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» 2008年10月16日 18時33分 UPDATE

コンテンツ業界の底辺でイマをぼやく:第14回 プロモーションサイトのお手本! ドコモの「ケータイ120%活用情報」に膝を打つ

企業の伝えたい情報とお客さんの知りたい情報をマッチングさせ、双方にとって有意義なコンテンツに仕上げるにはどうしたらいいのか……。今回はドコモのプロモーションサイトを取り上げて、そのコンセプトを類推してみました。

[トミヤマリュウタ,ITmedia]

 前回の「ペイドパブってなんでしょう?」の冒頭にも書いたように、ネット上では「情報と広告」「媒体と広告」の関係性をよく知るメディアリテラシーの高い方が多いと思っています。なので、記事広告やペイドパブといった“ややこしい”案件ではない、企業サイト、もしくは企業のキャンペーンサイトなどを考えるにあたっても、コンテンツの扱い方には、デザインやコピー云々の前に、「サイトの利用者からどう見えるのか」といった部分で心を砕きます。

 例えば、記事広告やペイドパブと同じように、自社目線で自社商品を必要以上に“賛美”するようなサイトは、やはり不自然です。スペック情報などといった絶対的に掲載すべき情報、お客様に知らせねばならない情報を、分かりやすく見やすく整理し、掲載するというのを大前提として、「賛美ネタ」には何かしらの演出が必要とされるところでしょう。自画自賛するには、するだけの“根拠”が必要なわけですから。

 具体的な演出としては、法人格として自社以外の目線を入れるということができると思います。よくあるのは、有名人・識者などの第三者が登場してその商品のよさを語るというパターン、ユーザーアンケートなどで収集した生の声を載せて(もちろんいいところの抜粋ですが)データで根拠を示すパターン、はたまた開発者が顔出しで登場して個人名でその熱意を語るパターンなどなど。大胆なものだと、ユーザー同士で自社商品についての情報をやり取りするような場を、メーカー自身が作ってしまう場合もあります。もっとも、これはかなり丁寧にしないと荒れるのは必至なのですが(笑)。

やっぱりドコモでしょ!?

photo NTTドコモが展開している「ケータイ120%活用情報」サイト

 で、突然ですが、NTTドコモさんのWebサイトにある「ケータイ120%活用情報」(http://www.nttdocomo.co.jp/life/index.html」です。

 先日、とある案件で壁にぶつかって、いろんな企業サイトをパクろう参考にしようと見ていた自分に、「さすが!」と膝を打たせてくれたサイトでございます。なぜなら、上記&前回書いたような私の心配事がことごとくケアされていたからです。

 例えば、「みんなのブログサーチ」というコーナーでは、ドコモ関連のキーワードが含まれる一般のブログエントリーを収集して一覧的に見せることで、今どれくらい世間的に(ネット的に)、その商品・サービスが話題になっているのかを表現しています。嫌味なく、また公平な目(と感じられる演出)でドコモの商品・サービスについて、ユーザーのためになる有意義な情報が提供されているといっていいでしょう。

 また、王道パターンではありますが、「ユーザーズボイス」と題して、実際にその機種を使っているユーザーを対象にしたアンケート結果を載せているのもステキです。

photophoto 左が「みんなのブログサーチ」。ブログ検索サービス「BuzzTunes」を利用して、記事を収集しているとのこと。右は「ユーザーズボイス」。ドコモプレミアクラブ会員を対象に実施した「プレミアアンケート」調査の結果を掲載している

 さらに突っ込んだ部分、機種やサービスの活用方法については、「ケータイなるほど活用術」と題して、ドコモではない第三者の立場のライターさん・ジャーナリストさんたちが、個人の目線で活用術をまとめています。もちろん、金銭の授受がそこには必ずあるわけですが、「月々の基本料金を少しでも安くしたい」「ブックマーク機能でパケット代や通信料を節約したい」なんていう、ドコモさん的には不利益なのでは? と思える記事もあって、驚きました。

photo 「ケータイなるほど活用術」は、ライターやジャーナリストが個人の目線で活用術を紹介。パケット代の節約方法なども載せている

企業の伝えたい情報を、お客さんや第三者の目線を通して伝える

 そう、ここまで説明してきたコーナーは、どれも第三者目線のコンテンツなのです。ドコモさんが、ドコモさんという法人の目線で語るのではなく、第三者の個人たちがドコモをどう見ているのか、それを読者に伝えることで、コンテンツの信頼性を上げているわけですね。とてもオーソドックスなPR理論ですが、きっちり、ある意味“抜け目なく”演出されていると思いました。

 しかも、その第三者の筆頭は、「みんなのブログサーチ」や「ユーザーズボイス」に代表されるような、金銭の授受関係がない、一般のお客さんたち。前回書いた記事広告・ペイドパブのように、金銭の授受関係があからさまにある媒体側に、第三者目線を担わせる(ドコモの自社媒体なので当然ですが)のと比べれば、はるかに公平感を醸成できていますし、情報の信頼性も感じられるサイトになっているといえます。

 このほか、「おサイフケータイが大活躍!」や「あるある新生活アドバイス」などといった、ドコモさん目線のコーナーもあるにはあるのですが……。メニュー一覧の並びを上から順に見てみてください。

photo 「ケータイ120%活用情報」トップページのメニュー
  1. みんなのブログサーチ……完全に第三者、しかもお客さんの情報
  2. ユーザーズボイス……第三者の情報だが、ドコモで集計しているもの
  3. ケータイなるほど活用術……第三者の情報だが、金銭の授受があるもの
  4. おサイフケータイが大活躍!……ドコモ目線だが、取材記事風で人の気配を感じる情報
  5. あるある新生活アドバイス……完全にドコモ目線の情報

 これは勝手な思い込みかもしれませんが、上から順に「これは公平な情報だろう」「これは企業の目線ではないから信じてよい情報だろう」と思わせてくれるものが並んでいるように感じます。何よりも、タイトルでメインに扱われているのが(1)と(2)ですから、やはりそうした意図を感じずにはいられません。

 深夜にこれを見ていて、1人で「やっぱりドコモでしょ!」と膝を打った次第。教科書的ともいえますが、それをきっちりやりきるのは難しいことです。このサイトを作ったプロジェクトチームには拍手でございます。底辺の自分としては、パク……じゃなかった、ぜひとも参考にさせていただきたいと思います!

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