インタビュー
» 2008年10月20日 17時06分 UPDATE

開発者に聞く「SO906i」(後編):“BRAVIA”の価値を高めるデザインとサイズを実現した“優しいケータイ”「SO906i」 (1/2)

“BRAVIAケータイ”SO906iは、AV機能の進化はもちろん、モーションセンサーやU字イルミネーションなど、新しいデバイスを積極的に取り入れた機種としても注目したい。大きくはアピールされていないが、小型化や持ちやすさについても工夫が施されている。

[田中聡(至楽社),ITmedia]

 AV機能はもちろん、キーレスポンスやメール機能など、ケータイとしての基本機能も大きく進化した“BRAVIAケータイ”「SO906i」。開発者インタビューの後編では、モーションセンサーとU字イルミネーション、そして小型化を実現するまでの苦労について話を聞いた。

photo SO906i。カラーはMirage Pink、Starlight Blue、Cosmic Black、Aurora Redの4色

オリジナリティも追求したモーションセンサー

 SO906iには、新しい操作デバイスとして「モーションセンサー」が搭載された。本体を傾けるだけで画面の縦横表示が切り替わったり、ワンセグの音量調節やフルブラウザのスクロール、静止画・動画の送り/戻し、重力と連動するU字イルミネーションの表示などが可能だ。また、着信時に本体をタップして着信音やバイブを止めることもできる。待受画面も、モーションセンサーに合わせて凝ったテーマが使われている。

photophoto 商品企画担当の西村氏とソフト開発(UI)担当の森本氏

 「『待受ピクチャーギャラリー』でカメラフォルダを指定すれば、自分が撮った写真がランダムに待受画面に表示され、本体の向きに応じて写真の向きが自動で縦と横に切り替わります。モーションセンサーをただ搭載するだけでは面白くないので、ソニー・エリクソンとしては楽しさを重視しました。イルミネーションとの連動や待受ピクチャーギャラリーは、(モーションコントロールセンサー対応機の中では)SO906iならではの機能です」(商品企画担当の西村氏)

photo 電気設計担当の柏木氏

 「モーションセンサーのデバイスは『SO905iCS』と同じ加速度センサーで、基板に実装させています。工場で1個ずつ検証して、端末を回転させたときに地軸が下に向いているとか、今自分がいる向きを精度よく出せるように調整しました」(電気設計担当の柏木氏)

 モーションセンサーで訴求したい機能として、ソフト開発(UI)担当の森本氏は「一番簡単に使える静止画の回転」を挙げる。「静止画の回転に比べてワンアクション多いですが、本体をタップしてワンセグの再生や一時停止、フルブラウザの表示モード切り替えができるのも便利です」(森本氏)

photophoto 端末を縦から横に90度傾けると、表示される静止画も90度回転する

 なお、電話やメールの着信音やバイブをタップして止めることはできるが、アラームは止まらない。「電話とメールは無意識のうちにたたいてしまっても履歴が残るが、アラームはあまり簡単に止まってしまっても困る(笑)」(西村氏)という理由だ。

 モーションセンサーを使えば、今トレンドになりつつある「歩数計」や「カロリーカウンター」などの搭載も可能だが、SO906iではあえて採用していない。「歩数計はニーズがないとはいいませんが、我々としては正常進化させることと、BRAVIAの価値を高めるという深みのある進化を目指したので、今回は見送りました」(西村氏)

特殊なLEDを使って実現した「U字イルミネーション」

 外観の大きなアクセントとして注目したいのが、着信時や通話時に12灯のLEDライトが点灯する「U字イルミネーション」だ。ソニー・エリクソン製の90xiシリーズで「ここまでイルミネーションにこだわった機種は初」(西村氏)。店頭での見栄えのよさが重要との考えから搭載された。

photo ディスプレイ側の外周にLEDライトが点灯する

 「ただ光るだけでも価値はありますが、それは70xiシリーズ的な発想。それよりは機能と連動して光らせるほうが魅力が増すので、モーションセンサーと連動させて、本体を傾けたときや決定キーを押したとき、メールや赤外線送信時になどにも光るようにしました」(西村氏)

 イルミネーションはアラーム鳴動時や通話中にも点灯する。光のパターンは固定の場合もあるが、基本的に機能ごとに変更できる。「SO906iは時報を新たに搭載しました。設定した時刻になるとイルミネーションが点灯するので、光を見るだけで時刻が分かって便利ですよ」(森本氏)

 美しく光るイルミネーションだが、ここまで鮮明に点灯させるためには幾度も試行錯誤を重ねた。柏木氏によると、12個の白色LEDの採用や、蒸着部分へのLED光の透過など、技術的なハードルが高かったという。

 「12個のLEDを個別に制御しないといけないですし、蒸着部分から光を透過させるには輝度が高くないといけない。最初はなかなか光が見えず、内側に導光させるのが難しかったですね。

 LEDとLEDの間隔を離せばより光が広がりますが、それでは12個分のスペースは取れず、同じように光らせるのも難しくなります。そこで今回のU字イルミネーションには、液晶のバックライトに使うような特殊なLEDを使っています。このLEDはキーバックライトよりも輝度が高く、放射角度があるのが特徴です」(柏木氏)

 LEDの色はホワイト1色のみだが、複数の色を採用することは検討されなかったのだろうか。柏木氏は「最初から単色で、一番きれいな白を使おうと決めていた」という。

 「色を付けるとさらに個別制御をしないといけません。例えば3色のLEDを採用した場合、12×3色で36個のLEDを制御しないといけないので、パターン的な制約上、厳しいですね。あとは、ほかの色のLEDが点くと白がきれいに出なくなるという、色味のばらつきの問題もあります」(柏木氏)

 「ソニーがかつて展開していた家電ブランド『QUALIA(クオリア)』には、LEDバックライトを採用した液晶テレビ『QUALIA 005』がありました。今回、当時と同じ関連会社さんと協力して、12灯でも線っぽく見えてムラが出ないようシミュレーションを繰り返しました。点灯スピードの制御も苦労しましたね」(西村氏)

photo デザイン担当の鈴木氏

 この「線っぽく見せる」のは、デザイナーの意図でもある。「最初はネオンのようにいっぺんに光るイメージを考えていましたが、線状のほうがいろいろなパターンができるので、遊びを出せる光り方を重視して計24パターンを採用しました」とデザイン担当の鈴木氏。

 「単純に光るパターンもありますし、仮装大賞の点数のようにだんだん光るパターンもあります(笑)」(森本氏)

 「イルミネーションが光る側面の蒸着部分は微妙な傾斜を設け、正面からでも横からでもライトが見えます。もちろん、どの本体色でもしっかり光るよう調整しています」(鈴木氏)

 「蒸着の抜け具合は変わらないので、どの本体色でも光り方は同じです。だから白色LEDを採用しているのですが。蒸着部分をここまでたくさんのLEDで光らせたのは、SO906iが初めてでしょう。ちなみに、おサイフケータイを使ったときのみ、ヒンジの蒸着部分にFeliCaサインが光ります」(西村氏)

 LEDを12個も搭載したことでバッテリーの持ちが気になるが、開発陣は照度センサーを使ってディスプレイ輝度を細かく制御することで対処した。これは従来機種や他社モデルでも行われていることだが、SO906iの場合は消費電力を下げるのはもちろん、見やすさを重視した措置でもある。そのため、場合によっては意図的に輝度を上げることもしている。

 「屋外の明るい場所はもちろん、居酒屋などで急に輝度が下がって見づらいといったことがないように、暗い場所でも輝度を上げています」(柏木氏)

 輝度を上げると消費電力も上がってしまうことが懸念されるが、「リソースを最適化することによって、無駄なリーク(漏電)を下げています」と柏木氏。「アプリケーションによってはそれほど回さなくていいCPUのクロック設定があるので、それを最適化することで全体的な消費電力を下げています」(柏木氏)

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