タッチ×ヨコ×タテ──「N-01A」が革新ボディ“3Wayスタイル”を採用した理由開発陣に聞く「N-01A」(3/4 ページ)

» 2008年12月05日 00時00分 公開
[岩城俊介,ITmedia]

自然に盛り込んだ「クイックリフレクション」という概念

── この3Wayスタイルで、どんなことができるのでしょう。

田丸氏 「片手だけ」でタッチ+横向き/縦向き画面+キー入力できるのは、現在はN-01Aのみだと思います。

 駅でカバンを持ったまま使う──など、日本ユーザーは“片手”で携帯を操作する場合が多いと思います。このため「いかに片手でスマートに操作できるか」と「タッチメニューが縦向きでも用意してあるか」は非常に重要なポイントと考えています。


 なお、N-01Aは時計回りにディスプレイが開くので右手の操作が基本だが、慣れれば左手でもスマートに扱えるようになる。また、想定外の操作方法なので推奨はできないが、振り下ろすように少し勢いをつけると一気にタッチ→タテに開いたりもする。ペン回しやジッポーライターの“開けテク”のようなイメージで、形状でも「使いこなす楽しみ」があるといえる。

ドコモのNEC製端末「N-01A」は、回転型のヒンジ機構“3Wayスタイル”が特徴。NECのN-01A開発チームに習った「何となく片手でスマートに開け閉めする方法」がこちら。基本的には右手で操作する方が扱いやすいが、もっと慣れれば左手だけでも開け閉めできるようになるようだ。「“ペンまわし”を習得するようなイメージですかね」とのこと
(ムービーはこちらからでも参照できます)

石塚氏 スタイルチェンジは、タッチ×ヨコ×タテの新しい動きとともに、これが機能と密接に連携しています。

 例えば、メールが届いたらどうしますか。誰から来たメールか、どんな内容かを確認してから、返信する、改めて電話で伝える、フォルダに分類する──といったことを行うと思います。

 N-01Aはタッチスタイルで確認、コミュニケーションスタイルで元メールを参照しながら返信するといったように、スタイルチェンジを行った時にユーザーが次に操作したいのは何かを想定し、画面も連動して変化するよう工夫してあります。

田丸氏 これを「クイックリフレクション」と呼んでいます。“やりたいことをすぐ実行する・できる”という概念です。

 逆に「興味がないことや理解できないことは敬遠する」も、現在の携帯ユーザーに見られる傾向です。分かることや必要なことは興味を持ち、どんどん積極的に利用してくれますが、何か難しそう、面倒くさそうなどと思うものは使わなくなります。

石塚氏 このクイックリフレクションという概念がありますので、メニュー構成は「よく分からないから、もういいや」と思わせないよう工夫して開発しました。横向きのシェアスタイル用メニューも、ユーザーが最も使う、あるいは使いやすい・使いたいであろう機能にあえて絞ってあるのです。

photophoto シェアスタイルの横向きメニュー。左からiモード、メール、カメラ、ワンセグ、静止画再生、動画再生、PC動画表示のアイコンが並ぶ。横向きのままiモードなども表示できる

── ただ、ソフトウェアの仕様は相当複雑だったのではないですか?

田丸氏 難しかったですね。もちろん、かなりもめましたね(笑)。タッチする指と認識範囲をどう設定するか、ボタンサイズはどうするかといったタッチパネル操作のガイドライン作成から始めなければなりませんでした。

 実はタッチUIを「縦か横か」どちらかにするという議論も行いました。ただ、N-01Aの3Wayスタイルで何ができるのか、そしてユーザーさんに何をしてもらいたいのかをじっくり考えると、やはりタッチスタイルのタッチメニューは「縦画面+片手で」が使いやすいのです。これが他社のタッチUIと大きく違う考え方だと思います。

── ところで、閉じたままのタッチスタイルでどこまで操作できるのでしょう。文字入力はさすがにできないようですが。

石塚氏 “クイックリフレクション”の考え方から、閉じたままの文字入力機能はあえて搭載していません。文字を入力するなら“開ければOK”という考え方ですね。

 もちろん、タッチ操作の文字入力手段を入れるか否かの議論はしました。ただ、ダイヤルキーがあるならやはり慣れ親しんでいる方が使いやすいと思います。端末のテーマとしてもタッチスタイルではあえて文字入力機能は含めませんでした。

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