メインカメラはP905iと同じ、携帯カメラとしては最高クラスの有効510万画素CMOSだが、顔認識オートフォーカス+オート露出機能を新たに備えた。パナソニック独自の顔認識と階調補正技術により、ファインダー内の顔を最大5人まで自動検出し、ピントを合わせるポイントを自動追尾するとともに、(複数の顔が検出された場合はその中の1人に)適切な露出へ調整するものだ。
この階調補正技術は逆光や日陰、曇りの日の撮影も背景を白飛びさせることなく、きれいな顔色、肌色になるよう自動補正するようチューニングを施したという。
「このカメラは、“これだけメインで使っていただける”ほどの性能にしました」(大平氏)
動画撮影機能も最大640×480ピクセル(VGA)やハーフVGAワイド(640×352ピクセル)/30fpsの動画が撮影可能。動画の撮影中、常にピントを合わせ続けるコンティニュアスAFにも対応する。
「カメラ機能は、LUMIXなどパナソニックが蓄積する技術やノウハウを用いています。携帯の顔認識AFは他社さんに先にやられてしまったこともありまして(笑)、他社さんの同じ機能より認識率が高く、自動的に“よりきれいな写真に補正する”機能も含めて満足のいく機能になったと思います」(松尾氏)
ワンセグのフレーム補間技術や顔認識AF技術など、1つ前のモデルで“携帯初”だった機能は、数カ月後に登場する新機種で“当たり前”になってしまうほど競争が激しい携帯開発の現場。そこに“人の心に響く”新機種を数カ月ごとに投入するのは、なみ大抵の努力ではすまないことだろう。
P906iの進化は“たった数ミリ”の出っ張りをなくすことに始まった。これを軸に浮かんだ新たなアイデアから“どう使いやすくするか”についての機能向上に努めた。その結果、P905iの弱点や妥協を解消するさまざまな進化につながった。
こうして生まれたP906iをユーザーはどう評価するだろうか。ドコモの906iシリーズは夏モデルの発表から日をおかず発売され、中でもP906iは906iシリーズ一番乗りの6月1日に発売された。906iシリーズはとりあえず、おおむね出足が好調のようである。
「P906iは、P905iの正常進化型としてかなりの完成度に仕上がりました。まだ“VIERAケータイ”をお持ちでない人にぜひ使ってもらいたいと思います」(松尾氏)
かつての“P”端末に採用した機能に、外装を着せ替えできる「カスタムジャケット」がある。2008年夏モデルはソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製端末「SO706i」やau向けの「フルチェンケータイ re」に似た機能が備わる。
「カスタムジャケットは、一応開発当初の議題としては上がりました。ただ、厚くなってしまうことと、それが本当に“売り”になるのかを検討した結果、採用は見送りました。」
906iシリーズは“P”端末以外に「SH906i」など、Bluetooth搭載機種が増えた。P906iはSH906iに備わる、外部のBluetoothキーボードで操作できるHIDプロファイルは備えないが、新Bluetoothレシーバー「ワイヤレスイヤホンセット02」(ドコモの標準オプション品として展開する、SH906iなどのBluetooth対応端末でも使える)を投入し、接続の手間も従来の機種より楽になった。他社製Bluetooth対応機種ではできる機種もあった「Bluetoothレシーバーの操作だけで音楽再生開始」に対応した。
そのほか、今回のP906iシリーズは「iTV」などの企画端末を投入しない。ドコモの新サービス「ホームU」に対応する無線LAN搭載端末「N906iL onefone」などはどう思っているだろうか。
「うーん。弊社もやらざるを得なくなるのですかね(笑)。商品ラインアップをどうとらえるかというのもありますので、コメントは控えます」
──冬に期待してくれ、ということですかね。
「ははは(笑)。ノーコメントです」
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