作品名 | 包帯クラブ |
監督 | 堤幸彦 |
制作年・製作国 | 2007年日本作品 |
今回ご紹介する作品は、天童荒太のベストセラー小説を映画化した『包帯クラブ』。そのクラブの一員として、柳楽優弥や石原さとみが不器用で純粋な高校生を演じています。
関東の外れの地方都市で、高校生活を送るワラ(石原さとみ)。両親の離婚以来、ワラの心にはぽっかりと大きな穴が空いたようでした。朝から晩まで働いている母親の代わりに家事をして、生活のためバイトに勢を出す毎日を、息苦しく感じていました。
ふとしたはずみでケガをしたワラは、病院にやってきますが、そこでも大人の理不尽な態度にイライラ。何となく足が向いた屋上は、澄んだ空がとても心地よい空間でした。ワラは、気付けば屋上のフェンスを超えて、風を両手に受けていました。
そんな時にやって来たのが、入院患者のディノ(柳楽優弥)。ワラの暗い瞳を見て、ディノは変な関西弁で深刻な空気を壊します。ディノは学校にはほとんど通わず、奇妙な実験を繰り返しているといいます。そして、おもむろにワラが使っていた包帯をほどき、フェンスにそっと巻きつけて見せました。
「手当てや」
初対面なのに、やけになれなれしいディノに、ワラは警戒しながらも、不思議な安心感を覚えます。
「血が止まったような気、せん?」
確かにディノが巻いた包帯によって、ワラの心の傷は少しだけ癒されたような気がしたのでした。
翌日ワラが学校に行くと、親友のタンシオ(貫地谷しほり)が落ち込んでいる様子。聞くと、彼氏にふられたと泣き出します。そんなタンシオをなぐさめようと、ワラはディノがしてくれた包帯の手当てを思い付きます。
タンシオがふられた公園のブランコにやって来て、包帯を巻きつけてあげたのです。その様子を見て、タンシオは感激してまた泣き出します。タンシオはブランコと包帯を携帯のカメラで撮って写メールを送り、友情を誇ったのでした。
数日後、その写メールがタンシオのメル友のメル友に渡り、連絡をしてきたのが浪人生のギモ(田中圭)。ワラの巻いた包帯に心を動かされて、傷ついた人の傷ついた場所に包帯を巻く“包帯クラブ”を作らないかと誘ってきたのです。
ワラは、包帯を巻くアイデアをくれたディノを探し出して、クラブの話をしに行きます。すると、ディノは乗り気で
「包帯巻いて世界が変わったら、めっけもんや」
と“包帯クラブ”に加わることに。ギモが作成した“包帯クラブ”のホームページで、包帯を巻いてほしい人を募集することになったのでした。クラブ発足後すぐに、包帯を巻いてほしいというメールはいくつも送られてきます。包帯を巻いた後には、写メールで依頼主にその様子を送り返していました。
こうして、街中に包帯を巻き続けていたワラたちですが、“包帯クラブ”の存続を脅かす事件が起きてしまいます。そして、ディノが決して語ろうとしなかった過去の出来事を知った時、ワラは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.