ユーザーが携帯“フルブラウザ”に求めること

» 2005年08月25日 14時00分 公開
[斎藤健二,ITmedia]

 流行の携帯フルブラウザには、あらかじめ携帯機能として内蔵されているものと、後からユーザーがダウンロードするものの2種類がある。フルブラウザを内蔵するN901iSユーザーの、jigブラウザ利用状況について寄せられれたメールから、携帯フルブラウザに何が求められているのかを探ってみたい。

定額対応は必須

 最も数が多かったのは、定額対応についてだ。

 フルブラウザにはパケット代がかさむことに対する不安感が強く、従量制のまま使うなら有料サービスであっても定額対応のサービスへの関心が高い。N901iSはフルブラウザを内蔵しているがパケット代は従量。ダウンロードできるjigブラウザは定額に対応している。

 「jigでも年間6000円(月額にして500円)なので、内蔵フルブラウザを使ってしまうとパケ代が高くなります」

 「これ(内蔵ブラウザ)にかかるパケ代でjigの月額分を払えますよ」

 パケット料金に対するシビアさは、次の発言からも読み取れる。「フルブラウザは内蔵の物を使っています。やはりパケット料金が気になりますので、自分でパケット代節約のためのCGIを作って使っています。見たいURLを打ち込んだら、tableタグとかimgタグとかありとあらゆる不要なタグを取り除いて表示してくれるものです」

 KDDI端末の内蔵フルブラウザは既にパケット定額制に対応しているが、他キャリアのサービスでも対応は必須といえる。

フルブラウザに適した「N901iS」──画面とポインタ

 N901iSユーザーからの意見を見ると、フルブラウザに適した端末の条件も見えてくる。

 「N901iSはフルブラウジングするために作られたといっても過言ではない携帯。ドコモ携帯で最大の2.5インチ液晶と上下左右自由に移動するニューロポインタ」

 大きな液晶と自由度の高い操作デバイスは、フルブラウザ時代の特徴となり得る。その点で、N901iSの評価は高い。

 「jigブラウザを使う上でニューロポインタがあるのとないのとでは使い心地に大きな差があると感じています」

 「ニューロポインタとの相性の良さも気に入っています。ニューロポインタは散々文句を垂れて来た装備ですが、ここにきてやっと本領を発揮」

 ニューロポインタは十字キー中央の決定ボタンを動かすことで、カーソルをマウスのように動かせる入力インタフェース。強く押すことで移動速度も調整できる。「F900iT」に搭載されたタッチパネルと並び、こうしたアナログ的な操作デバイスはフルブラウザ操作と相性がいい。

フルブラウザの裾野を広げたN901iS

 さらにN901iSのフルブラウザ搭載によって興味を持ち、各種のフルブラウザを試したというユーザーも。

 「フルブラウザを内蔵したN901iSを購入したことで興味がわき、数社から出ているiアプリ版をダウンロードして試用してみたところ、有料のjigブラウザが最も使いやすかったため、すぐにオンラインで決済し使い始めました」

 最後に1つ、端末を買い換えずともバージョンアップできるという点は、iアプリ版ならではの魅力の1つだ。

 「(jigブラウザは)バージョンアップによりどんどん高性能化していくのが非常に嬉しい」

 このバージョンアップの考え方は、今後の携帯で必要とされる機能の1つだろう。KDDIの内蔵フルブラウザはBREWアプリケーションとして提供されている。現状ではバージョンアップは難しいが、仕組みとしては可能だ。またドコモ、KDDI共に無線によるソフトウェアアップデートの仕組みを用意している。現在のところバグの修正にしか使われていないが、ソフトウェアの高機能化にも使われる可能性がある。

 先日明らかになったように、N901iSのユーザー数は約30万(8月23日の記事参照)。jigブラウザの有料利用者数も2万少々だ。携帯電話全体からするとわずかな数ではあるが、フルブラウザ内蔵端末が続々登場すると共にユーザーの認知も、求めるスペックも上がってきた。

 N901iSを「フルブラウザに最適な端末」と評価する声がある一方で、動作がもたつくことを批判する声も多かった。単にフルブラウザが載っている──だけではダウンロードできるiアプリ版より高い評価を得るのは難しい。パフォーマンス面も含めた、内蔵ならではの仕組みが必要になってくるだろう。

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