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» 2005年05月25日 05時08分 UPDATE

ボーダフォン“反転攻勢”への道

「顧客満足度の低下」といった課題を素直に受け止め、2005年度を“反転攻勢の年”と位置づけるボーダフォン。新たな成長に向けたロードマップを公開した。

[斎藤健二,ITmedia]

 3カ月にわたって契約者は純減し、利用料金の少ないプリペイド携帯電話の比率は契約者の11%に増加。期待した3Gも予想通りには伸びず100万契約少々に留まるなど、苦境からなかなか抜け出せないボーダフォンだが、2005年度は心機一転、“反転攻勢”を狙う。

 2005年3月期の決算発表の会場で、津田志郎会長はボーダフォンの現状認識を淡々と話した。

 「純増シェアは1.7%。高ARPUのユーザーが他社に流出するなどARPUは右肩下がり。ノンボイス系の利用が伸び悩んでいる。3Gは競合他社と比較すると移行が進んでいない。新規顧客獲得費用は3万8300円に上昇した──」

 前期はすべてがうまくいかなかった、といっているようなものだが、この現状認識を踏まえてこそ正しい戦略が取れるというものだろう。2005年の戦略を、津田氏は「端末」「サービス」「料金」「ネットワーク」の4つに分けて説明した。

端末──3GのUI改善が急務

 「残念ながらユーザーからは良い評価をいただけなかった。日本のユーザーが使っているユーザーインタフェース(UI)とのギャップがあった」

 2004年末から投入した3G端末の課題を、改めて津田氏は大きな問題として話した。2005年度は、3G端末のラインアップ充実を図ると共に、3G端末の改善を図る。

 しかし、日本仕様に合わせた抜本的改良を3G端末に施すのは2006年度になってしまうようだ。「新商品を投入する都度、良くなっている。しかし少し時間がかかる」(津田氏)

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サービス──イノベーションパワーが低下

 「写メール」を筆頭とする斬新な新サービスを提供していたのも今は昔。「最近はイノベーションのパワーが低下しているのではないか」と津田氏は認識を話す。ドコモのおサイフケータイ、auのミュージックに対して、ボーダフォンはどこに軸を置いているのか。残念ながら、革新的なサービスの用意はできておらず、「それをまとめる作業をしている」(津田氏)のが現状だ。

 唯一、挙げたのがメール機能の使い勝手の向上。「これまでボーダフォンが評価されてきたのはメール関係。こういう点を高度化し、利用しやすくするのが方向性」(津田氏)と話すに留まった。

 2005年度内には、秋にFeliCaを導入する予定だが(2月24日の記事参照)、次なる策は2006年度以降となる。地上デジタルテレビへの対応や(5月12日の記事参照)、高品質ストリーミング、GPSへの対応のほか、「ブロードバンド商用サービス」の開始もうたわれた。

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料金──“3つの定額”をトリガーに

 料金面では、「メール定額」「デュアルパケット定額」「家族通話定額」の“3つの定額”に期待を寄せる(4月20日の記事参照)

 メール定額は月額840円でメール送受信がし放題となるパケット定額のサービス限定版。デュアルパケット定額は、KDDIの「ダブル定額」同様に2段階で定額料金を変動させるプランだ。家族間通話定額は、1回線月額315円で家族間の通話を無料とするサービスとなる。いずれも6月1日から順次導入する予定。

 「6月の新プランをトリガーに、分かりやすい料金プランを投入していくことが重要だ」と津田氏。

 2007年頃と予想される携帯新規参入各社は、定額制を中心としたシンプルな料金プランを打ち出すと推測されている。携帯各社は、度重なる改訂により複雑怪奇な料金プランとなっており、シンプル化は必至だ。

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ネットワーク──他社にひけを取らないエリアへ

 3Gを主力としていくボーダフォンの方針の中では、3Gのエリア展開も課題の1つ。人口カバー率では100%に近いところまで広がってきたが、郊外や屋内など、数字には表れない部分でエリア化が遅れているといった認識を、津田氏は改めて語った。

 「3Gの伸び悩みは、端末のほかにエリアが狭いことだと認識している。MNPに向けては、エリアといった基本部分でひけを取ってはいけない」

 2004年末時点で3Gの人口カバー率は99.73%(2004年12月9日の記事参照)。今後は、郊外と屋内のエリア化、品質の向上に努める。2005年度は、屋外に4000基地局、屋内に1400基地局を設置予定。3Gへの移行が予想を下回ったことから、ネットワーク容量には余裕があるという。

顧客──2005年度半ばに純減から回復

 2004年度は顧客満足度が低下。2006年度以降、満足度の大幅向上を図る──。いったん落としてしまった信用の回復(2004年4月22日の記事参照)に、ボーダフォンは1年をかける。

 契約者の純減も、2005年度半ばまでは続くという見通しだ。競争力のある純増シェアを取れるようになるのは2007年度と見ており、津田氏が純減を重く見ているのが分かる。

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 「競合2社との間に、かなり距離が開いてしまった。その差を詰めていかなくてはならない」

 就任当時の発言(2004年12月8日の記事参照)──「次の狙いは当然、2位のキャッチアップ」からはだいぶトーンダウンしてしまったが、「大事なのは反転のきっかけを作っていくこと」(就任時の津田氏)は、今でも変わりない。MNPが始まる2006年というターニングポイントに向けて、“反転攻勢”が実現できるかどうか。

 「課題もたくさんあり、残された時間もあまりない。もう一度、ユーザーの評価をいただき、シェアを高めていきたい」(津田氏)

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