インタビュー
» 2008年08月11日 18時54分 UPDATE

開発陣に聞く「P706ie」:“口うるさくもすばらしき先輩たち”に捧ぐ新スタンダード──「P706ie」 (1/4)

らくらくホンシリーズとは少し異なる“使いやすさ”を目指すドコモの706ieシリーズ。らくらくホンと何が違うのか。急速に普及した携帯だからこそ生じてしまった“ニーズのすき間”とは何か。その開発の意図を「P706ie」開発チームに聞いた。

[岩城俊介,ITmedia]

 携帯ショップでふと出た言葉「使いやすいのはない?」。店員はすかさず“らくらくホンシリーズ”を勧めてきた。「違う……それじゃない。わたしはまだそんな年ではない」──。

 携帯電話は国内契約数が1億を超え、老若男女を問わず所持する機器になった。それだけ成熟した市場はユーザーニーズも多岐に渡るようになる。高機能、ライフスタイル別、女性向け、シニア向けなど、ここ数年の携帯キャリア各社が投入する端末ラインアップの多さには目を見張るものがある。

 ドコモの706ieシリーズは、そんな新たな市場ニーズを満たす“新スタンダード”モデルとしてラインアップに加わった。パナソニック モバイルコミュニケーションズ製の「P706ie」はその代表モデルの1つ。P705iやP706iμと大きく変わらない多くの機能を備えつつ、「使いやすさ」の工夫を多く取り入れた端末として展開する。

 なぜ「ie」なのか、そして「ie」は何を目指した携帯なのか。パナソニック モバイルのP706ie開発チームに聞いた。

photo 「P706ie」開発チーム。左上から デザイン担当の佐井章重氏(パナソニックデザイン社)、デザイン担当の山下公明氏(パナソニックデザイン社)、プロジェクトマネージャーの大北英登氏、設計担当の春慶宇氏、ソフトウェア担当の山本喜郎氏 左下から 電気設計担当の萱森学氏、機構設計担当の佐々木智氏、商品企画担当の笠原亮一氏、ソフトウェア担当の有田俊幸氏

ふとできていた「ニーズのすき間」

photo 「P706ie」。Lavender、Silver、Blackの3色で展開する

── なぜ「ie」なのでしょう。P706ieはどんな端末なのでしょうか。

プロジェクトマネージャーの大北英登氏 以下、大北氏 “ie”はドコモさんからつくってくれといわれたのではなく、前からやりたいと思っていたものです。こちらから新しいカテゴリをくださいと提案しました。

 例えば“認めたくはないが、視力は劣ってきた。ただ、自分ではらくらくホンはまだ早い、そんな年ではない”と思っているユーザーに対し、はっきりと勧められる機種がないことに困ったという携帯ショップの声がありました。

 このようなユーザーさんは、かなり昔から携帯に慣れ親しんでいることでしょう。中にはユーザー歴十数年という人もいらっしゃると思います。このため、操作そのものにはとりたてて困ることは少なく、むしろ携帯リテラシーはかなり高い。ただ、身体機能が昔より落ちてしまっただけなのです。

 P706ieは、ワンセグやおサイフケータイ、3インチのフルワイドディスプレイ、FOMAハイスピード(HSDPA)、200万画素AFカメラといった機能をまったく省かず、そんなユーザーに向けた「使いやすさ」とデザイン性を盛り込んだ機種として開発しました。

── らくらくホンシリーズとは何が違うとお考えですか。例えば、富士通さんも「らくらくホン プレミアム」のような、高機能な端末を出しています。

大北氏 らくらくホンIVらくらくホンベーシックは、特に“携帯電話は初めて”というユーザーさんに安心して使えるよう非常によく練り、考慮されたすばらしい端末だと思います。

 P706ieは、「使いやすい」という点についてらくらくホンシリーズに劣らない配慮を施しながら、いわゆる“ケータイ”としての機能は必要という、すでに携帯にある程度慣れているユーザーを想定しました。

 例えばこのような方です。「携帯使用歴はもう数年以上で、ある程度は使える。むしろ携帯の新しい機能は積極的に使っていきたい。でも……」。歴史はまだ浅いものの、急速に普及した携帯ならではの“でも……”の部分に見落とされていたニーズのすき間がありました。

── “でも……”とは、例えば本人は認めたくないが、ある年齢になると誰にもある「老化による視力や聴力といった身体機能の衰え」ということですね。例えばこれに対し、どんな機能があるのでしょうか。

大北氏 P706ieは、706iシリーズで最高クラスのスペックを備えながら、大きく3つのポイント“聞きやすさ”“見やすさ”“使いやすさ”にも同様のこだわりを込めました。

商品企画担当の笠原亮一氏、以下笠原氏 “聞きやすさ”は、騒がしいところでも相手の声を聞きやすくする「しっかりトーク」、ワンプッシュ操作で相手の声がゆっくり聞こえるようになる「ゆったりトーク」を新たに搭載し、従来機より性能の高い改善型レシーバ(マイク)や自分の声を相手に聞きやすくする「ノイズキャンセラ」といった機能を備えます。

 “見やすさ”はメニュー全階層に及ぶ「拡大もじ」と専用のワンタッチ文字サイズ切り替えキー、読みやすいフォント、大きい待受画面の時計やカレンダーなどの工夫を盛り込んでいます。

 そして“使いやすさ”は、大きくキーの間隔を広くとった「独立ボタン」、ワンプッシュオープンボタン、着信やメールの内容を音声で知らせる「音声読み上げ」機能などがあります。

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