HSDPA+3インチワイドVGAが生きるWebブラウジング――「912SH」の実力を試す(後編)「912SH」レビュー(2/3 ページ)

» 2007年09月14日 18時46分 公開
[田中聡(至楽社),ITmedia]

サイクロイドスタイル+ワイドVGA液晶が生きるPCサイトブラウザ

 PCサイトブラウザは、最大500KバイトまでのPC向けサイトを表示できるが、「ITmedia +D Mobile」や「mixi」のトップページなど、ページ容量が500Kバイトを超えるサイトは完全に表示できない。ページの表示方法は、PC画面のように横長にレイアウトされる「PCスクリーン」と、ケータイの画面サイズに合わせてレイアウトされる「スモールスクリーン」を設定できる。

 スモールスクリーンはPCサイトをケータイの縦画面に合わせて表示するので、レイアウトに無理が生じてやや見づらい。PCスクリーンは、縦画面では上下左右のスクロールが必要になり操作しづらいが、ディスプレイを回転すれば自動的に横表示に切り替わるので、PCスクリーンに設定して“サイクロイドスタイル”で見るのが最も快適だ。また、このサイクロイドスタイルでも縦画面と同じようにカーソルキーやダイヤルキーを使って操作できるのは便利。「FULLFACE 913SH」も横画面でPCサイトブラウザを利用できるが、センサーキーやサイドキーを使って操作をするのが、やや煩雑だ。

photophoto 左がPCスクリーン、右がスモールスクリーンで表示した画面。PCスクリーンのほうが横画面いっぱいに表示されて見やすい
photophoto 左が912SH、右が913SHの画面。いずれもPCスクリーン、文字サイズは912SHが「やや小」、913SHが「小」で表示率は「80%」。ワイドVGA液晶の912SHのほうがワイドQVGA液晶の913SHよりも広範囲を表示できる
photophotophoto ページの表示サイズは50/80/100/120/150/200%から変更できる。80%に設定したところ、「ITmedia +D Mobile」のトップページは、ディスプレイを回転させた横表示では、ほぼ横スクロール不要で表示できた(左)

Yahoo!ケータイ同様、リンク先やブックマークのサイトなど、最大3件のページをタブ表示できる(中央)。ただしYahoo!ケータイとPCサイトブラウザのサイトを混在させてタブ表示することはできない。また、PCサイトブラウザではメモリ不足になってしまい、3件目を表示できない場合もあった(右)

「料金」と「使い勝手」が注目の「jigブラウザ」

 jigブラウザはPCサイトを閲覧するためのフルブラウザアプリだ。月額630円または年間6000円の料金がかかるが、ソフトバンクのパケット定額サービス「パケットし放題」の上限が4410円のままで利用できる。一方、端末内蔵のPCサイトブラウザを利用すると、パケットし放題の上限が1575円高い5985円にアップする。jigブラウザを年間6000円で購入した場合、月額換算するとプラス500円で済むので料金面ではjigブラウザのほうがお得といえる。

 ではその使い勝手はどうだろうか。jigブラウザの表示モードは「オススメモード」「パソコンモード」「ケータイモード」の3種類が用意されている。ケータイモードは縦画面に収まるよう表示するのでレイアウトが崩れてしまい、パソコンモードはレイアウトは見やすいが上下左右のスクロールが必要だ。また、jigブラウザはディスプレイを回転しても横向きに表示する仕様にはなっていない。そこで文字通りオススメしたいのが「オススメモード」だ。縦画面でも見づらくなく、かつ少ない横スクロールでブラウジングできる。ITmedia +D Mobileのニュース記事であれば、ほぼ縦スクロールのみで読めた。

photophoto 左がオススメモード、右がケータイモード。テキストの記事を読むだけならオススメモードとケータイモードで大差ないが、画像込みの複雑なレイアウトは、オススメモードのほうが見やすい
photo MENU→「設定」→「カーソル設定」からスクロール速度を変更できる

 jigブラウザではCSSもサポートしているため、PCサイトブラウザでは完全に表示できなかったITmedia +D Mobileやmixiのトップページもしっかり表示できた。912SH用jigブラウザが表示できる1ページの最大表示容量は、HTMLファイルは135Kバイトまで、画像は合計400Kバイトまでとなる。

 ケータイでWebブラウジングする際に非常に重要となる画面スクロールは、上下キーを長押しすることで高速に行える。さらに、スクロールの最高速と加速度を調整することもできる。最高速と加速度をともに“70”に設定したところ、PCサイトブラウザよりもスピーディに画面をスクロールできた。文字サイズは「小」「大」の2種類しか用意されていない。

 jigブラウザは通常は縦画面のみだが、横画面版も用意されている。「jigブラウザ」のサイトにケータイからアクセスし、「ダウンロード」内にある「横専用版はコチラ」からダウンロードできる。通常版と横画面版を併用する形になり、パケット料金以外で追加料金が発生することはない。

photophoto 左がオススメモード、右がケータイモード。オススメモードとパソコンモードは大差ない印象。ケータイモードではレイアウトが崩れてしまった。電池残量、時刻、電波状態などのアイコンはすべて画面下に表示される

 通常版のjigブラウザに比べ、スクロールや検索ボックスの文字入力など、やや動作がもたつくのが気になった。mixiにアクセスしてコメントを書き込もうとしたが、文字入力の操作レスポンスが遅くなっていた。

photophoto 左がPCサイトブラウザ。設定は“PCスクリーン”“文字サイズ:やや小”“表示率:80%”、右がjigブラウザの「横」。こちらの設定は“オススメモード”“文字サイズ:小”

 利用料金の安さ、表示できるページサイズ、スクロールの速さといった操作性を考えると、内蔵のPCサイトブラウザよりjigブラウザのほうが有利だ。ただし、jigブラウザではFlashを使ったページを表示できず、ディスプレイを回転して表示を切り替えられないなどの弱点もある。また、PCサイトブラウザはYahoo!ケータイと連携できるなどのメリットもある。こうした細かい点を改善できれば、jigブラウザは912SHの持つワイドVGAディスプレイと3Gハイスピードという特徴を最大限発揮できる存在になるだろう。

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