インタビュー
» 2008年06月18日 20時43分 UPDATE

開発陣に聞く「P906i」:P905iで妥協した“ほんの数ミリ”──「P906i」の進化の過程はここから始まった (1/4)

人気モデル P905iの“正常進化モデル”として登場したパナソニック モバイル製の「P906i」。多くのユーザーに支持されたP905iに何が足りなかったのか、P906iはどこが進化したのか。パナソニック モバイルのP906i開発チームに話を聞いた。

[岩城俊介,ITmedia]
photo パナソニック モバイル製の「P906i」。ホワイト、メタル、ピンク、ブラックの4色で展開する

 Wオープンスタイルは本当に評価されるのか──。まだ世に出ていない前モデル P905iを手に、すでに「P906i」の開発が始まっていた。

 ドコモの2008年夏モデル「P906i」は、ヒットモデルとなった2007年秋冬モデル「P905i」の特徴を継承しながら、デザインや機能を向上させた“正常進化モデル”として登場した。

 ディスプレイが横にも開くWオープンスタイルの“VIERAケータイ”。ワンセグ、おサイフケータイ、フルワイドVGA(480×854ピクセル)の高解像度ディスプレイとFOMAハイスピード(HSDPA)、510万画素AFカメラ、横向きプレイ対応の3Dゲームなど、前モデルのP905iは多彩な特徴でユーザーの人気を得た。

 その次期モデルP906iは、それ以上の何が必要だったのか。開発の裏側をパナソニック モバイルコミュニケーションズのP906i開発チームに聞いた。

photo パナソニック モバイルコミュニケーションズのP906i開発チーム 左上から機構設計担当の南賢治氏、電気設計担当の藤原弘樹氏、前プロジェクトマネージャーの片山浩氏、コンテンツ企画開発担当の相澤淳氏、ソフトウェア設計担当の吉岡誠氏 左下からソフトウェア設計担当の小池信之氏、プロジェクトマネージャーの松尾学氏、商品企画担当の大平秀暁氏、商品設計担当の高橋太志氏

開発は「“Wオープンスタイル”をさらにどうするか」から始まった

photo P906iはディスプレイが横にも開く“Wオープンスタイル”を継承。横向き画面でワンセグや写真・動画再生、フルブラウザ、ゲームアプリなどが楽しめる

 「おかげさまでP905iは人気機種になりました。P906iの開発は、ちょうどP905iがほぼ完成に近づいたときにスタートしました」(プロジェクトマネージャーの松尾学氏 以下、松尾氏)

 年に数回モデルチェンジし、進化する日本の携帯。新機種はその数カ月で開発するのではなく、数年単位の計画で行われる。

 P906iは約1年前の2007年5月頃に開発が始まった。もちろん2007年11月発売のP905iも世に出てはいない時のこと。人気の理由の1つになったWオープンスタイルも、当時はユーザーにどう受け入れられるか未知数であった。

 「去年の今頃は、かなりもめていましたね(笑)」(商品企画担当の大平秀暁氏 以下、大平氏)

 「すでに開発が終了しつつあるが、まだ世に出ていないP905iを手に、何を進化させればいいか。何が足りないのか、ユーザーは何が不満か。これを見極めるのが非常に困難でした」(松尾氏)

 Wオープンスタイルは、ボタン操作でディスプレイが開くワンプッシュオープンとともに、ディスプレイが横にも開き、映像コンテンツWebサイト、ゲームなどを横向きで利用できる。この新しい利用スタイルを提案するために開発された横開きのヒンジ機構が文字どおり“軸”になっている。

 「P905iでやりきれなかったことは、まず“見た目”です。Wオープンスタイルはユーザーに驚きを与えられるスタイルですが、開発期間の都合上、じつは妥協した箇所もありました。普通のスリムボディなのに、横にも開く──横開きの完成度をさらに上げようということを最重要のテーマにしました」(大平氏)

 「薄くするといっても、そのための新機構のヒンジは間に合うのか──なども含めてここから2、3カ月議論して方向性を決めました。これが去年の夏頃でした。暑いなかで熱い議論をしていたのを思い出しました」(松尾氏)

 それほど気にならず、出っ張りのないスマートなボディだったと思うP905iも、よく見ると右側面に数ミリの出っ張りがある。これはヒンジの横開き機構のために設けられたもので、ヒンジを収納するのにこのスペースが必要だった。

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 その小さい出っ張りはP906iできれいになくなった。側面とともにややふくらんでいた背面パネルもびしっと平滑面になり、直線的でスマートな印象を受けるデザインへ進化し、本体の厚さは1.1ミリ薄い17.4ミリ、重量も14グラム軽い123グラムを実現した。

 「ヒンジ内の軸径のほか、実は構造も大きく違います。P905iのヒンジは主に板状の金属で構成していますが、同じ構造のままこれ以上小さくすると強度が保てなくなります。P906iは思い切ってその材質そのものも変え、小径化、小型化、軽量化を図りました。その結果、小型化しつつも強度はP905iと同等に仕上げることができました」(機構設計担当の南賢治氏 以下、南氏)

 もちろん、“魔法のフック”も健在で、ディスプレイを横に開いてもぐらつきが生じることはない。

 また、改良型のヒンジとともに内部の基板デザインもかなり変更した。P905iと見比べると裏面のバッテリー付近や側面のキー配置がやや異なることに気がつく。

 これらの結果P906iは、906iシリーズでは薄型モデルの「N906iμ」に次ぐ123グラムの軽量ボディに仕上げた。数値で見るとそれほどとは思えないかもしれないが、906iシリーズには143グラムのやや重量のあるモデルもあり、手にとって比べると「あ、軽い」とはっきり感じられるほどだ。

 「薄くするために見直した箇所も多く、基板デザインはかなり違います。これらの取り組みは結果として軽量化にもつながりました」(電気設計担当の藤原弘樹氏 以下、藤原氏)

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