「総務省に言われて始めるわけではない」──au買い方セレクトに込めたKDDI高橋氏の意図(1/2 ページ)

» 2007年10月05日 11時00分 公開
[園部修ITmedia]
Photo au買い方セレクトへの移行フローを簡単にまとめた図

 KDDIが10月4日に発表した新しい端末販売方法、「au買い方セレクト」は、11月12日以降に端末を購入する際に、必ず利用しなくてはならない制度となる。簡単に言ってしまうと端末の購入時に一括で端末価格を支払って低廉な料金プラン(シンプルプラン)を利用するか、従来どおり端末購入時に補助を受けて初期費用を抑えながら、既存の料金プランを利用するかを選ぶことになる。

 KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ事業統轄本部長の高橋誠氏は発表会で、「これは新しい携帯電話の買い方の提案。ユーザーに、生活スタイルや消費スタイルに合った形で、端末代金の支払い方法と月々の基本料金や通話料金を選んでいただく」と胸を張った。

「端末補助金自体はこれからも必要」と高橋氏

Photo KDDI 取締役執行役員常務 コンシューマ事業統轄本部長の高橋誠氏

 これまでの、端末販売時にキャリアが販売奨励金を出し、端末の見かけの価格を安く抑える販売方法は、携帯電話の普及や端末代金の低廉化、そしてサービスの高度化に貢献してきた。携帯電話の出荷台数はここ数年5000万台前後で頭打ちとなっており、携帯電話の新規購入需要も縮小傾向だが、依然として買い換え需要は旺盛であり、新しいサービスを素早く普及させていくためにも、「端末販売時の補助金というシステム自体は、これからも必要だと考えている」と高橋氏は言う。

 一方で、ユーザーに対する販売奨励金についての説明が不十分であり、料金体系に不透明な部分があったことは確かだと同氏も認める。従来の販売奨励金は、ユーザーが払う月額基本料や通話料などから回収しているが、そのことは必ずしもユーザーには認知されていない。そのため、買い換え頻度によって得をしている人と損をしている人がいるのではないか、という不公平感も議論されるようになった。さらに、この販売奨励金モデルそのものが、一部ユーザーの不要な買い換えを招いているとの認識もあったという。

 こうした意見はモバイルビジネス研究会から指摘されるまでもなく、KDDIがユーザーの声として聞いてきた部分であり、「改善する必要性を強く感じていた」と高橋氏は話した。そこでKDDIが打ち出したのが、「購入サポート」として端末補助金(かつての販売奨励金の一部)の金額を明示して、携帯電話の利用契約期間を設定するau買い方セレクトの「フルサポートコース」と、端末代金を最初に一括で払いし、安価な料金プランを利用できる「シンプルコース」である。

PhotoPhotoPhoto 販売奨励金モデルによって、端末は広く普及してきた。昨今は新規加入者は減っているものの、依然旺盛な買い換え需要があり、端末を安価に販売する方法はこれからも必要だとKDDIは考えている。そこで打ち出すのがau買い方セレクトだ

auポイントを活用し、たくさん使う人も長く使う人も公平になる“フルサポート”

Photo フルサポートコースの概要

 au買い方セレクトのフルサポートコースは、今までとよく似た販売方法でありながら、利用期間条件を付けることで端末代金を支払う期間を明確化し、さらに、利用金額に応じた累進型のポイントを付与して、たくさん使う人は短期間での機種変更も容易にするなど、非常に考え抜かれたプランとなっている。

 「従来は、販売奨励金を原資として、販売代理店が自らの裁量で端末の値引きを行っていた。しかし、au買い方セレクト導入後は、フルサポートコースでは利用期間に応じた端末補助金の金額を明確にする。利用期間が経過したら、安価なシンプルコースへの移行も可能だ。端末補助金なしのシンプルコースでは、端末の購入時にはそれなりの金額を払う必要があるが、最初から安価な料金プランが選べる。いずれの場合も、代理店向けの販売手数料などと端末補助金は別のものになる」(高橋氏)

 フルサポートコースにおけるポイントサービスは、今回の大きな目玉といえる。従来は一律100円の利用で2ポイントが付与されていたauポイントは、フルサポートコースのユーザーには月額4999円までの場合100円で4ポイント、9999円までは100円で5ポイント、1万円以上は100円につき7ポイントを付与する。月に1万円以上の料金を支払うヘビーユーザーは、従来の3.5倍のポイントが付与されるので、通常より早いペースでポイントがたまっていく。こうしてユーザーが貯めたauポイントは、フルサポートの解除料に充当できるので、ユーザーは1年程度でもそこそこの解除料を払うだけで機種変更が可能になる。利用額の高いユーザーには、継続利用期間が短縮できるオプションを用意しているわけだ。

 auが示したシミュレーション結果によれば、毎月1万4000円程度支払うヘビーユーザーなら、1年間で1万1760ポイントたまり、さらに1年毎にプレゼントされるアニバーサリーポイントが200ポイント入ることから、ポイントは1万1960ポイントたまる。1万1960ポイントは、税込みで1万2558円相当の値引きが受けられる。フルサポートの解除料が13カ月目に1万2600円になるので、差額の42円を払えば、2年目にはフルサポートが解除できるという。

 ヘビーユーザーばかりが優遇されるようにも見えるかもしれないが、月額3000円程度の利用で、24カ月以上端末を使い続けるユーザーにも、ポイントプログラムによる恩恵はある。ポイントがたまるペースは100円で4ポイントになるので、同じ期間で従来の2倍のポイントがたまる。たまったポイントを、次回の機種変更の際に端末代金に充当すれば、安価に機種変更が可能になる。

 なお、今回のau買い方セレクトの導入に合わせてauポイントの有効期限は廃止される。そのかわり貯められるポイントの上限が4万ポイントまでになる。

PhotoPhotoPhoto 端末補助金月の購入方法を考案するにあたり、海外の事例なども検討したが、日本では従量通信料が多いため、独自の手法を導入して柔軟性を持たせた。利用額に応じてauポイントを付与することで、ヘビーユーザーでもライトユーザーでも、また高利用ユーザーでも低利用ユーザーでも不公平感がないよう配慮した。ちなみにソフトバンクモバイルの「新・スーパーボーナス」とも比較。新・スーパーボーナスは、高利用者に対する優遇などがない

端末代金を先に払えば低料金のプランが利用可能な“シンプル”

Photo シンプルコースの概要

 やや込み入った説明が必要なフルサポートコースに比べ、「シンプルコース」はとても単純明快だ。端末購入時の補助金が一切ない替わりに、利用期間契約もなく、端末補助金分を含まない割安な新料金プラン「シンプルプランS」もしくは「シンプルプランL」が利用できる。

 シンプルプランSは、月額1050円で無料通話は含まず、通話料は30秒で15.75円。誰でも割などの基本料金割引は適用できないが、指定割や家族割、スマイルハート割引の通話料割引は適用される。シンプルプランLは、月額料金2625円を払えば、通話料が国内の携帯電話では最安値となる1分10.5円になるというもの。

 既存の料金プランと比較した場合、無料通話の有無などの違いがあるため一概にどちらが安いとは言えない部分もあるが、2台目の端末、あるいはあまり電話をかけない人にとってはシンプルプランSは非常に魅力的だろう。

Photo シンプルコース用の低廉な料金プランは「シンプルプランS」と「シンプルプランL」の2種類。シンプルプランLでは、携帯電話としては業界最安値となる1分10.5円という通話料を実現している
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2024年04月18日 更新
  1. 縦折りスマートフォン6機種のスペックを比較する サイズ/カメラ/価格の違いは? (2024年04月17日)
  2. ソフトバンク版iPhone 15 Pro、Pixel 8 Proの一部容量が実質24円(※別途費用あり) 1年で買い替える人向け「新トクするサポート(プレミアム)」の内訳とは (2024年04月17日)
  3. 「ポケモンGO」大幅アップデート より自分に近いスタイル変更、現実世界を反映したビジュアルなど (2024年04月16日)
  4. Back Marketの「リファービッシュ製品」が中古と違うワケ 売れ筋はiPhone 13、バッテリー“100%保証”の計画も (2024年04月17日)
  5. 「改正NTT法」が国会で成立 KDDI、ソフトバンク、楽天モバイルが「強い懸念」表明 (2024年04月17日)
  6. 「なめてんの?」前澤友作さん、Metaの“他責的声明”に激怒 著名人なりすまし広告問題で (2024年04月17日)
  7. HMDとハイネケン、透明で“退屈な”折りたたみ携帯を発表 (2024年04月17日)
  8. バッファロー製Wi-Fiルーターに脆弱性 対象機種は今すぐファームウェア更新を (2024年04月17日)
  9. ソフトバンク、「新トクするサポート(プレミアム)」を4月18日に開始 対象機種は? 現行プログラムとの違いは? (2024年04月16日)
  10. 最新のXperia発表か ソニーが「Xperia SPECIAL EVENT 2024」を5月17日に開催 (2024年04月17日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー

2024年