「この1年、“富士通端末は変わった”と思っていただけたのではないか」──。こう話すのは、防水FOMA「F704i」の発表会(7月17日の記事参照)に登場した富士通の佐相秀幸モバイルフォン事業本部長だ。
富士通はPCやサーバ製品の開発を事業の主軸としており、携帯開発についても無線LSIやソフトなどの下回りに強い“技術が主体の携帯”というイメージが強かったと佐相氏は振り返る。
携帯電話がより生活に密着したツールという性格を強める中、デザインと機能のバランスが重要視されるようになってきたことから、富士通ではマーケティング体制を刷新し、開発体制の見直しを図った。
「2006年の4月から、工場サイドと営業サイドに分かれていたマーケティングを融合し、お客さまの声がすぐ開発側に伝わるようにした」(佐相氏)
新たな体制の元で、技術とマーケティングをバランスさせた製品開発に取り組み、これが端末開発の方向を大きく変えるきっかけになったという。
「これまでは、キャリアの“仕様ありき”で作っていたところもあったが、これからはメーカーのアイデアが問われる時代。PCや家電などと同じような競争の形になってきた」(佐相氏)
プラットフォームの共通化が進む携帯電話は、今後、メーカーのオリジナリティを打ち出すのが難しくなると見られている。こうした中、富士通では、これまでの安心・安全への取り組みを生かしながら、基本機能のさらなる使いやすさを追求するという。
「見る、聞く、話すといった基本機能をしっかり作り込み、すでに実績のある安心・安全への取り組みをより広げていく。防水も携帯の基本機能として取り込んでいきたい」(佐相氏)。また、新たな市場へのアプローチとしては、同社の大ヒット端末「らくらくホン」シリーズで培ったノウハウを生かせるキッズケータイ市場を狙いたいとしている。
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