を24時間に──三洋、音源チップ参入

» 2005年04月21日 18時29分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 三洋電機は4月21日、携帯電話向け音源LSI事業に参入すると発表した。これまでMDプレーヤー向けに培ってきた低消費電力の音楽再生LSI技術を生かし、携帯で連続24時間以上の音楽再生を可能にする音源チップを投入する。

機種 LC823872 LC823553 LC823501
和音 128和音 64和音 64和音
3D
Mobile-XMF
音楽デコード MP3/AAC MP3
生産計画2005年Q4 30万個/月 10万個/月 10万個/月
サンプル価格 800円 1000円 600円
業界最高クラスとなる128和音に対応するほか、ドコモが採用している3D-Audioにも対応する。「LC823872」は国内市場を想定、「LC823553」は安価な音楽再生機能搭載を求める中国や欧州市場を狙う。国内端末メーカーでは、ドコモ向けおよびボーダフォン向け端末メーカーをターゲットとする

超低消費オーディオ再生LSIとの融合

 携帯向けの音源チップは、ヤマハが高いシェアを持ち、ロームや沖電気が続く形で市場を分け合っている。au端末はほぼ全機種がヤマハチップを搭載しているほか、ボーダフォン端末やドコモのNEC製端末がヤマハチップを搭載しているのが有名だ。

 この固まった市場に、三洋が新たに参入する理由は何か。1つには、「(音源の用途が)着信音に留まらず、ゲーム、BGMなどに広がっている。音楽コンテンツの配信サービスが本格化し、音楽演奏能力が求められている」(三洋電機デジタルオーディオ開発部の小島健一部長)ことがある。

 auの「着うたフル」はもちろん、ドコモも「Music PORTER」など音楽再生に特化した端末を投入しているが、その連続再生時間はMDなどに比べるとかなり見劣りする。例えば、Music PORTERの連続再生時間はカタログ値で6時間だ。

 三洋電機は、ポータブルMDプレーヤーの6社中5社に再生用LSIを提供するなど低消費電力技術で優位にある。これを携帯電話にも広げていきたい考えだ。

 同社の技術を使うことで、「カタログ値で40時間、実測で24時間以上の連続再生時間を持つ、音楽携帯が実現できる」と小島氏は言う。

 ただし現状では、auが着うたフルで採用したaacPlusへは対応できていない。現時点で対応可能なコーデックは、MP3、AAC、WMA、ATRAC3となっている。

音源コアはフュートレックから調達

 三洋が持っていない、MIDI音源のコア部分はフュートレックから調達する。フュートレックは音源IPコアを販売している企業で(2004年4月7日の記事参照)、NECエレクトロニクスにもコアの販売が決まっている(3月29日の記事参照)

 フュートレックが、各キャリアなどの音源の仕様策定に強く関わっていることなどから購入を決めた。

今後はAD/DAコンバータ、アンプなども統合へ

 今後、独自の半導体製造技術を生かして音源周辺回路を一体化していく計画だ。「音源につながるADやDAコンバータ、アンプ、テレビへのアウトプット(NTSCのビデオデコーダー)。 こういったさまざまな機能を載せることで競争力を付けていく」(小島氏)

ハードワイヤード化で低消費電力に

 “音楽携帯”が流行し始めているが、現状はMP3やAACファイルの再生は、より高速なアプリケーションプロセッサなどで行っていることが多い。ところが、アプリケーションプロセッサは動画処理など高パフォーマンスを求められるため、音楽再生には不要な電力を消費している。

 「音楽再生に、他社チップは20ミリ〜30ミリワットの電力を消費するが、三洋チップならば8.5ミリワットで済む」と小島氏。

 その理由は、回路のハードワイヤード化にある。アプリケーションプロセッサなどが搭載するDSPは、プログラム次第で様々な処理をこなせるが、その分、動作周波数も高くしなくてはならない。「DSPならば少なくとも20MHz程度の周波数が必要だが、ハード回路ならば4MHzで済む」(小島氏)

 消費電力は周波数や容量、電圧の2乗に比例する。周波数を下げれば比例して消費電力も下がる。さらに周波数を下げると低電圧での動作が可能になるため、さらなる低消費電力が実現できる。「パフォーマンスと消費電力のバランスが重要。回路技術に特化することで、(アプリケーションプロセッサなどと)棲み分けをしたい」(小島氏)

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