連続10時間+新省電力動作機能がスゴイっ──「AtermWM3600R」のバッテリー性能と通信性能をチェック“WiMAX Speed Wi-Fi”レビュー(1/3 ページ)

» 2012年03月16日 15時00分 公開
[坪山博貴(撮影:矢野渉),ITmedia]
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「オン/ウェイティング/休止/オフ」4種類の動作モードで、「さらに・便利に長時間動作」

photo WiMAXルータ「AtermWM3600R」。ベーシックモデルはピンク、シルバー、ブラックの3色。このほか、So-net モバイルWiMAX限定の「モモピンク」「モモグラム」、BIGLOBE WiMAX限定の「ライム」など、WiMAXサービスMVNOの限定カラーを採用したモデルもある

 前回行った「AtermWM3600R(以下、WM3600R)の独自機能“無線LAN自動機切り替え”に関する検証に続き、今回は実バッテリー動作時間/新たな省電力機能を中心に、より実際の使い勝手に沿った検証を行っていく。

 WM3600Rの前モデルとなる「AtermWM3500R」が人気を得た理由はいくつかあると思うが、筆者がもっとも評価したのは「連続8時間」とする長時間のバッテリー動作性能だ。2010年当時、WiMAXルータのバッテリー動作時間はソフトアンドハード「egg(iWWR-1000J)」の約5時間が最長スペックで、3Gポータブルルータも3〜6時間ほど。その中で8時間というスペックは、モバイルユーザーにとって「これで、バッテリー切れを心配することがなくなる」とはじめて思えた機器だった。

 さて2012年現在、WiMAXルータの(カタログ値における)単体連続バッテリー動作時間は「Mobile Cube」(レビュー:“ちっこい”、そして“つかみ”もうまい──10時間動作のWiMAXルータ「Mobile Cube」実力検証)と、本機WM3600Rが最長となる「連続10時間」をうたっている。こちらは前モデルWM3500R比でプラス2時間も延長された。

 さらに、2つの新たな省電力動作モードを追加し、「実利用時において、より長くバッテリー動作させる」工夫を取り入れた。ここはかなりのチェックポイントだ。情報表示インジケータの自動消灯、充電を70%までとして内蔵バッテリーの劣化を抑える機能などは、当然だがWM3500Rより継承している。


photo Web設定ツールのECOモード設定画面。ロングライフ充電(充電を70%までにとどめ、バッテリー寿命を長持ち差せる設定)や自動LED消灯といった機能はそのままWM3500Rから継承されている。また1%きざみのバッテリー残量はこの画面でも確認できる

 追加された1つめの省電力動作モードは「休止(クイック起動)」だ。こちらはWindows搭載PCでいうところの休止状態/ハイバネーションにあたるもの。電源は完全にオフせず、必要最小限の回路のみを給電しておくことで約15秒で復帰するという「クイック起動機能」が利用できる。こちらはMobile Cubeに搭載する機能とほぼ同じで、その待機時間は最大170時間となる。試しに24時間このモードにして放置したところ、評価機ではバッテリーは15%分ほど消費していたが、少なくとも“利用が月に数回という人でなければ”かなり有効に活用できる機能だ。

 操作もごく手軽だ。動作状態から、前面の電源ボタンを1〜2秒押すと全インジケータが消灯するので(自動消灯中は電源ボタンを押した瞬間に一度点灯する)、ここで指を離すと休止モードに移行する。一方、同じ電源ボタンを5秒以上押し続けると完全な電源オフとなる。Mobile Cubeもそうだったが、完全な電源オフと休止モードを1つのボタンで使い分けできるのが(最初こそ手順・作法だけ覚える必要はあるものの、覚えてしまえば)非常に手軽で、使い勝手がよい。

 ではクイック起動は実用時も本当に早いか。休止状態より電源ボタンを押すと、確かにおよそ15秒で無線LANが利用可能(PCなどで機器を発見できる状態)になる。直後にWiMAXへの接続処理が行われ、ほぼ同時に無線LAN端末で接続される。WiMAXの接続が完了するのが5〜15秒、並行して無線LAN端末との接続が5〜10秒ということで、電源ボタンを押してから無線LAN機器で実通信できるまでの時間は20〜30秒という感じだ。

 WiMAXは電波が弱いエリアだと接続・認証に時間がかかることがあり、さらに使用する無線LAN機器によっては無線LAN接続が完了するまでの時間も若干の差がある。ともあれ、これまで(の完全オフ→利用可能になるまでの時間)が1分以上かかっていたことを考えるとかなり快適になった。

 ちなみに完全な電源オフからだと、電源ボタンを押す→無線LANのインジケータが点灯→WiMAXへの接続が始まるまで50秒ほど、そこから無線LAN機器からインターネット通信可能になるまで10秒ほどと、合計でやはり1分以上かかる。こちらはWM3500Rとあまり変わらない印象だ。

 ほんの30秒ほどといえども、いざ実際に使うと「うん、かなり違う」と感じられる時間差だ。ケータイやスマートフォンのバッテリーを節約するためといってもわざわざ完全に電源をオフにはしないように、毎日WiMAXルータを使うユーザーとしては、こういった点は大変喜ばしいものである。

 このほか、Android/iOS端末向け(iOS向けは2012年3月下旬公開予定)専用アプリ「Aterm WiMAX Tool」により、手元のスマートフォンで遠隔操作できる。ルータ本体はバッグに放り込んだまま休止状態への移行できるのがなかなか便利だ。

photophoto スマートデバイス向け専用アプリ「Aterm WiMAX Tool」。WiMAX電波状況とバッテリー残量をチェックできる以外に、スマートフォンで休止(待機)状態への移行と本体再起動の操作が行える。再起動については、本機は電波干渉の少ない無線LANチャンネルを自動選択する機能を備え、これが起動時に実行されることを応用して「ここは無線LANが混雑してるかも」なんていうときに使うと便利だ。この画面でさくっと再起動すれば、再起動時点での電波干渉が少ない無線LANチャンネルを改めて選択してくれるわけだ

Aterm WiMAX Tool


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