こだわりの想いを集結──カシオに聞く新“G'zOne”

» 2005年05月26日 17時21分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 「4年間コツコツとやってきた。ようやく復活できた」。

 KDDIがついに発表した、折りたたみ型の耐水・対衝撃携帯「G'zOne TYPE-R」。2005年1月のCES(1月7日の記事参照)で一端を披露し、ほぼ変わらない姿のまま、ついに製品化が確定した(5月26日の記事参照)

 カシオ計算機が「タフネス携帯」として耐水・対衝撃性を特徴とした端末「G'zOne C409CA」を開発したのは2001年2月のこと(2001年5月9日の記事参照)。カシオでは、その後4年をかけて端末を企画、開発してきた。

今回発表されたG'zOne TYPE-R

 現在でも熱烈なファンを持つタフネス携帯だけに、折りたたみ型になって再登場することを心待ちにしていたユーザーも数多い。しかし、この“折りたたみでタフネス”を実現するには数多くの技術的ハードルを越える必要があった。

 「手にとってもらえる大きさに落とし込む。そこに時間がかかっている」(開発に携わったカシオ日立モバイルコミュニケーションズ戦略推進グループの甫足博信氏)

 数年前にカシオに“折りたたみ型G'zOne”の是非を聞くと、「ハンバーガーくらいの大きさになっても、いいのなら」という答えが返ってきたものだった。このG'zOne TYPE-Rは、まさに大きさとの勝負だった。

最初にデザインありき──ゴールイメージに向けて

CESで展示されたモックアップ

 実はG'zOne TYPE-Rのデザインは、2003年春には完成していたという。

 「今回は従来とプロセスが逆。コンセプトモックアップが先にあって、それに向けて開発してきた。ゴールイメージが先にあった」

 通常の端末開発では、通信方式やどんな機能を盛り込まなくてはいけないかなどの仕様が先に決まっている。デバイスも、タイミング的に何メガピクセルのカメラが搭載できそうか、液晶はどの程度のサイズが適当かなどを、マーケットニーズやターゲット層から勘案して決定。そしてそれを収めるにふさわしいデザインが生まれる。企画立案から開発までに、かかる期間は1年前後だといわれる。

 G'zOne TYPE-Rは、先にモックアップデザインが存在し、ここに「折りたたみ+メガピクセルという機能を押さえて」(甫足)かつ、防水・対衝撃性を実現するという目標があった。通常とはプロセスが異なるが、逆に「こだわった商品なので、(開発者たちの)ベクトルが合った」のだと甫足氏。

発想の転換──防水の実現

 折りたたみ型で防水。実現へのネックとなったのは、想像通りヒンジ部分だった。

 「(上下の)ケースは、ストレート型端末を作ってきた技術でできる。ヒンジにポイントがある」(甫足氏)

 最初は、ヒンジ内部に水が入らない構造のものを作ったのだという。しかし、ものすごく大きなサイズになってしまった。とても商品化は難しい。

 そこで「発想を変えて、水が入ってもOKなものにした」(甫足氏)。これによって、大きさをほとんど変えることなく、折りたたみ型が実現できたわけだ。

電池カバーはカラーを変えてある。エンボス加工で効用をアピール

可動部を可能な限り少なく──電動のマクロスイッチ

 防水性や対衝撃性を実現するためには、できる限り可動部を減らす必要がある。開発陣のこだわりを感じたのは、カメラのマクロ切換機能だ。

 128万画素CMOSのカメラはオートフォーカス(AF)機構は備えていない。しかしQRコードの読み取り用途などを考えると、マクロ撮影は可能にしなくてはいけない。普通の端末ならば側面などにスライド型の切換スイッチを設けるところだが、G'zOne TYPE-Rは電動式のマクロ切換スイッチを設けた。キー操作でマクロに切り替わる。

 AF機構と同様、マクロに切り替えるにはレンズの位置を動かしてピントが合う位置を変えるという操作が必要になる。スライド型のスイッチでは、手動でレンズを動かしているわけだ。G'zOne TYPE-Rは、ピエゾモーターを使ってレンズを動かすという珍しい方法を使ってマクロ切換を実現した。

※ちなみに通常のAF機構は、ステッピングモーターやボイスコイルモーター(リニアモーター)を使って、レンズを動かしている。ピエゾ素子を使ったピエゾモーターは、消費電力や動作速度の面で優れているが、特性が線形でないため制御が難しいといわれている。つまり、かけた電圧に大して動作距離が比例しないため、AFのように特定の場所で停止させる制御は難しい。

カメラリングは対衝撃ラバーになっている

TYPE-Rの“R”は──Racing、Revolution

 「コンセプトモックがむちゃくちゃかっこよかったんですよ」と甫足氏が語る通り、開発の原動力となったG'zOne TYPE-Rのデザイン。そのキーワードは、“Racing”“Revolution”だ。

 電源を入れるとまず、音と振動に驚く。この起動音は「実際のGTカー──TOMSスープラを撮影に行った」というコダワリの音だ。

 全体のイメージも、Racing仕様に統一してある。まず全体のフォルムは「バイクのタンク」。微妙な曲線を描くボディを艶やかな塗装が彩る。液晶側のパネルはマグネシウムを使った。しかもシボ(皮状のシワ)を入れ込むという技法を使っている。十字キーは、「ディスクブレーキのローター」のイメージだ。

発表会場に飾られていた「DUCATI」。十字キーはブレーキローターだ
充電ホルダーはボルトをかたどった。もちろん、フックを付けたまま充電できる。充電中は、大きな背面液晶を時計代わりにも利用できる

 端末の先端には、3種類の着脱可能なフックが付く。このフックはマグネシウム部分にネジで直づけとなり、「バンパー的な役割」を果たす。かっこよさと現実的な性能が融合した機能美が、G'zOne TYPE-Rには漂っている。

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