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» 2008年06月12日 00時29分 UPDATE

石川温・神尾寿の「モバイル業界の向かう先」:第10回 マイクロソフト 梅田成二氏――キャリア独自サービスへの対応も検討 (1/2)

業界のキーパーソンと、ジャーナリストの石川温氏、神尾寿氏が携帯業界についてざっくばらんに語るモバイル鼎談。第10回では引き続き、マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部部長の梅田成二氏に、Windows Mobileの今後の方向性を聞く。

[田中聡(至楽社), 聞き手:石川温、神尾寿,ITmedia]

 ウィルコムの「W-ZERO3」に端を発し、最近ではキャリア各社からスマートフォンが投入され、一定の市民権を得ている。このスマートフォンを支えるOSの1つが、マイクロソフトが提供する「Windows Mobile」だ。Windows MobileのUI(ユーザーインタフェース)は基本的にPC向けのWindowsがベースとなっているため、一般的な携帯電話とは操作性が異なり、必要なアプリケーションを自分でインストールする必要があるなど、“あらかじめ全部用意されている”ケータイに慣れたユーザーにはハードルが高い点が指摘されている。

 第9回ではそんなWindows MobileのUIが強化されていく可能性について聞いてきた。今回は、よりコンシューマー色の強いWindows Mobileを開発するにあたり、具体的にどのようなサービスが提供されていく見通しなのかを、マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部部長の梅田成二氏に聞いた。

PhotoPhotoPhoto 左からジャーナリストの石川温氏、神尾寿氏、マイクロソフト モバイル&エンベデッドデバイス本部 部長の梅田成二氏

Windows Mobileでiモードが使える可能性

神尾寿氏(以下敬称略) Windows Mobileは“キーボードが付いていて、ビジネスパーソンが使うもの”というイメージがなんとなくあるんですが、このへんも徐々に変わっていくのでしょうか。

梅田成二氏(以下敬称略) そうですね。よりコンシューマー色の強いものは出てきますね。

神尾 前回はUIが重要という話が出ましたが、コンシューマー色を強めるにあたって、ほかに重要だと考えているポイントとしてはどのようなものがありますか?

梅田 キャリアさんのサービスとどう連携させるか、という点ですね。例えばAppleの「iPhone」だとiTunes、日本のケータイだとiモードやEZwebなど、キャリア独自のサービスがかなり根を張っているので、その中に入らないとユーザーにも近づけないですし、販売チャネルのメインストリームに乗せるのも難しいわけです。

石川温氏(以下敬称略) それはつまり、今後iモードやEZwebのサービスがWindows Mobileで動く可能性もあるということでしょうか?

梅田 その方向で努力しています。Windows Mobileだからiモードが載せられないということはまったくありません。実際にSymbian OS上でiモードが動いているわけですから。またドコモ端末のSymbian OSと同様、アプリケーションを自由にインストールできない形にすることは、Windows Mobileでも可能です。しかしそれだと、あえてWindows Mobileを使う意味が曖昧になってしまいます。ユーザーさんがいろいろなアプリケーションを自由に入れることを許容しつつ、iモードなどを載せようと思うと、コンテンツ保護の仕掛けなどをきっちり作り込んでいかないといけません。

 こうした要素は一長一短で、セキュリティを高めるほどエンジニアリングの開発コストやハードウェアコストは上がります。コストやリソースをかけてどれだけユーザーが広がるのか、という問題もあります。今は技術的な検討をしながら、どういう風にコマーシャルベースに乗せるかというところを検討しています。

神尾 セキュリティを考えれば、(Windows Mobileの)自由度を縛るのが一番手っ取り早いですよね。その上でWindows Mobileの端末を出せば、インストールベースの台数はドカンと出るわけですよね。そうすると、自由度は低いけれどもメーカーやキャリアが作ったものとしてのWindows Mobileのソフトウェアは出てくると思います。それでも御社のスタンスとしては、あまりそれをやらず、自由度を重視して並存できる形でキャリアサービスへ対応する、というスタンスを採りたいということでしょうか?

梅田 いや、我々というよりも、今のところはキャリアさんの企画に依存していますね。自由度を縛ってWindows Mobileを出して、何のメリットがあるのか、ということです。

神尾 なるほど。それは御社がそういう打ち出し方をしているというよりは、キャリアさんがWindows Mobileの利点を殺さない形で並存させたいと考えている、ということですか。

梅田 ええ。その点に関してはキャリアさんの意向が大きいですね。

石川 メーカーとしては、コストを安く抑えてWindowsのプラットフォームを使って、キャリアのサービスを載せて、といった可能性は今後ありえるのでしょうか?

梅田 もちろんあると思います。ただ、最近の高機能携帯を使ってみるとお分かりかと思いますが、大量のデータを扱うことを前提に設計されたOSを搭載していないので、メモリ管理がものすごく大変なんです。ワンセグを見てブラウザを立ち上げて、またワンセグに戻って……といろいろなことをやっていると、メモリ管理がおかしくなってクラッシュしてリセット、ということが起こります。「ITRON」などのリアルタイムOSに今日的なメモリ管理機能を入れる体力があるかというと、なかなかそこは苦しい。であれば、マイクロソフト系のOS使おうということで、そこをメーカーさんと考えるタイミングになっているのではないかと思います。

石川 LiMO Foundation(Linux OSによる携帯電話向けプラットフォームの構築を推進する団体)はメーカーとキャリアがガッチリ連携して、いろいろなアプリを載せたりしていますけど、Windows Mobileがそこに入ってくると面白いかなと思いますね。

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