「やわらか戦車」って何だ? ネット発コンテンツの新潮流(1/2 ページ)

» 2006年02月27日 16時01分 公開
[杉浦正武,ITmedia]

 「くわがたツマミ」に「やわらか戦車」――。こう聞いただけでは、なんだそれは? と思う人間も多いだろう。しかしこれらは確実に“知る人ぞ知る”存在になっている。

 上記はいずれも、クリエイターの「ラレコ」さんが制作、Web上で公開したFlashアニメのキャラクター。ブログなどを介して口コミで広まり、一部で有名になった。くわがたツマミなどは現在、ゲーム制作などを手がけるサクセスがオフィシャルページを開設している。「今のところ無償で配信しているが、将来的にはゲームや、モバイルコンテンツの配信につなげたい」(サクセス)

Photo 母親が人間で、父親が昆虫だという謎のキャラクター「くわがたツマミ」 (C)ラレコ/(C)SUCCESS

 ネット発のオリジナルコンテンツは、どのように誕生し、どのように世間に出ていったのか。ラレコさんに聞いた。

1人でFlashを制作するクリエイター

 ラレコさんは、くわがたツマミのほかにも「カレーパンのうた」「コアラッコ」などのFlashコンテンツを手がける人物。ネット上のプロフィールを見ると「14歳」と書いてあるが、これはどうやら冗談のようだ。実際は経験を積んだクリエイターで、最近ではプロフィールを「14歳のわけないラレコです」と変更している。かつては漫画家志望で、アシスタントの経験もあるというが、その後ネット上でFlashアニメを制作する道へと進んだ。

 Flashアニメを作り始めたきっかけは、「歌と映像をくっつけて配信すると、こんなにもウケるものか」ということに気づいたこと。実際、同氏の作品はアニメと一緒に流れる軽妙な歌が人気の1つで、これによって全体になんともいえない“緩い”雰囲気がかもし出される。

 「ネット上のコンテンツを見ていると、合成音声やサンプリングの音声はあっても、肉声をベースにしたものは意外とない。それならPCの前でがなりたてて、笑ってもらおうと」。音声は自ら歌ったものを、早回しにすることで音程を上げている。「かつてフォーククルセイダーズが『オラは死んじまっただー』と歌っていたが、あれと同じだ」

Photo くわがたツマミは、頭のはさみで何でもつまむ。ただし時折、つまむことに苦戦することも。机の上の切手は「ちょーお 二 ガ テ!!!」(サイトより抜粋)

 これらの作業は、すべてラレコさんが1人で行っている。ネット上の書き込みを見ていると「グループ単位で制作したもの」と解説してあることもあるが、「これはまったくのでたらめ」(苦笑)だとのこと。「歌を録音するというと『歌手のレコーディングスタジオ』を想像するかもしれないが、そんな環境では作っていない。部屋も防音でない普通の部屋で、800円のマイクに吹き込んでコンテンツを作っている」

 1つのコンテンツを制作するのにかかる時間は、1週間程度。ただし、アイデアをボツにしていちから作り直したりしていると、1カ月かかることもあるという。「作っていて『これは面白くないかな』と思っていても、そのまま中断せずに進んでしまうことがあるので……」。ただし、くわたがツマミなどは“つまらない”と判断して長期間ネタを寝かせていたが、公開してみればヒットしたのだという。ラレコさんなりに、手探りを重ねていることがうかがえる。

硬い装甲の戦車……「人の痛みを知れ、と」

 ラレコさんが作ったコンテンツの中で、最近のヒットがやわらか戦車だ。これは複数のクリエイター作品を掲載する「livedoorネットアニメ」上で公開されたもの。たちまち好評を博し、ファンから「ぬいぐるみを作ってくれ」という声が上がったり、軽自動車ほどもある「やわらか戦車の雪像」を作る人間が現れたりと、ネット界でちょっとした“ネタ”になっている。最近ではラレコさんによるやわらか戦車のブログもオープンした。

Photo これが「やわらか戦車」。戦場で無類の弱さを誇り、つねに「生きのびたい」と考えながら退却を続ける不思議な“兵器”だという (C)やわらか戦車プロジェクト
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