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» 2005年06月29日 21時01分 UPDATE

それでもG'zOneを諦めない──カシオデザインチームの執念 (1/2)

「もう一度、G'zOneをやりたい」──。空白の4年間、元祖G'zOneのデザインチームはずっとそう願い続けていた。手が空くと、出るかどうかも分からないG'zOneをデザインする日々。ようやくそれが報われる時がやってきた。

[後藤祥子,ITmedia]

 「空白の4年間、われわれはずっと防水携帯にこだわっていた。カメラ付き携帯のデザインを手掛けながらも手が空くと、G'zOneをデザインし続けた。掲示板などに書かれるファンの書き込みを時々見ながら、“いつかは世に出したい”と。ファンの方々とわれわれの想いは同じ。長い間、お待たせしましたという気持ち」

 復活した「G'zOne TYPE-R」(G'zOne TYPE-R記事一覧参照)の発売を前に、カシオ計算機でG'zOneデザインチームを率いた第四デザイン室の井戸透記室長は、今の想いをこう表現する。

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 カシオ計算機 デザインセンター第四デザイン室の井戸透記室長(右)と、「G'zOne TYPE-R」のデザインを手掛けた第四デザイン室の奈良勝弘氏(左)

 端末高機能化の流れの中で、消えてしまうかに思われていたG'zOneが、「TYPE-R」という形で復活を果たすまでには、さまざまな紆余曲折があった。デザインチームが牽引した復活までの道のりを追った。

こうして「G'zOne」シリーズはいったん姿を消した

 耐衝撃性と耐水性を備えたタフネス携帯「G'zOne C303CA」が登場したのは2000年。これまでにない新しい携帯の形を提案したことや斬新なデザインが大きな注目を集め、大ヒット商品となった。

 「携帯初参入だったので、市場にくさびを打ち込もうという意気込みで作った」と井戸氏は振り返る。当時、同氏はC303CAの原形となるデザインのほかに、ミリタリー風のものとテクノロジーを前面に打ち出したガンダム風のものを用意した。「100人に1人が“いいよ”と言ってくれれば──という思いで検討する中、丸い表示窓が特徴的なベゼル付きでいこうと。初号機はインパクトがあるほうがいい」。

 こうして生まれたC303CAは、クラブ・ストリート系の若者を中心としたユーザー層から熱烈な支持を集め、以降、G'zOneシリーズとして「C311CA」「C409CA」「C452CA」が登場。カシオというメーカー名や丸ベゼルのイメージからG'zOneシリーズは、“G-SHOCK携帯”と呼ばれるようになり、プロモーションもG-SHOCKと似たクラブ・ストリート系にフォーカスした戦略を採用した。

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 歴代G'zOneシリーズ。右から「C303CA」の開発に当たって作られたダイバーグッズをモチーフにしたモック、「C303CA」「C409CA」「C452CA」。左はC409CAをベースに井戸氏がアウトドアやスポーツをイメージしてデザインしたモック

 3モデル目のC409CAからG'zOneのデザインは井戸氏の手から離れたが、同氏の中にはG'zOneに対するこんな想いがあった。「2号機からのモデルは、アウトドアやスポーツなど、“タフ”というテーマにふさわしいデザインに広げていきたい」

 製品版のG'zOneは、よりとがったデザインへと進化していったが、井戸氏は自分なりのG'zOneについても考えを巡らせていた。「スポーツ寄りでG'zOneを作ったらどうなるか──。C409CAの図面をベースに、われわれが考えるデザインモックを作ってみた」

 一方で、G'zOneシリーズの人気は徐々に下降線をたどり始める。それは携帯電話にiモードやEZwebなどのマルチメディア機能が載るようになり、携帯電話に打ちやすいダイヤルキーや大きなメインディスプレイが求められるようになってきたためだ。端末の人気は折りたたみ型に移行し、ストレート型は苦戦続き。ついにはG'zOneも売れ行きが鈍り、市場から姿を消した。

空白の4年間、水面下で動いていた

 それからカシオ計算機はカメラにフォーカスした端末開発にシフト、G'zOneシリーズは途絶えたかに見えた。しかしデザインチームはまだ、諦めていなかった。「今、G'zOneを出すならどんなものなのか──というデザインのモックをしつこく作り続けた」。カメラ付き携帯をデザインしながらも、手が空くとその時々にふさわしいタフを表現したG'zOneのモックを作ったという。

 「携帯電話にさまざまな機能が入ってきて価値が高まっているのに、濡れたり落としたりすると壊れてしまうのは問題なのではないか。何としても防水を復活させたい」

 モックでは実にさまざまなアプローチで“タフ”を追求した。「アウトドアスポーツをイメージしたもの、プロ用の音楽ミキシングツールをイメージしたもの、スポーツシューズのような流線型のもの。中には雑貨に近い感覚のものや、クリアアクリルを使ったものもあった」

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 井戸氏のデザインチームがデザインし続けたストレートタイプのG'zOne。左上から時計回りにプロ用の音楽ミキシングマシンを意識した「PRO-Demand」、スポーツシューズのような流線型の「ADvance High-Teck」、CESにも出品されたアウトドアスポーツをイメージした「Field Guy」、真っ向からプロテクションを追求した「The toughest」


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 それぞれのモックも作成している

 そして2003年、初めて折りたたみ型G'zOneのモックを作成。2つ制作されたデザインモックのうちの1つは、G'zOne TYPE-Rの原形となるものだ。「これがデザイン室の中で、評判が良かった」

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 2003年にデザインされた折りたたみ型のG'zOne。右がG'zOne TYPE-Rの原形となったもの

 2003年といえば、携帯電話のハイスペック競争にメーカーもユーザーも疑問を感じ始めた頃。ハイスペック競争の流れの中で消えていったG'zOneに、その競争が行き詰まった先での復活の芽が見えてきた。

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