インタビュー
» 2008年02月13日 23時30分 UPDATE

Mobile World Congress 2008:“バリュー”はソフトウェア──「S60」を軸にソフトウェア資産の増強を目指すNokia

Googleの「Android」に挑戦状を突きつけられたNokiaの共通プラットフォーム「S60」。これに対し、Nokiaは“Qt”を手がけるTrolltechを買収する。これはどのような戦略なのか。Nokiaのモバイルソフトウェア担当セールス&マーケティング上席副社長マッティ・ヴァンスカ氏に話を聞いた。

[末岡洋子,ITmedia]
photo Nokia テクノロジープラットフォーム事業部モバイルソフトウェア担当セールス&マーケティング上席副社長のマッティ・ヴァンスカ(Matti Vanska)氏

 携帯電話の世界シェアが4割に到達したフィンランドのNokia。「Nseries」など、同社製端末の多くを支えているのがSymbian向けUIの「S60」だ。

 2007年は米Googleが「Android」およびOpen Handset Allianceを発表してSymbian/S60に挑戦状を突きつけたが、Nokiaは2008年1月、ノルウェーTrolltechにTOBで買収を提案した。これはどのような戦略なのか。プラットフォーム戦略やS60などについて、Nokia テクノロジープラットフォーム事業部モバイルソフトウェア担当セールス&マーケティング上席副社長のマッティ・ヴァンスカ(Matti Vanska)氏に話を聞いた。

ITmedia Trolltechに買収を持ちかけています。この買収は何を意味するのでしょうか?

ヴァンスカ氏 Trolltech買収は現在のソフトウェア戦略を実装するものです。

 まず、Nokiaのソフトウェア戦略を説明しましょう。われわれはSeries40、S60、タブレットで採用しているLinuxなどのプラットフォームを持ち、PCなどのOSも考慮に入れています。バリューはソフトウェアスタックに移行しつつあります。Nokiaの目標は、PCを含めてあらゆるプラットフォームで動くソフトウェア資産を構築することです。

 Trolltechの買収がうまくいった場合、このソフトウェア資産をかなり補強できます。Trolltechは、「Qt」というGUIライブラリ/UIコマンド技術を持っています。Qtはマルチプラットフォームなので、これを利用することでほかのプラットフォームでも動くアプリケーションを開発できるうえ、ユーザーエクスペリエンスも強化できます。これは、先ほど述べたNokiaのソフトウェア戦略に合致するものです。QtとTrolletechの卓越した技術チームを獲得する──。これが買収の狙いです。

 Trolltechは「Qtopia」(Linux)もありますが、これはメインではありません。Trolltechはオープンソースの利用で優れた企業です。オープンソースは重要になっており、われわれもこの動きに参加したいと思っています。

ITmedia QtopiaでモバイルLinuxを強化する計画は?

ヴァンスカ氏 ライセンス事業などのTrolltechの既存ビジネスは尊重しますが、この買収でわれわれのLinux戦略が変わることはありません。われわれはSymbianにコミットしており、Linuxはタブレットで利用します。

ITmedia 「Android」などLinux関連が盛り上がりつつあり、英Sony EricssonはWindows Mobile採用端末を発表しました。これをふまえて、S60の戦略を教えてください。

ヴァンスカ氏 S60をサポートする端末の出荷台数は1億5000万台。このうちの約3分の1以上が、インターネット対応を強化した最新の3rd Editionを搭載しています。コンバージェンスデバイスと呼ばれる分野での市場シェアは53%を上回っています。このコンバージェンスデバイスカテゴリは急成長分野で、2007年第4四半期は前年同期比73%増で拡大するなど、やはり重要な分野といえます。

 このイベント(Mobile World Congress 2008)の会期中、韓Samsung電子、韓LG電子、それとNokiaから合計6機種のS60搭載端末が発表されました。これは、S60の成功を実証するものです。

 中でもSamsungは2007年にS60機種を6機種発表しており、今回で7機種目となります。新製品はすべてウィジェットをサポートしており、われわれは2007年春に約束したことを実現しました。

 S60の特徴は、セグメンテーションが可能であり、容易に最新製品を開発できるプラットフォームという点です。さまざまな端末を開発できます。

 強みはまず、インストール台数です。S60全体で1億4000万台、3rd Editionをサポートした端末は4000万台出荷しています。すでに端末があるという点です。

 次は、インターネットのイノベーションにオープンである点です。Google、Yahoo!、Microsoftといったサービスを利用できますし、Nokiaの「Ovi」もあります。

ITmedia S60の今後の機能強化について教えてください。

ヴァンスカ氏 年内にタッチ機能を提供します。もちろん、すべての端末がタッチパネルベースになるとは思いません。個人的には、今後もスクロール/セレクトタイプの端末が主流だと思いますが、やはりタッチを求めるユーザーも多くなるでしょう。

 次のS60では、タッチのみ、あるいはタッチとQWERTYキーボード、タッチと通常のダイヤルキーに対応します。もちろんタッチなしもあります。タッチは指とスタイラスでの操作に対応し、さまざまなバリエーションを用意するとともに、ライセンシーのイノベーションも支援します。最新のS60をサポートする端末は2008年後半に登場する予定です。

ITmedia 開発者向けの取り組みを教えてください。

ヴァンスカ氏 クールなイノベーションはどこから生まれるか分かりません。モバイル、固定インターネットに対応するため、NokiaはJava、C++、それにAjax、HTML、CSSなどWeb 2.0技術のWebランタイムなど、さまざまな技術を提供します。Trolltechの買収が実現すれば、これにQtが加わることでしょう。

 現在、Forum Nokiaに登録している開発者は300万人以上存在し、S60に対応した商用アプリケーションは2007年末時点で5600種以上あります。

ITmedia 今後のアプリケーションのトレンドは?

ヴァンスカ氏 ソーシャルネットワークの要素とマルチメディアの組み合わせ、メッセージング、ナビゲーションなどになると思います。

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