「ドコモとしては、1人でも多くの方に携帯を使っていただきたいと考えています。そのため、ユニバーサルデザインに積極的に取り組んでいます」──。NTTドコモ プロダクト&マーケティング部 プロダクト部 部長の永田清人氏は、「らくらくホンIV」発表会の冒頭でこう話した。
ドコモのらくらくホンシリーズは、シニア層をメインターゲットに、大きめの操作キーと大きめの文字表示、わかりやすさや使いやすさに配慮したインタフェースなどを備える、ユニバーサルデザインを取り入れた端末だ。その使いやすさから、シニアに限らず“かんたんに使える携帯電話”を望むユーザーに支持されており、1999年10月に登場した「P601es」から「らくらくホン ベーシック」までの9機種の累計販売台数は、4月22日に1000万台を超えた(4月22日の記事参照)。
ドコモでは現在、携帯電話ユーザーのすそ野を広げるべく、このユニバーサルデザインに注力している。特にアクセシビリティとユーザビリティという2つの点を強く意識して製品を開発しているという。アクセシビリティとは、年齢や能力に関係なく携帯電話が利用できるようにすること、そしてユーザビリティとは、携帯電話そのものの機能をより使いやすく、分かりやすくすることだ。
永田氏はアクセシビリティに関わる取り組みの一例として、三菱電機製の2画面ケータイ「D800iDS」を紹介した。D800iDSは、2つあるディスプレイのうち、下側がタッチパネル付きディスプレイになっているため、ユーザーに合わせてダイヤルキーを簡単なキー表示に切り替えられる。また手書き入力をサポートしており、ダイヤルキーでの操作に慣れていないユーザーでも使いやすい。同端末はらくらくホンシリーズの製品ではないものの、新たな使い勝手を提供できる端末として位置づけられている。
また携帯電話本体の限られたスペースの中には、すべての機能を詰め込むことはできないため、骨伝導レシーバ「Sound Leaf」のようなオプション品なども用意。さまざまなユーザーが携帯電話を簡単に使えるよう、解決策を提供している。
一方ユーザビリティに関わる取り組みとして永田氏は、読み上げ機能や返信用定型文から本文を選ぶだけでメールを返信できる「メールらくらく返信」、通話相手の声の速さを実際よりも遅くすることで会話を聞きやすくする「ゆっくりボイス」、周囲の騒音レベルに合わせて自動的に音量調整を行う「はっきりボイス」などの機能を挙げた。これらの機能により、どんな状況、どんなユーザーでもメールのやり取りや通話がしやすくなる。そのほかにも、隣のキーと離れた大きく出っ張ったボタンを採用して押しやすくしたり、次に押すべきボタンを光でガイドする機能なども用意して、ユーザビリティの向上を図っている。
さらに、ドコモでは情報通信アクセス協議会が定めた「高齢者・障害者等に配慮した電気通信アクセシビリティガイドライン」という指針への対応も積極的に行っていることを紹介。「らくらくホンIII」「FOMAらくらくホン」「FOMAらくらくホンII」「FOMAらくらくホンIII」「D800iDS」「らくらくホンベーシック」「らくらくホンシンプル」「Sound Leaf」はすでにこのガイドラインに対応していることをアピールした。
こうした取り組みを踏まえて開発されたらくらくホンIVは「ドコモのユニバーサルデザインモデルのフラッグシップモデルだ」と永田氏は胸を張った。
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